グッドモーニングアメリカ – メジャー2枚目となるニュー・アルバム『inトーキョーシティ』は金廣真悟(vo、g)の日常を切り取った言葉が散りばめられた一枚だ。

グッドモーニングアメリカ

2ndアルバム『inトーキョーシティ』をリリースするグッドモーニングアメリカ。2013年のメジャー・デビュー以来、人気も評価も上昇し続けているが、2014年5月リリースのアニメ「ドラゴンボール改」エンディングテーマ曲「拝啓、ツラツストラ」で圧倒的に注目を集める。そんなタイミングでリリースされる本作は、はじけるバンド・サウンドと打ち込みによる同期をバランスよくミックスした、現在の彼らの勢いを感じさせる意欲作。リアルな日常を切り取った歌詞の鋭さとともに、バンドの進化を確実に感じさせる内容だ。全曲の作詞作曲を手がける金廣真悟に話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 岡本 明


これで全然いいんだっていう発見

──前作から1年半ぶりですけど、今回のアルバムはどんな構想がありました?

デジタルやエレクトロといった要素を増やしたいと思っていました。単純に、同じところにとどまりたくないというのと、自分たちにとって新しいことを追求していきたいという気持ちが僕とドラムのペギは強いので。結果として、今回は同期の音を増やしましたね。

──でも、そっちだけに振り切らないで、バンドの音とうまく混ざるというバランス感覚も働いていますよね?

そうですね。もっと極めることも考えたんですけど、メンバーがステージでキーボードやパッドを操作している姿が想像できなくて(笑)。それに、先に行きすぎてもお客さんを置いてけぼりにしてしまうので。そうならなくて良かったなと思います。

──作っていて新しい発見があったりしました?

僕がパソコンで作ったデモの音をそのまま使ったりしているんです。エンジニアさんがイコライジングを変えて、ちゃんとした音に加工してくれて。自分で作っている段階だと、デモだからそのまま商品化できないなと思っていたんです。「STAY WITH ME」という曲なんですけど、このまま成り立たなかったら誰かにリアレンジをお願いしようと思っていたんですけど、結果としてエンジニアさんのおかげで成り立つことになって。これで全然いいんだっていう発見はありました。このまま作っても、クオリティを上げて煌びやかな音にできるんだって思いましたね。

──それは今後に繋がりますね。デモのデータもそのまま使えるし、そのまま完成形に持っていける。

デモのほうが音がこもっていたり雑だったりするんですけど、それが逆に良かったり。その発見のおかげで、気が楽になりました(笑)。まだ知識が足りないですけど、これから徐々にそういう曲が増えていくかもしれないです。それに、「スクランブル交差点」とかは、電子音が入っていますけど、フォーキーに作った曲なので。そういう、アナログとデジタルを両極端に行き来することももっとやってみたいです。

──アナログな手法とデジタルな手法を使い分けるように、今回から枝分かれしていく可能性もある?

そうです。ただ、基本的には半歩先~一歩先ぐらいのことをやっていきたいので。やりたいことは多いんですけど、行きすぎたと思ったものはちょっと元に戻す作業をしました。

──つい、先に進みがちなんですか?

アルバムの中の曲としてはあってもいいですけど、新しいことをやりすぎるのは怖いというのもあるので。

──「夕暮れ」「スクランブル交差点」は寺岡呼人さんがプロデュースされてますけど、この2曲に絞ったのは何か意図があったんですか?

特にないんですけど(笑)。今回は特にアルバムのコンセプトがなくて、いい曲を作って入れていこうということだったので、2曲ぐらいかなという感じでお願いしました。

──ただ、この2曲は明らかにタイプが違いますね?

そうですね。この2曲はレコーディングしたスタジオが違うというのもあるんですけど。「スクランブル交差点」は絶対に寺岡呼人さんにやっていただきたくて。グッドモーニングアメリカをやる前から僕が温めていた曲で、サビのメロディと言葉はすでに決めていたので、いつかやれるときが来たらお願いしようと思っていました。「夕暮れ」はいくつか候補曲を挙げてデモを聴いていただいて、呼人さんがこれをやりたいということになったのでお願いしました。渡す段階でほぼ出来上がっていた曲です。ただ、今の僕が作ろうと思って作れる曲ではないですね。それもあって感じが違うのかもしれないです。

生活の中で書いたアルバム

──今回、浮上してきたのは何か理由があるんですか?

