TRICERATOPS – 4年3か月ぶりのアルバム『SONGS FOR THE STARLIGHT』をリリース。Disc2に収められたMr.Children桜井和寿と組んだバンド、Quattro Formaggiの楽曲「STAND BY ME」のことも併せて和田 唱が語る。

TRICERATOPS

豊かな脈動がうねり、光が跳ねて転がる。TRICERATOPS、4年3ヵ月ぶりのアルバム『SONGS FOR THE STARLIGHT』には、意思と才能と技術と時間がふんだんに注ぎ込まれている。リリースまで内容が明かされなかったDisc2に収められているのは、4月に渋谷AXで行われた“DINOSOR ROCK’N ROLL”(トライセラ主催のイベント)にシークレットで出演したMr.Children桜井和寿と組んだQuattro Formaggi(クアトロフォルマッジ)のオリジナル曲「STAND BY ME」。水面下で勃発していたバンドの根幹を揺るがす危機を乗り越え、唯一無二の存在としてさらなる高みに向かう和田 唱は、ずっと変わらない頑なさを抱えながら陽性のエネルギーを放射し続ける。

INTERVIEW & TEXT BY 佐々木美夏


ロックバンドはかっこいい派手な存在じゃなきゃいけないと思ってるから

──本当は10月に出る予定だったのに、発売日を伸ばしてまで粘りに粘ったレコーディングで。

もっとやろうと思えばできたよ(笑)。さくさくできないタチみたいで、満足いくまでのスピードが遅い……みんなどうなんだろう。俺は結構しつこいタチなんだよ。やっぱ自分たちのアルバムなんだから出してから後悔したくないって気持ちだけ。あそこああしてればよかった、あそこもこうしてればよかった、っていうのがいっぱいある状態で出すのって精神的に健全でないというか、すごいイヤなの。もう聴いてほしくなくなっちゃうわけ。もうこんなの聴かないでいいよ、ってなっちゃうから、後悔したくないっていうのがいちばんデカい。

──レコーディング前に言ってたけど、ライブでずっとやっていた曲が多いから、ライブの感触でざっくり録るのか丁寧に作り込むのかどっちにするのか考えて、作り込むほうを選んだと。

そうね。なぜかっていうと俺らって「トライセラはやっぱライブだよね」って言われてきたタイプなの。それってうれしいことのようであんまりうれしくなかったわけ。アルバムって丁寧に時間かけて作るでしょ。ライブも一生懸命やってるけど言ってみればその場限りのもの。でもアルバムはずっと残るものだし、すごく気持ちを入れてるし、ライブでは表現できないダビングものでより緻密に作ってるのに、「トライセラの曲はライブで聴いたほうが全然いい」みたいな感想を聞くと、ちょっとがっかりなわけ。ライブバンドとして評価されるのはいいことなんだけど、同時に虚しさをいつも感じてて、なんでなのかなぁ、ってずっと思ってたんだけど、ひとつ気づいたのは、レコーディングでもライブのように録ってきたんだよね。大きな部屋でドラムも一緒に顔も見えるところで録る。多少のダビングはしてるけどベーシックなところは生の音で「せーの」で録る。それをCDにしていざ聴くとなると、今は家でオーディオで聴く人って少ないでしょ。下手したらPCのスピーカーとかで聴くわけじゃん。それかイヤホンか。せいぜいよくてミニ・コンポかな。こんなちっちゃいスピーカーのね。そうなるともうライブのほうがいいって言われて当然かなと。ライブはPAから大音量が出てビジュアルもついててライブならではの興奮もある。そんな強い味方がいたらライブには勝てない。ほぼそれと同じ形でやったものをPCのスピーカーで再生されたんじゃ、どうやったって勝てない。だからもう今までのように録音するのはやめようと。ライブ感たっぷりって言うと一瞬いいことのように思うんだけど、今の時代違うんじゃないかな。ビンテージ・ギターとかいいアンプとか温かみのある音で鳴らしてそれを録っても、リスナーの環境が環境だと発揮されないし、そもそも今レコーディング自体もデジタルで録っちゃうから、ちょっと矛盾したことをやってたなって思って。もしビンテージ・ギターの音とかを録るんだったら、ちゃんとアナログ・テープを回さないとね。初期はそうやってたよ。でもいろいろとやっかいなことも多くてね。やり直しできないしね。だけどもし本当に生バンドの音を録りたいんならアナログで録ってレコードで出すべきだと思った。みんなにもオークションとかでスピーカー買ってもらって。

──スピーカー付きで売るとかね。

スピーカー付きで売る! そう。そうでもしないと今までやってたレコーディング方法だと本領が発揮できない。だからそのへんの考え方から変えて始めました。

──音の録り方も研究して?

