the pillows ALBUM「ムーンダスト」ディスクレビュー

ムーンダスト

ALBUM

the pillows

ムーンダスト

avex trax

2014.10.22 release


瑞々しさと独創性を兼ね備えたロックンロールへと辿り着いた

 シングル「ハッピー・バースデー」「About A Rock‘n’Roll Band」を含むニュー・アルバム。前作『トライアル』(2012年)から約2年半の間には、バンドの体制を見直す──もっと具体的に言えば、山中さわお(vo、g)が真鍋吉明(g)、佐藤シンイチロウ(ds)に対し、the pillowsを続けるために必要な情熱を持っているのかどうかを確かめた──ための活動休止期間があったのだが、そのシリアスな時期を乗り越えた彼らは本作によって、瑞々しさと独創性を兼ね備えたロックンロールへと辿り着いた。

 このアルバムの最大の特徴はおそらく、ストレートなロックンロール・サウンドを軸にしていることだろう。第3期(1997年1月のアルバム『Please Mr.Lostman』以降)と呼ばれてる時期からは、一貫してオルタナティブ・ミュージックを志向してきたthe pillows。そのサウンドは後続のバンドに大きな影響を与え、海外での人気にも繋がったわけだが、本作ではオルタナティブな要素はかなり抑えられているのだ。そこには山中自身の考え方の変化が反映されているのだが、その結果としてthe pillowsはしなやかでシンプルなロックンロールを再びに手に入れたというわけだ。オルタナティブ・バンドとしてのthe pillowsを愛してきたファンの間では、もしかしすると賛否両論があるかもしれない。しかし“理想を捨てて、バンドを続ける”ということを選択した彼らを否定することは絶対にできない、と思う。

 考えてみるとthe pillowsは、つねに“現実”とぶつかり続けてきた。望むような評価が得られないという時期もあったし、メンバーのテンションが揃わないこともあっただろう。それでも彼らはバンドを続けることを選び、高い音楽性とファンからの強烈な支持を両立させてきたのだ。『ムーンダスト』における変化もまた、バンドを先に進めるためには必要不可欠だったのだと思う。

 バンド結成25周年を記念したライブ<the pillows 25th Anniversary NEVER ENDING STORY“DON’T FORGET TODAY!”」(10月4日/@TOKYO DOME CITY HALL)で山中は「生まれ変わったとしても、同じ道を選んでみせる。それが俺たちの25年間でした」と語った。『ムーンダスト』から始まる新しい道でも彼らは、我々の心と身体を揺さぶる、最高のロックンロールを鳴らし続けるはずだ。

(森朋之)

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