go!go!vanillas – 彼らの音楽も存在も、今のシーンであらたな輝きを放っている。そんなロックンロール・バンドがアルバム『Magic Number』を携え、メジャーへ進出。

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go!go!vanillasがメジャー1stフル・アルバム『Magic Number』をリリースする。いや、これは文句なしの傑作だ。2014年にロックンロールを鳴らしている矜持と、2015年以降を見据えてバンドの変化と進化が注ぎ込まれた一枚になっている。このバンドは本当に信用できるし、多くのリスナーに期待してほしい。そういう想いでインタビューした。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一


瞬発力や威力は保ったままバンド・サウンドが強くなった自負がある

──メジャー1stフル・アルバムにして文句なしの傑作で。このアルバムは2015年にかけてかなり効力を発揮すると思う。だから、自信を持って送り出してほしいなって。

4人 ありがとうございます。

──あんまり記号的にはしたくないんだけど、シティ・ポップ的なサウンドも盛り上がりを見せていて、そういう潮流にもフィットすると思うし。

牧達弥 うん、その自覚はあって。今、リスナーとしてはロックンロールを聴いてなかったりするんですよ。このアルバムで今までと違うのは──もちろん歌や曲の構成もかなり意識したんですけど──ビートに対してすごくこだわりを持って臨んで。一時期、Pファンクとかばかり聴いてた時期があったんですね。そこで、リズムに対する意識がすごく芽生えて。循環するリズムだったり、どこでなんの音が鳴っているかをしっかり捉えるということ。ストレートなロックンロールでバーン!って踊らせるというよりは、音の質を見極めていく。そういう部分がシティ・ポップとかにも通じると思うんですよね。例えば「トワイライト」という曲。これはべつにファンクを意識したわけではないけど、音を鳴らすうえでブラック・ミュージックのビート感をイメージしてたんですね。で、セイヤも無意識にそれを感じてくれて、僕のほしいドラムを叩いてくれて。

──あえて抑えを利かせたダンス・ビートって感じですよね。

 そうそう。そのある種の無機質さが大事だなと思って。
ジェットセイヤ マシーンみたいになる感じがありましたね(笑)。
 だからこそ、ハイハットを刻む音とかもより研ぎ澄まされて聴こえるというか。そうやって一音一音を大切にするようになったから、昔みたいなラフさはなくなったかもしれないけど、瞬発力や威力は保ったままバンド・サウンドが強くなった自負があって。

──それは「オリエント」の新録にも言えることですよね。

 まさに。昔はバーッと音を出して、勢いと派手さがあったほうがカッコいいと思ってましたけど、今の僕らが出すべき色はそこじゃないと思って。むしろ大瀧詠一さんだったりシティ・ポップを鳴らすバンドが音のひとつひとつを見極めながらアウトプットしているようなことをしなければいけないと思ったんですね。わかりやすい派手さとかではなく。「オリエント」の新録もそういうことを意識して。

──素晴らしいと思う。

長谷川プリティ敬祐 そういう変化も単純にほかの差別化という意味で選んだ道というよりは、自分たちの意識が自然とそうなっていったことが重要で。ロックンロールの熱量や方法論を祖末にするわけではなくて、今はもうロックンロールがそばに置いていないと離れてしまうものではなくて、そこに安心と信頼があるんですよね。だからほかの音楽ジャンルだったりを聴いて、今までの自分たちと違うタイプの曲が生まれても、ロックンロールは崩れないし、ヤワなものにならないと思ってる。例えば、「シェイク」のロックンロールをバッと鳴らしたときにそれを感じるし。