そうね、結構研究したね。イメージしてる形を越えていくのが好きだから。もうちょっとこうやったら良くなるんじゃないかな、ってベースラインを変えてみたりとか。アレンジを構築していく中で曲がより良くなっていくのが楽しいからね。洋楽のCDとJ-POPのCDを聴き比べたときの音圧の差ってあるじゃん。事務所でいろんなCD再生しながら比較して、「こんな違うじゃん、これって何なんだろうね」って研究は結構した。国民性なのかなぁ、わかんないけどとにかくサウンドの広がり方が全然違う。今までは俺個人的には楽曲志向だったから、サウンドもまぁ大事だったけどそれよりかは楽曲志向、よりいい曲を書くこと。もしくはみんながやってないような曲を書くこと。そこはもちろん引き続きいちばん大事なとこなんだけど、それこそきゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんの音と比較しても負けないくらい明るい音、はっきりした音で鳴らしたいなっていうのはありますね。普通にアナログの音でロックバンド然としたやり方でやって、それを例えばPCのスピーカーで再生すると、もうきゃりーちゃんに負けるの。音のキャッチ―さとか、前に出てくる感じが、ロックバンドのそれはちょっと曇ってるの。それがロックっぽさと言えばロックっぽさなんでしょうけど、地味に聴こえちゃうのがイヤだなと思って。ロックバンドはかっこいい派手な存在じゃなきゃいけないと思ってるから、打ちこみの音と比較しても負けてないようにしたいと思った。

──ずっと聴いててもまったく耳が疲れないアルバムですよ、これは。

本当に? おお! 今までより少しギターの音を抑えて、ギターの歪みの成分よりもうちょっとベースとかドラムのキックのほうに重心を置いてるの。ギターの音って難しいの。ギターで支配すればするほど、いわゆるわかりやすいロックサウンドになっていくんだけど、下手すると支配しすぎちゃうんだよね。なんて言うんだろう……暗くなっていくの。だから俺らはギターバンドと言われてるけど、今回は逆にギターはちょっと引っ込んでると思う。そうするといろんな大事なところが出てくる。音の定位とか今まではあんまり興味がなかったところなんだけど、今回は考えたかな。

踊れるロックを追究している身として何がやれるんだろう、
っていうのは思ったかな

──「スターライト スターライト」は、やっぱり「できた!」と思った曲?

思ったね。最初は家でこういう小さなレコーダーで録るんだけど、その時点でだいたいのことはわかるからね。デモテープ作ってくうちに成長していく曲もあるんだけど、でもだいたいこの状態でわかる。「来た!」って。原型自体は前からあったけど、これはいいなぁと思った。

──ファレル(・ウィリアムズ)の「Happy」に対する日本のロック・バンドからのアンサーソング的な感じもある。

あぁ。考えてはいないんだけど、うん。わかりますよ。四つ打ちのロックをバンドとしてはわりと初期に始めたほうだと思ってるから、そのバンドの現在進行形として、「Raspberry」と同じことを繰り返すんじゃなく、踊れるロックを追究している身として何がやれるんだろう、っていうのは思ったかな。

──最近四つ打ちロック流行りと言われるけど、「FEVER」をリリースするときのインタビューでは「これはKISSの「Lovin’You Baby」だね」「そうそう」みたいな話をしたのを覚えてる。

リバイバルという意味だよね、本当のオリジナルは70年代にあったわけでしょ。それを80年代にやっても古かったと思うわけ。でも歴史は一回りするとかっこよくなったりするから、その時期だったのかな。そういう意味ではウルフルズのほうが早いよね。「ガッツだぜ」とかさ。でもウルフルズはちょっと上の世代だし。今の普段着系ロックバンドの四つ打ち流行りは言ってみれば俺らくらいから始まったのかな、程度のことだと思うんだよね。

──「FEVER」を作ったとき、バンドにとってこんなに大事な曲になると思った?