ずっと作りたかったんですけど、春先のリリースが多くて。出すなら秋~冬にと思っていたんです。

──「スクランブル交差点」はアルバムの最後にくることで、全体の締めにふさわしい曲になっていますね?

そうなりましたね。曲順を決めるとき、「inトーキョーシティ」と「スクランブル交差点」の位置だけは決まってました。

──まるでストーリー展開があるような?

なかったんですけどね(笑)。そもそも『inトーキョーシティ』というタイトルも付けるつもりはなくて。曲自体は今年の元旦に書き初めのように書いたんですけど、歌詞ができたのがいちばん最後で。デモの段階で“トーキョーシティ”という言葉もあったし、“加害者”“被害者”って歌っていて、自分のイメージとその言葉がリンクしたので、こういう題材で取り組もうと思いました。そこから、コンセプトがないアルバムだったので、どういうアルバム・タイトルにしようかなと思ったとき、推し曲をそのまま表題曲にしようと考えたんです。このアルバム自体、生活の中で書いたアルバムなので。前回はほぼ合宿して作ったんですけど、今回は本当に自分の生活の中で書いた曲だから、“トーキョーシティ”と付けるとひとつの筋ができるなと。そこに“in”を付けたら腑に落ちました。

──リアルな言葉使いが多いですよね。生活に根付いた言葉だったり、現実に見えている景色がちりばめられていて。

あまり意識してなかったんですけど、そう言ってくださることが多くて。やっぱり生活の中で作っていたので、ピックアップする言葉が身近なものだったり、そこから派生していろんなことを思ったり。それをそのまま歌詞にすることが、結果として多かったと思ってます。呼人さんの影響もあったんじゃないですか。

──呼人さんから何かアドバイスはあったんですか?

例えば、「スクランブル交差点」だったら、どのスクランブル交差点で、そこには何が見えるか、という話し合いをして。見えるシーンを詰めて、それがどの時間帯なのかとか、ディテールを固めてストーリーを作っていくんです。そういう書き方をしていると、身近なものをピックアップするようになりました。

──リアリティのある景色が浮かんできますね?

言われて気づいたんですけど、景色から歌っていることが多いなと。入りやすい景色を浮かべることで導入部が作りやすかったのかな。ただ、それが多すぎると曲が似てくるし、説明しがちになるので、気を付けないと。

──でも、今思っていることを曲に詰め込めたんじゃないですか?

それもあって、歌詞はレコーディングのギリギリでいいかなと思っているんです。そっちのほうが、自分の今の気持ちが出せるなって。

──以前に書いたときと感じ方が違ってきたということもありますからね。

と思いますね。本当に今が大事だなと。今のグッドモーニングアメリカがある程度詰め込めたと思います。

──歌詞はリアルに世界を切り取っているけれど、バンドの音は弾けている。シリアスなことを歌っていても、これで音が暗いと印象が違ったかもしれないですね?

確かにそうです。でも、こういうふうにぶつけるのが好き、というのがあるので。(違う要素として)赤と青をぶつけるとか。自分の手法のひとつだなと思っているので。

──“加害者”“被害者”“傍観者”と、次々にぶつけていますね?

これは面白い歌詞になりましたね。

──かなりさらけ出せました?

今思っていることは描けたなと思いますけど。全部をさらけ出すというより、自分の中の一部分を切り取る作業に近いので。その中でも矛盾を同居させつつ書くのが好きですね。

──矛盾が同居しているからリアルなんでしょうね?

というふうに思います。そうじゃないとウソになるので。

──今回のレコーディングで印象に残ったことというと?

「inトーキョーシティ」の歌詞を考えているとき、頭の中がぐちゃぐちゃになって。一回、逃げましたね。

──逃げたんですか?

逃げたというか休みをもらって、鬼怒川温泉に行きました。初めてひとりで旅行して、温泉旅館に泊まって。

──なぜ鬼怒川だったんですか?

箱根に行きたかったんですけど、ひとりで泊まれる宿がなくて。次の日がライブということもあって、交通の便が良くてひとりで泊まれるところ、ご飯がおいしくてゆっくりできそうなところを探していたんですけど。箱根がなくて、探したら鬼怒川が出てきて。

──満喫できました?