まずはバンドとして何を表現すべきなのかという共通意識を持たないと

──今回のレコーディングは想像するにとてもシビアだったと思うんですよね。

 そうですね。一曲一曲に僕の理想があって。今まではメンバーの個性を活かすとか、そういうことに重きを置いていたけど、それって曲を良くすることを思うなら決していいことじゃないなって思って。よく言うじゃないですか? 音楽的な方向性がバラバラのメンバーが集まって、それゆえに新しいものが生まれるみたいなことを。でも、それって極みまでいかないとカッコいい曲は生まれないと思うんですよ。まずはバンドとして何を表現すべきなのかという共通意識を持たないとダメで。ライブも含めて。それを持たずにホントにカッコいい曲が生まれるなら、メンバーみんな天才だと思うんですよ。けど、僕らはただ単にメンバーが自由にやっていいバンドではないと思うので。そういうことはしっかりメンバーに伝えなきゃダメだと思った。今回、メジャー1stアルバムをリリースして、たくさんの人に聴かれる状況が生まれると思うんですけど、そこで自分たちが打ち出すべきメッセージや音楽性をちゃんと示さないといけないと思ったから。ここが自分たちのターニング・ポイントだし。

──間違いないですね。

 だからレコーディングでも僕が“これはこうして”っていうことに対する衝突もあったり、逆に僕が思う以上に“すげえいいじゃん!”っていうものをメンバーが表現してくれることもあって。昔だったら“ああ、それでいいんじゃない?”って流してしまう部分がどこかであったんですよね。でも、今は違う。それだけストイックになったんですよね。未来が保証されているわけではないから、いつレコーディングできなくなるかわからないわけで。メンバーの誰かが倒れたりすることだってあるかもしれない。そう考えたらストイックにならざるを得ないですよね。

──このバンドにインタビューするのは3回目なんですけど、どんどんシビアになってる。メジャー・デビューって大きなトピックだし、念願だったと思うし、これほどいいアルバムが出来たら、少しくらいは浮かれるところがあってもおかしくないと思うけど。

 そこは、メンバーみんなそう思ってると思うんですけど、浮かれないのはコンプレックスがあるからで。

──コンプレックス?

 要は、僕らはマイノリティのバンドだと思うんですよ。だからこそ、のうのうとやることはできない。一手一手を真剣に考えて、これが正解だって思ったことをやっていかないと、いつ沈没するかわからないから。あとは、僕が好きなアーティスト、それこそ大瀧詠一さんやナイアガラ・トライアングル周辺の人たちはみんなストイックに音楽をやっていると思うから。だからこそ、最高にオシャレだし、カッコいいと思う。そういう考え方や思想も受け継がなきゃいけないと思ってるんですよね。私生活とかではほかのバンドとも普通に仲よくするけど、自分たちの音楽ってなったときにはほかなんていっさい見えないので。シビアになればなるほど自分たちのライブの出来に不満も覚えるし。最近は特にそう思っていますね。
長谷川 そういう時期って絶対に必要なものだと思うんですよ。そこから目を背けて生まれるものは何もないと思うので。いいものを生み出したいと思う人間が4人いるわけだから、ときにぶつかることも必然だと思うし。
ジェット バンドをやっている以上、つねにラスト・ライブの気持ちでやらないといけないと思うしね。
宮川怜也 バンドのムードがどんどんシビアになったことで自分も変わっていきましたし。ライブ後にもライブ音源を聴いて自分のプレイを見直して。プレイヤーとしてもまだまだ足りないことが多いと思うので、もっと成長しないといけないと思ってます。
長谷川 シビアになったということを言い換えれば、視野が広がったということでもあると思うんですよね。自分のパート以外のことも考える重要性にも気づけた。メンバーが鳴らしてる音をしっかり理解したうえで、自分も納得したいという想いがめちゃめちゃ強まったから。このアルバムの制作でも“怜也、ここのフレーズちょっと弾いてみてよ”とか、“それよりこっちのほうがよくない?”とか、“ドラムはこういうフレーズを叩いてみて”とか、逆にセイヤから“そこのベースはどういうふうに弾いてるの? じゃあ俺はこう叩くわ”みたいな会話が増えたりして。

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