「FEVER」はすごく自然に生まれた曲だし、そういう意味ではいい曲だなと思ってたけど、「Raspberry」は当時の俺らには変化球の曲だったから。言ってみればパロディだから、あれは。ね。KISSとかストーンズがやったでしょ。白人のロックバンドがディスコビートを取り入れてっていう。まぁ一種のミクスチャーで。

──ストーンズでいえば「Miss You」とかね。

とかね。ロッド(・スチュワート)がやったりね。ディスコを取り入れてロック・ファンからはバカにされたりして。「Raspberry」はまたそれのパロディというか、俺らの王道ではなかった。インディーズ盤に入ってる変化球の1曲だったの。ところがエピックからデビューするときに「これはいい曲だから録音し直して1stシングルとしていきたい」って事務所を通じて言われて、「ちょっとそれはイヤです」って言ったの。変化球だしちょっとパロディの曲だからこれでデビューするとコミカルなイメージになっちゃうんじゃないか、って恐れたわけ。それくらい本気じゃない曲だった。お遊びの曲。だからそういう意味では大事になるとは思ってなかったね。ただ四つ打ちをここまでみんながやるとは思ってなかったからなぁ……でも人間の本能に訴えるビートなんだよね。身体が動き出しちゃう。実はビートルズのライブ映像、アメリカに進出した頃のモノクロのやつとか観るとリンゴとかキックを四つ打ちで踏んでるんだよね。「I saw her standing there」とか。当時はダンスビートとは言われなかったけど、実は本能的なビートで、意外とみんなやったりしてるんだよ。

──映像を観るとあれでみんなモンキー・ダンスとかしてるもんね。

そうそう。そうなんですよ。だから本能的なものだと思うけど、こんなみんながやるとは思わなかった。ちょっとやりすぎだよね。海外でも多いしね。でもライブではいいんだよ。ライブ映えするっていうか……だからこれも本来はここまで四つ打ちのビートを導入したアルバムになるとは思ってなかったんだけど……だって現に前半の5曲くらいそういう感じだもんね。何気に今まででいちばん四つ打ちのアルバムかもしれない。

──でもBPMは速くないし。

それはこだわった。こだわったというか、突っ張りたいとこっていうか。やっぱ日本って速くないとお客さんを動かすの難しいのね。国民性なのかなぁ。ちょこまかちょこまかしてる。「Miss You」とか遅いでしょ。日本であのテンポだと下手するとバラードになっちゃう。みんな身体動かすことができないんだよね。でも少なくともそれは僕らのお客さんにはわかってほしくて、こういうテンポで乗ってほしいんだっていうのを口を酸っぱくして昔から言ってきた。だから俺らのライブではそんな速くない曲でもみんな身体動かしてくれてるから、すごくうれしいけどね。個人的には速い曲にどんどん興味がなくなってきてるの。それでもやらなきゃいけないときもあるんだけど(笑)、でもむやみに速い曲はもう自分の中で時代が終わっちゃってる。

──今回、歌詞もいいよね。今はストーリーがちゃんとある歌がすごく少なくて、断片的で抽象的な言葉を並べてなんとなくわからせるようなものが多いのに、ストーリーテラーとして言葉を選んでるのがわかる。昔からそうだけど、他の人が歌詞に使わないような言葉もたくさん使ってる。

そう、そこもこだわりたいとこかもね。結局抽象的な言葉の断片を並べていくとそれっぽくなるんだよ(笑)。なっちゃうわけ。それが評価されたりするとさ……俺がそれで評価されたらちょっとイヤだっていうか、これって実は意味ないですけど、みたいな。だからそこは勝負したいところかもしれない。逃げたくないっていうか。うんうん。

──あくまでも夢をみよう、ってどの曲でも言ってるよね。

そう。やっぱりそれが俺らの役目かなと思って。ライブに来た人にエネルギーを受け取ってもらって「よしやるぞ!」って思って帰ってもらわないといけないし、それはアルバムでも同じ。聴いてくれた人がポジティブになれるもの、「よし頑張ろう!」って思ってくれるもの。ちょっと照れくさいことかもしれないけど、でもどんどんそうなってるかも。アルバムでもCDでもそういう意味のあることをしたいと思ってますね。

──コーラスもすごくきれいで。

コーラスも大事。僕にとってすごく大事。ハモるっていうのがすごく好きで、俺にとっては魔法のようなもの。人間の声だけで魔法を作り出せるすごい技だと思うんですよ、コーラスって。それはこだわってるなぁ。いっぱい入れた。すごい入ってると思う。J-POPに比べると。

