チャットモンチー SINGLE「こころとあたま/いたちごっこ」ディスクレビュー

こころとあたま/いたちごっこ

SINGLE

チャットモンチー

こころとあたま/いたちごっこ

キューンミュージック

2014.10.29 release


2年ぶりに復活したチャットモンチーが4人体制で出発

 3人でも2人でもなく、4人で復活。サポート・メンバーとしてドラムに恒岡章(Hi-STANDARD、CUBISMO GRAFICO FIVE)、キーボード&ギターに下村亮介(the chef cooks me)を迎え、4人体制となったチャットモンチーの実に2年ぶりとなる、通算16枚目のシングルは両A面仕様。橋本絵莉子が心(感じていること)と頭(考えていること)の分離(と肯定)をテーマにした歌詞を書いたあと、メロディを付けるというプロセスはこれまでと変わらない。その後、「アレンジは4人でスタジオで作っていった」という1曲目の「こころとあたま」は、男子メンバーを2人加えた新体制の幕開けを飾る、まさに新機軸といえるバンド・サウンドになっている。イントロのパワフルなドラミングと饒舌なキーボードのフレーズを聴いた瞬間、チャットの新曲とは思えないほどの新鮮な驚きとインパクトがあった。4人それぞれの音やフレーズは独特の個性を放っているのだが、疾走するグルーヴはひとつに束ねられ、固く、太い。2人体勢のときはライブでどう表現するのかが気になっていたが、はやくライブで生の演奏を体感したいと思わせる、ダイナミックでパワフルなナンバーとなっている。特筆すべきは、橋本の歌声。アップ・テンポで強固なバンド・サウンドに負けないたくましさと伸びやかさをたたえている。これまでにない強さを感じるが、これは、結婚、出産を経てというよりも、男子メンバー2人が入ったことによる変化だろう。

 一方、橋本と福岡によるコーラスで始まるピアノ・ロック・ナンバー「いたちごっこ」は、初期のチャットを思わせるムード。橋本が「試しにお酒を飲みながら書いてみた」という楽曲で、サウンドはのどかで素朴なのだが、“東京”を題材にした歌詞は、鋭く本質をついている。彼女たちにとっての現在の東京は、純粋では務まらないけど、鈍感でいると面白くない街。今から約10年前、福岡が上京時の心境として、「働き蜂の巣みたいだ」と書いた代表曲「東京ハチミチオーケストラ」と聴き比べてみるのも面白い。

 また、3曲目にはライブの登場SEに使用されていたgroup_inouによる「変身」のリミックスを収録。橋本の「変身しよう」という呼びかけにこたえる独特のラップもフィーチャー。まったくキャラクターの異なる3曲を聴くにつれ、次々にあらたなガールズ・バンドが勃興したとしても、やはりチャットの変わりはチャットにしかできないんだな〜と痛感させられる一枚となっている。

(永堀アツオ)

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