滞在は短かったですけど、リフレッシュはできました。自然が多い場所だったし。スタジオで作業していると毎日地下にいるわけじゃないですか。そこでずっと根を詰めていて、これはアカン、ちょっともう無理です、現実逃避させてくださいって。そんな難産でこの歌詞はできました。

現実というよりは、自分の心の中で起こっていること

──息抜きになって良かったですね。その「inトーキョーシティ」のミュージック・ビデオにはメンバー皆さんさんが登場されていて。

初演技に挑戦しました。思ったより良くできたというか、演技力がなくてもできるように監督に考えていただいたので。無表情な顔というのもひとつのテーマだったから、あえて表情を作る必要がなかったので助かりました。いろんな感情を抱えつつ演技をするのは難しいなと思いましたね。歩くだけでも難しい。しかも、僕は街の中で撮影しましたから、みんなに見られてた(笑)。

──あれは、もうひとりの自分が自分を殺す、という設定なんですか?

そうですね。現実というよりは、自分の心の中で起こっていることを表現しています。だから血の色も蛍光にしているんです。リアルにすると意味が変わってくるので。結果、良かったです。幸ちゃん(渡邊幸一)の演技以外は良かった。幸ちゃん、カメラ目線が多いので(笑)。

──八王子ではおなじみのラーメン屋、壱発ラーメンも登場してきますね?

いつもお世話になっています(笑)。うかがうたびにでかいチャーシューをいただいたりしているんです。さすがに今回はスタッフが多すぎて、無理でしたけど(笑)。

──作品としては、今の自分たちと今の時代の空気感が表現された映像になりましたね?

そうですね。特に今回、ミュージック・ビデオの監督さん(松平直之氏)がこだわりと熱を持ってやってくださる方で、気持ちを込めて作っていただいたので。そういうふうに、自分たちと波長が合う方を探していたんですけど、出会えて良かったです。また次回作もお願いしたいと思っているので。

──そして12月からツアーが始まりますね?

行ったことない場所に行けるのがうれしいですね。こうしていろんなメディアで取り上げられたり、夏フェスにも出演させていただいて、名前が知られてきたからだと思うんですけど、最近、Facebookに連絡が来て。それが小学校のときに好きだった子からなんですよ。うわ、来た!って(笑)。浜松に住んでいた頃、バレンタインデーにプレゼントをもらって、付き合ってくださいという手紙が入っていたんです。うれしくて、ホワイトデーを返そうと思ったら、インフルエンザでその子がずっと休んでいて返せなくて。返事を書いていたのを渡してないままだったんです。“そういうことがあったんだよ”って書いたら、“じゃあ、両想いだったんだね”って返ってきて(笑)。

──その話だけで曲ができそうですよ。

浜松はドキドキですね(笑)。鬼怒川では宿のスナックに飲みに来ているオバチャンと知り合いになって。バンドをやっててドラゴンボールのエンディングテーマを歌っているって言ったら、娘さんがアニメの背景を描く仕事をしているとか、そんな出会いがあったり。盛岡なので友だちを連れて観に行くって言ってくれましたね。あと、キャンペーンのときに挨拶して、まだ行けてないところに行けるのも楽しみです。ツアーは新しいアルバムからの曲がメインになりそうですけど、後半は2デイズの場所もあるので、どう変えていくか。演出もこれから考えていこうと思います。いいライブになると思うので、楽しみにしていてください。

DISC INFORMATION

「inトーキョーシティ」
FULL ALBUM 2014.10.22 release
日本コロムビア

141020_interview_goodmorningamerica_syokai

↑初回盤 <CD+DVD>

141020_interview_goodmorningamerica_tsujo

↑通常盤 <CD>

<収録曲>
01. inトーキョーシティ
02. アブラカタブラ
03. 何とかなるでしょう
04. STOP THE TIME
05. 拝啓、ツラツストラ
06. コールアップ
07. 夕暮れ
08. ワンダーフルワールド
09. 2014年6月25日我思ふ
10. STAY WITH ME
11. イチ、ニッ、サンでジャンプ
12. スクランブル交差点