──昔のビージーズばりの。

(笑)いや、でも確かに三声ハモはすごく多い。日本はユニゾン文化だから。みんなで同じ旋律を歌うっていう。昔の日本の歌もハモったりしないでしょ? あれなんでだろうね。

──音楽の三要素はメロディとリズムとハーモニーなのにね。

そう。あっちは讃美歌もハモるのに。

曲ならともかく、歌詞を桜井和寿に投げるのか、と思って

──発売日まで秘密だった特典ディスクは、ミスチル桜井くんとの「STAND BY ME」。これはどういう経緯で?

順をたどっていくと、一昨年淡路島でやったap bank fes(’12 Fund for Japan)に出させていただき、打ち上げでみんなお酒を呑み、ほろ酔いになり、なんとなく僕ら3人と桜井さんの4人で写真を撮って「バンドみたいですね」って冗談言ったら、桜井さんが「俺、このバンドで歌いたいなぁ」「本当ですか?」「いつでも呼んで」って言ってくれたんですよ。それから時は流れ、風の噂で桜井さんが4人でのバンド名をもう考えたらしいって聞いて、「え? それって一緒にバンドするってことですか?」って。でもそれも夢のような話だから曖昧なまま、でもそういう経緯があったから、僕らのイベントに呼んでみようか、って。そしたら1日目がGRAPEVINE、2日目はシークレットで桜井さんっていうのがOKになって。で、打ち合わせをしたときに、カバーを1曲、ミスチル2曲、TRICERATOPS2曲、そこまで決まったの。でもそれでクアトロフォルマッジって名乗るのはどうなんだろう、って。桜井さんがゲストで出てきて、みんな「キャーッ」となり、お互いの曲をカバーし合い、クアトロフォルマッジです、っていうのもなんか変じゃん。だから「例えばお遊びでもいいからオリジナル1曲やるのはどうですかね」って言ったら桜井さんが「どうせやるんだったらあとで盤(CD)になるくらいのクオリティのものがいいな」って言うんですよ。それってどういうことだろうって思いながら、「じゃあどうすればいですか?」「アイデアがあったらモチーフでいいから送って」。言われた通り、iPhoneのボイスメモにAメロのアイデアを弾き語りして、桜井さんのPCに送ったの。そしたら数日後、サビがついて返ってきました。まさにジョンとポール的な作り方。僕自身こういうやり方は本当にやったことなかったし、しかもその相手が桜井さん。そのあと電話で「詞のアイデアないですか?」って言ったら「ない。なんか書いてよ」(笑)。曲ならともかく、歌詞を桜井和寿に投げるのか、と思ってAメロから桜井さんが作ったサビいっぱいまで書いたんですよ。タイトルもサビでSTAND BY MEってフレーズがハマりが良さそうだったから「STAND BY ME(仮)」にして、ボイスメモで今度は歌詞付きで歌ったのをまたPCに送って、数日後に電話が。ドキドキですよもう。なんて言われるんだろう、みたいな(笑)。「すごくいい。タイトルもOK」。来たー。「ここから先は桜井さんが作ってください」「わかった。その中で多少Aメロの言い回しも変えるかも」「全然いいですよ」。今度は桜井さんがAメロをちょっとだけ修正したフルバージョンが返ってきて、今度はそれに対して「ちょっと足りないから大サビがあったほうがよくないですかね?」「あぁ賛成賛成」。大サビのメロディを俺が書いて、っていう。そのあとレコーディングも一緒に。

──ふたりの声がすごい溶け合ってる。

ね! 一緒に歌うと影響されちゃうの。僕がふだんの感じで歌うと桜井さんの熱量に若干押されちゃうところがあったんで、ふだんより熱く歌ってる。だから不思議な話なんだけど、桜井さんっていう日本代表、ポップス代表みたいな人とやった曲のほうが実は生のロックバンドの音。本編の俺らの音はすごく構築した、言うなればロック・バンドらしからぬ録音方法だったのに対して、桜井さんとやった曲は、歌は後からだけど楽器は一発録りで、「せーの」でレコーディングした。イメージは逆なのに。

