アンダーグラフ ALBUM「やがて咲く花達へ」ディスクレビュー

やがて咲く花達へ

ALBUM

アンダーグラフ

やがて咲く花達へ

CROWN STONES

2014.11.05 release

<CD>


あらたな音楽性を掴み取った、10年目の傑作

 メジャー・デビュー曲「ツバサ」(’04年)のヒットから約10年。このバンドはようやく、自分たちだけの音楽を掴み取った——そんな手ごたえがまっすぐに伝わってくる。

 アンダーグラフのニュー・アルバム『やがて咲く花達へ』。’12年にギタリストの阿佐亮介が脱退、真戸原直人(vo、g)、中原一真(b)、谷口奈穂子(ds)の3人体制となった彼ら。今年7月、2度目のメジャー・デビューを果たした3人は本作によって、あrたなオリジナリティを提示している。音楽的な特徴としては、まず、ケルト音楽の影響が色濃く感じられる。アイルランド、スコットランドなどに古くから伝わる独特の旋律、音響をダイナミックなバンド・サウンドに取り入れることで、独創的なサウンドスケープを描き出しているのだ。アイリッシュ特有のフィドル奏法によるバイオリンから始まる「手と手」、トラディショナルなフォーク・ソングのテイストが伝わる「埋もれた花達へ」などを聴けば、現在のアンダーグラフの方向性をはっきりと感じてもらえると思う。ケルト音楽を表層的に使うのではなく、日本語の響きを活かした歌と有機的に絡み合っているところも、本作の成果だろう。

 また、このバンド本来の強みであるメッセージ・ソングもたっぷり。“もっと自分を認めてあげようよ”という切実な思いが込められた「君に言いたこと」、“悲しみと苦しみに お別れを伝えよう”というフレーズが心に響く「夢を話そう」。これらの楽曲から伝わってくるのは、リスナーの生活に寄り添い、前向きな気持ちへと導きたいという真摯な願いだ。30代中盤になった彼らはいま、人生の機微、そこで生まれる豊かな感情をしっかりと表現できるバンドへと成長したようだ。

 もうひとつ、「ツバサ 2014 10th anniversary version」についても記しておきたい。自らの代表曲と正面から向き合い、2014年のアンダーグラフの表現へと結びつける——アコーディオンの音色を活かしたこのバージョンは、あらたな音楽性を手にした『やがて咲く花達へ』を象徴していると思う。

 

(森 朋之)

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