ACIDMAN ALBUM「有と無」ディスクレビュー

有と無

ALBUM

ACIDMAN

有と無

Virgin Music

2014.11.19 release

初回生産限定盤 紙ジャケット仕様 <CD>
通常盤初回プレス限定 紙ジャケット仕様 <CD>


到達点の向こう側を旅し続けるバンド

 とてもスケールの大きな感動が鳴っている。心の奥底に踏み込むような音楽がアルバムとして結実している。聴き終わったときに、まるで一編の映画を観終わったかのような感触を覚えるアルバムだ。“生きている”とか“いつかは誰もが死んでしまう”とか、誰にとっても身近なことを入り口に、ACIDMANは“生命の神秘”や“宇宙”や“もうひとつの世界”のような深奥まで入り込んで表現を繰り広げているバンドだ。これが10枚目のオリジナル・アルバム。もはやジャンルやスタイルではまったく括れないバンドになっている。

 アルバム全体のテーマは“死後の世界”。死は決して永遠の別れではなく、その悲しみは乗り越えられる。その先がある。有と無、ゼロとイチ、生と死は、交錯しつつひとつになる瞬間がある、という。“オカルトか? 宗教か?”と思う人もいるかもしれない。が、アートというのは目に見えないもの、目の前の現実にはないものと心を通い合わせる方法のひとつでもある。そう考えるならば、ただ単に彼らは“マジ”である、ということなのだと思う。

 アルバム12曲の中でも特に中心的な位置を担っているのは「世界が終わる夜」だろう。ゆったりとしたイントロから、ストリングスと共に情感を高めていき、大サビからアウトロで洪水のようなカタルシスに至る6分強のナンバー。

 2012年にリリースした『ACIDMAN THE BEST』を境目に、前作『新世界』からバンドとしての“第二章”に突入したというACIDMAN。パラレルワールドを描いたという前作から繋がるテーマでもある。ひょっとしたら次作も含めた三部作になっているのでは? とも思わせる。

 バンドの充実を示す一枚だ。

(柴 那典)

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