──ライブを観たときに思ったけど、桜井くんが出てきて歌い始めたらトライセラの演奏が変わったものね。桜井くんに煽られて。

一緒に曲作り、ライブ、レコーディング、全部経験させてもらったけど、桜井さんすごいですよ。この曲は4人の音だけ。ドラム、ベース、俺のギターと桜井さんのギター。それだけでバッキングが成り立ってる。桜井さんがギター・フレーズを考えてるの見たとき、「あ、俺と同じような人がいる」って思ってすっごい安心した。「もう1回やらせて」って何度も何度もやり直しながら、イメージに向かって作ってくの。ピザの出前が来てるのに気づかないんですよ。ピザ冷めちゃうと思ってもあまりの集中具合だから言えなくて、2時間くらいたってやっと「そろそろピザ来た?」「いや、もう2時間前に来てます」(笑)。

──自分と似てる人がいた!

いた! と思いましたよ。ていうか、これでいいんだ、と思った。日本一の人がこうやってるんだったら俺のやり方は間違ってないんだ、って。あと例えば俺とかどっちかっていうと、このアレンジはベタだからもうちょっと突っ張ろう、っていう方向に行っちゃうんだけど、桜井さんは「ここのアレンジはJ-POPっぽくなっちゃうかもしれないけど、ちょっと試していい?」とか、より親しみやすいほうにっていうのかな。

──間口が広いほうに。

そう。そっちに行くの、桜井さんは。この差はデカいな、と思いましたね。俺らっていうか、俺かな、俺は間口を狭くする傾向にあるんで(笑)、ここは学ばなきゃな、って。

──ライブのアンコールもAKB48の「ヘビーローテーション」だったものね。

そう、そこなんですよ。「AKBですか!?」って言ったら「カバーやるんだったらみんなが知ってる曲じゃないとダメだと思うんだよ」って。あれを本気でやりたい、今みんなが知ってる曲はAKBしかない、って真面目に言う。

──それを姿勢として学ぼうと思った?

学べるところは学びたいですね。桜井さんみたいな人がいて俺みたいな人がいていろんな人がいてこのロック界が成り立ってる、その面白さも感じたし。歌詞の振り切り方とかはとても身近に感じたけど、俺がそもそも書いてた詞をちょっと修正するときも、よりダイレクトに、俺だったらちょっとここまでは照れくさいな、ってとこまで書いちゃう。それはさすがだなと思いましたね。いや、すごいですよ。作詞作曲ずば抜けてる。シンガーとしてもずば抜けてる。ここまでの人はまぁいたとしても、ギタリストとして超うまい。これはあんまり世間に言われてないことかもしれない。自分から出てくるギターフレーズを弾きこなせるだけのテクがあって、当然のことながらアレンジ能力もある。いわゆる、すべてを兼ね備えた数少ない人。全部が一級の人ってなかなかいないじゃないですか。僕は一通り見させてもらったので、「あ、この人がそれだ」っていうのは確信した。

“トライセラトップスのために曲を作らなきゃ、って思えなくなってた

──4年3ヵ月ぶりのアルバムになったわけだけど、その間トライセラはいろんなことがあったでしょう。

あったね。あった。結局4年空いた理由っていうのはそこが大きいですよ。

──バンドの状態が落ち着かなかったから。

そう。TRICERATOPSのために曲を作らなきゃ、って思えなくなってた。気が向いたときになんとなく作ってたんだけど、うちにあるこういうレコーダーを聴き返すと、なんかバラードばっかなんだよね。ということはTRICERATOPSモードじゃないってこと。TRICERATOPSモードだったらたぶん踊れるロックンロールをもうちょっと意識した曲になってたと思うんだけど、なんかね、そうじゃなくてまるでシンガーソングライターが書くようなアコースティックなバラードばかりで、完全に個人的なものだな、って。TRICERATOPS用に変換されてない曲ばかりで、そのときの精神状態を表してるなって思いましたね。

──去年の春に会ったとき、「3ピース・バンドは歴史的に見ても短命だ、俺らはたぶん世界最長の3ピース・バンドだ」って何度も言ってて。なんで今そのことを強調するんだろう、って不思議に思ってたんだけど、実は吉田くんが辞める辞めないの真っ只中だったという。

あのときはちゃんと言わなかったけど……ていうかね、あるよ、あるある。今に始まったことじゃないよ。そういうのはずっとある。

──バンドは人知れず何度も壊れて何度も再生するものだというけど。

あるある。あのときは俺は、去るものは追わずじゃないけど、もういいや、ってとこまで実は行ってて。でも林は「俺はオリジナル・メンバーで行くのがいいと思うけどね」って言ってて。だから俺は冷たいのかもね。やっぱり腹も立ってたんだろうね。「辞めるだと?」みたいな。まぁでも、いろんな原因、理由があって、今では佳史の気持ちもすごくわかってあげられてるし。そう、うん。ちょっと言い方がお互い上手じゃなかったなって思う部分はいくつもあるけど、ベーシックなところはわかってるつもり。たくさん話し合いもしたし。

──今回のレコーディングで、このバンドで音楽を作ることの楽しさを再発見できたりした?

