怒髪天 – 4月に発売された『男呼盛“紅”』、通称“紅盤”と対になる“白盤”、『歌乃誉“白”』が完成。2014年の暮れ、結成30周年記念を締め括る増子直純に話を聞く。

怒髪天

満員御礼の日本武道館ライブ(2014年1月12日)から始まった怒髪天の結成30周年アニバーサリー・イヤー。その締め括りとなるのが、ミニ・アルバム『歌乃誉“白”』だ。4月にリリースされた『男呼盛“紅”』と対になる本作は、感動のロック・バラード「ひともしごろ」、“バカで良かった!”と高らかに宣言する「バカディ・ガッタ!」、地元・北海道への望郷をテーマにした「ジャガイモ機関車」など6曲を収録。「これを聴けば、いろんなことに対して“まあ、いいか”って思えるんじゃない?」(増子直純)という本作は、きつい日常を過ごしているすべての人にリアルな力を与えてくれるはずだ。
今回もバンドのフロントマン、増子直純にソロ・インタビュー。本作と記念すべき2014年について語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 森朋之


 

30周年のいろんな想いを曲にしたっていう

──30周年のラストを飾る“白盤”、年内に間に合いましたね。“紅盤”が出たときは「なんとかもう1枚出さないと、紅白にならないから」って言ってましたけど……。

いやあ、良かったよ、ちゃんと完成して。そこはもう、俺のサジ加減じゃなくて、友康(上原子友康/g)のサジ加減だから。最初はフル・アルバムにしようと思ってたんだよね、実は。でも、アルバムを出したら、そのあとのツアー(<怒髪天、おかげさまで30周年。47都道府県勝手にお礼参りツアー“いや、なんも、おかえしだって。”>)で新曲をたくさんやらなくちゃいけないでしょ? 30周年のツアーで古い曲を削るのはもったいないと思って、だったら、ミニ・アルバム2枚にしようと。

──で、まずは4月に『男呼盛“紅”』をリリースして。

うん。その時点で“白盤”の曲もあったんだけど、ぎりぎりになって「やっぱり違うと思うんだよね」って言い出して、イチから作り直したんだよ。俺じゃなくて、友康が言ったんだけどね。

──わかってます(笑)。

いや、俺ら3人(増子、清水泰次、坂詰克彦)も大変だったんだよ。でも、曲を作れないからしょうがないっていう(笑)。結果、いいものが出来たから良かったけどね。すごく開けてるし、久々に泣きの要素もガッツリ入ってて。歌詞もこれまでの道のりを振り返ったり、望郷だったり。

──30周年の締め括りですからね。

バンドやってるとさ、改めて昔を振り返ることなんてそんなにはないんだよね。でも、去年から今年にかけて、今までのことを振り返るインタビューなんかも結構受けて。そこで感じたことだったり、30周年のいろんな想いを曲にしたっていう。歌詞の中にも、今までの歌のキーワードをわざと入れたりしてるからね。

──なるほど。それにしても1曲目の「ひともしごろ」は驚きました。いきなり壮大なストリングスが聴こえてきて、違うバンドのCDをかけちゃったかと思いましたよ。

みんな思うよ、それ(笑)。俺もずっと“ロック・バンドにストリングスなんて必要ない”って思ってたし。前回と今回は上田(ケンジ)さんにプロデューサーとして入ってもらったんだけど、バンドのメンバーの意思よりも、楽曲を最大限に活かすのが本当のアレンジなんだよね。だから、この曲のストリングは大正解。この楽曲の良さがすごく出てるからね。まあ、ストリングスなんて30年に一回くらいしかやらないと思うけど(笑)。

──次は60周年のときですね(笑)。

結構大変だったからね、ボーカルのレコーディング。ストリングスが入ると、いつも以上に音程を気にしなくちゃいけないんだわ。ちょっとでも音がはずれるとすごく目立つから、普段みたいに“イエー!”って感じで歌えなくて。あんなにシビアだとは思ってなかったな。

──でも、ちゃんと“ロック・バンドのストリングス”になってますよね。

そうだね。アウトロのところで“ギュイーン”ってチョーキングみたいなフレーズが入ってるんだけど、「こんなフレーズ弾いたことない」って、何度も録り直してたからね。

──クラシックではありえないですからね、その奏法。

あと、やっぱり育ちがいいよね(笑)。だいたいバイオリンを習わせるなんて、俺らみたいな労働者階級では絶対にないから。まず高いでしょ、楽器が。ギターだったら先輩にもらったりもするけど、そんなこともないだろうし。

──友康さんのギター・ソロも、いつもとは違うテイストじゃないですか? ちょっとクイーンみたいな感じで。

そうなんだよ。俺もそろそろ(フレディ・マーキュリーのように)髭を生やそうかな(笑)。

48歳なんて言ったら、もっとちゃんとした大人だと思ってたけど

──(笑)。「ガキの頃の 俺がみても ガッカリしないように 生きているか?」というフレーズもこの曲のキモだと思いますが、増子さんは“子供の頃になりたかった自分”になれてますよね?

いや、どうかなあ。この歌自体、自問自答みたいなもんなんだよ。48歳なんて言ったら、もっとちゃんとした大人だと思ってたけど、いまだにいろんなものが不安定だし……。あと、この年齢になってもこんなにゲームとかオモチャが好きだとは思ってなかった(笑)。

──それはある意味、理想なのかも。

そうだな(笑)。ガキの頃って、周りの人を見て“こういう大人にはなりたくない”って思うじゃない? そういう人にはなってないと思うけどね、少なくとも。坂さんは多少なってるかもしれないけど……いや、そんなことすら考えてないか(笑)。まあ、子供のときの自分が見ていると思えば、自ずと歩く道とか、足どりとかも変わってくるんじゃない? そういう意味ではすごくわかりやすいというか、誰でも理解できる、共有してもらえる歌になったと思うよ。俺は自分自身に対して歌ってるんだけど、聴いてる人には“自分の歌”にしてもらえればいいんだし。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人