FoZZtone ALBUM「Return to Earth」ディスクレビュー

Return to Earth

ALBUM

FoZZtone

Return to Earth

SPACE SHOWER MUSIC

2014.11.12 release

<CD>


帰ってきた賢者たち

 私が初めてFoZZtoneの音楽を聴いたのは、それこそ2012年リリースの「LOVE」だった。半端ないスケール(もう人類とかそういう単位)のダイナミズムを、ここまでスタイリッシュかつコンパクトにまとめるなんて、一体なんだこいつらは! そしてメンバーがイケメンってかボーカルが過剰にエロい! という、衝撃的な出会いだった。そこからは、アルバム『INNER KINGDOM(内なる王国)』、シングル『GO WAY GO WAY』、アルバム『Reach to Mars』、ミニ・アルバム『Stomp the Earth』と、タイトルからしてポジティブでパワフルな作品の連なりをもって、我々は彼らからエナジーを頂戴していたわけだ。もちろん、楽曲の幅広さで楽しませてくれるバンドでもあるから、全部が全部リスナーを前へ蹴り出すような楽曲ではなかったが、やはりそこには、三十路男のギラギラしたエネルギーが充満していたように思う。メンタル、フィジカル共に。

 しかし、はたして今作『Return to Earth』はどうだ。暗い、暗いぞFoZZtone。意気揚々と火星へ旅立ち、いざ地球へ、祖国の旗をはためかせながら凱旋してくるかと思えば、もう全然テンション低いし、すごい冷静だし。なんか既視感と思えば、男特有の“賢者モード”に近い。そのくらい、前作までとは気圧差のある作品だ。“耳キーンなるわ!”と思いつつ、こちらも突き上げていた拳をそっと下ろしつつ、後ろ頭を掻きながら、音楽のテンションに合わせてじっくり耳を傾ける。……悔しいかな、やっぱりかっこいいぞ、FoZZtone。冷静沈着に音色と向き合った曲たちは、いぶし銀……とは言い過ぎかもしれないが、一つひとつ重みと存在感があって、ああ、確かにこれは、10周年を超えたバンドにしか作り出せない、一朝一夕には鳴らせないサウンドだなと唸ってしまう。レコーディングの手法においてもこだわっているだけあって、繰り返し聴く度に小さくも面白い発見があり、ベタな言い方になるが本当に見事なスルメ盤と思う。

 そしてまた、渡會(v、g)及びバンドのパーソナルな部分を歌っているであろう「Message from the front」があるからこそ、FoZZtoneは素晴らしいと思う。“「自分らしさ」は勝てなけりゃ意味がない”“「ありのまま」じゃ辿り着けない”。正論や根性論だけでは飯が食えないのが日常であり、彼らもそれは同じで、その目線で気持ちを鼓舞してくれる。これだけの才能があれば、教授のように一生音楽を探求するだけでも存在価値がありそうなものだが、“報われようぜ”と歌ってくれる。そういった意味でも、やっぱり彼らは一流のロック・バンドだなと思うのだ。

 それにしても、みっともない男やカッコ悪い男を、最高にカッコ良く歌うのがうまいな、本当に。こういう男らってたちが悪くて、危なくて、やっぱり大好きだ。

(小島双葉)

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