あぁ・・・でもレコーディングは俺があまりにも集中力を発揮するから、そうなるとふたりが入ってこれないことがあって。意見言えない感じになっちゃうんだと思う。あまりに集中してるんで。でもたまにそういう自分にふっと気づいて「ここどうすればいいと思う?」とか。そういうのがすごい大事。つい突っ走っちゃうから僕も。集中すると。

──この3人で作れてよかった?

よかったよかった。だんだんみんなそういうモードになってきた。林なんて後半特にそうだったな。俺はもともと一発OKが信条のミュージシャンじゃないから。それがかっこいいとは思ってないわけ。よく凄腕のスタジオミュージシャンとかは1テイクで決めることがかっこいいみたいのがあるじゃん。そんなのは俺はどうでもいいわけ。いくら直してもいいものが出来ればいいから。でも林はどっちかっていうと1テイクで決めるほうがいいと思ってて、俺が「もう1回やってみようか、もっとよくなると思うから」って言うと「え?」って。そういうときすごい難しい。でも実際よくなったりするから。

──このアルバムを作り終わって、改めて感じたことはある?

珍しく売り上げとか順位とかを気にしないで作ったアルバムかもしれない。それは自分ではいいことだと思ってて。そんなことよりも純粋にずっと待っててくれた人たちが喜んでくれること、クサいようだけど本当にね、待っててくれた人たちが家でCDで聴いてくれたときに笑顔になっちゃうところをイメージしながら作りましたね。うんうん。本当に「こう来たか!」って喜んでくれるような、そういうみんなの顔を描いて作ったアルバムなので、つまり今は楽しみ。みんなに聴いてもらえるってことが楽しみ。今までは今回何位くらいに入れたらいいなとか少なからずあったけど、今はもうそういうことじゃない。

──そういうことではなく、ただ、今作りたいもの、作らなきゃいけないものを作った。

そういう感じかなぁ。作るのがすごい楽しかった。例えばひとつ前の『WE ARE ONE』のときは作り終わったとき次のアイデアがなくて、「これは(時間が)空くかもしれないな」って直観でわかってた。でも今回は早く次を作りたい。

──それはいいことだよね。

そうなの、いいことなんです。すごい。やっぱこれを作って、今また俺らそれぞれ見えてきてるものがあるので、さらに先に行けるんじゃないかって気はしてる。

DISC INFORMATION

「SONGS FOR THE STARLIGHT」
ALBUM 2014.12.10 release
SPACE SHOWER MUSIC

■CD収録内容■
01. GRRR! GRRR! GRRR!
02. HOLLYWOOD
03. スターライト スターライト
04. ポスターフレーム
05. GOOD ENOUGH
06. PUMPKIN
07. 僕はゴースト
08. 虹色のレコード
09. FLASH!!!
10. 恋するギターとガーベラの花
11. ふたつの窓

[Disc2]
Quattro Formaggi(TRICERATOPS+桜井和寿[Mr.Children])
01.STAND BY ME

TRICERATOPS_JK

PROFILE

和田 唱(vo&g)、林 幸冶(b)、吉田佳史(d)。‘96年、この3人でバンド結成。翌年にインディーズでミニ・アルバム『TRICERATOPS』をリリース、同年7月にシングル「Raspberry」でメジャーデビューを果たした。
今作で、11枚目のオリジナル・アルバムとなる。

LIVE

TRICERATOPS WINTER TOUR 2014 “FOR THE STARLIGHTS”
12月10日(水)赤坂BLITZ
12月30日(火)赤坂BLITZ(追加公演)

関連リンク

OFFICIAL WEBSITE
OFFICIAL Twitter
和田 唱 Twitter
林 幸治 Twitter
吉田佳史 Twitter

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