amazarashi ALBUM「夕日信仰ヒガシズム」ディスクレビュー

夕日信仰ヒガシズム

ALBUM

amazarashi

夕日信仰ヒガシズム

ソニー・ミュージックレーベルズ

2014.10.29 release

初回生産限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


夕日の赤に染まったことのあるすべての人に降り注ぐ歌

 地球に生きるすべての人間に一日は等しく24時間という単位で配られ、なおかつその一日は朝〜昼〜夕方〜夜という順序で繰り返されていく。この運行システム、なかなかうまくできているではないかと思ってしまったのは、amazarashiのニュー・アルバム『夕日信仰ヒガシズム』を聴いたからだ。もしも一日が何千時間もあったら、人生はますます過ごしづらいものになっていたに違いない。へこたれたり、自己嫌悪に陥ったりしたときに、夕日を眺めていると、少しだけリセットされた気分になることがある。ドラマに例えると、エンドマークではないけれど、“次回に続く”くらいの感覚。これはそんな夕日に照らされながら日々を生きている人々へエールを送るような作品なのではないだろうか。

 1曲目の「ヒガシズム」の「夕日の前では誰でも等しく赤くそまる」というフレーズがあまりにも素晴らしすぎて、『夕日信仰ヒガシズム』に入信したくなってしまった。と言っても、もちろんこれは宗教的な作品でも思想的な作品でもない。詩的で哲学的で音楽的な作品だ。日々をひたむきに生きる人間と寄り添っていく歌、困難と戦っていくうえで糧となる歌が並んでいる。社会的な視点を備えた「ヒガシズム」はamazarashiの新機軸だろう。今の時代の風潮も見えてきて、これまでよりも俯瞰かつ広角のレンズで描かれている。宮沢賢治にインスパイアーされたと思われる歌詞をパワフルなリズムに乗せて繰り出していくアマチュア時代からの曲「スターライト」、ソリッドなサウンドとサビでの力強い歌声が印象的な「もう一度」など、ライブで盛り上がりそうな歌、聴き手を巻き込んでいく歌がたくさん収録されているのも特徴のひとつ。

 静かに聴き手を巻き込んでいく歌もある。諦めることの悲しみを知っているからこそ、諦めないという意志が込められた「穴を掘っている」、地元の友人との約束がモチーフとなった「雨音」、亡き友人への想いを綴った「ひろ」など、パーソナルでありながらも、人、親、恋人など、人との繋がりが見えてくる歌が目立っている。「それはまた別のお話」もそんな曲のひとつ。「ヒガシズム」と連動するような「夕焼けがやってくる頃に僕らは皆赤くなる」というフレーズにもやられた。ひとりだけど、ひとりじゃない。これはそんな感覚が伝わってくる温かくて力強いヒューマンなアルバムだ。

(長谷川誠)

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