PROFILE

渡邊幸一(g、cho)、たなしん(b、cho)、金廣真悟(vo、g)、ペギ(ds、cho)。2001年に、八王子にて前身バンドであるfor better, for worseを結成し、2004年に1stミニ・アルバム『heartsrings』をリリース。2007年より現在のバンド名に変更し、同年に1stデモ音源『1』をリリース。2008年に前ドラマーの脱退とともにペギが加入し現在の編成で活動を開始。様々なイベントへの出演や自主企画“あっ、良いライブここにあります。”の開催等で人気を集め、2013年5月に1stフル・アルバム『未来へのスパイラル』でメジャー・デビューを果たす。

LIVE

<ワンマン>
2ndフルアルバムレコ発ツアー「inトーキョーシティツアー 2014-2015」
2014年12月8日(月)千葉LOOK
2014年12月10日(水)水戸LIGHT HOUSE
2014年12月11日(木)宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-02
2014年12月13日(土)長野LIVEHOUSE J
2014年12月14日(日)金沢vanvan V4
2014年12月16日(火)神戸VARIT.
2014年12月17日(水)京都MUSE
2014年12月19日(金)浜松窓枠
2015年1月09日(金)郡山HIPSHOT JAPAN
2015年1月11日(日)秋田Club SWINDLE
2015年1月12日(月)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2015年1月16日(金)鹿児島SR HALL
2015年1月17日(土)熊本DRUM Be-9
2015年1月18日(日)長崎DRUM Be-7
2015年1月20日(火)山口LIVE rise SHUNAN
2015年1月22日(木)岡山IMAGE
2015年1月24日(土)松山SALONKITTY
2015年1月25日(日)高知X-Pt.
2015年1月27日(火)米子AZTiC laugh
2ndフルアルバムレコ発ツアー「inトーキョーシティツアー 2014-2015」【ワンマンシリーズ】
2015年2月1日(日)札幌 PENNY LANE 24
2015年2月7日(土)仙台 Rensa
2015年2月14日(土)新潟 LOTS
2015年2月21日(土)高松 MONSTER
2015年2月28日(土)福岡 DRUM LOGOS
2015年3月01日(日)広島 CLUB QUATTRO
2015年3月07日(土)大阪 なんばHatch
2015年3月08日(日)大阪 なんばHatch
2015年3月15日(日)名古屋 Zepp Nagoya
2015年3月21日(土)東京 Zepp Tokyo
2015年3月22日(日)東京 Zepp Tokyo

<イベントほか>
2ndフルアルバム『inトーキョーシティ』発売記念「たなしん1日店長イベント」
2014年10月22日(水)タワーレコード渋谷店 3Fイベントスペース
2014年10月25日(土)タワーレコード新宿店 7階イベントスペース

グッドモーニングアメリカ企画フェス「あっ、良いライブここにあります。2014」
2014年11月15日(土)大阪BIG CAT
出演:グッドモーニングアメリカ/KIDS/QOOLAND/go!go!vanillas/さよなら、また今度ね/THE ORAL CIGARETTES/TheSpringSummer/NECOKICKS/BUZZ THE BEARS/My Hair is Bad/Rhythmic Toy World/忘れらんねえよ ほか
2014年11月22日(土)名古屋Diamond Hall
出演:グッドモーニングアメリカ/KEYTALK/シナリオアート/DIRTY OLD MEN/ドラマチックアラスカ/nothingman/HaKU/paionia/ポタリ/ミソッカス ほか
2014年11月24日(月)渋谷O-EAST
出演:グッドモーニングアメリカ/赤色のグリッター/asobius/GOOD ON THE REEL/ザ・チャレンジ/SHIT HAPPENING/JELLYFiSH FLOWER’S/04 Limited Sazabys /東京カランコロン/ネコグスパブリッシング/ヒトリエ/LOST IN TIME/忘れらんねえよ ほか

ツタロックフェス 2014 Vol.2
2014年11月18日(火)TSUTAYA O-EAST、O-WEST、O-nest、O-Crest
出演:グッドモーニングアメリカ/くるり/Cyntia/THREE LIGHT DOWN KINGS/ドラマチックアラスカ/HINTO/BLUE ENCOUNT/Large House Satisfaction ほか

2ndフルアルバム『inトーキョーシティ』発売記念タワーレコードアウトストアLIVE<大阪>
2014年11月29日(土)BRONZE

2ndフルアルバム『inトーキョーシティ』発売記念タワーレコードアウトストアLIVE<名古屋>

2014年12月6日(土)ell.FITS ALL

2ndフルアルバム『inトーキョーシティ』発売記念タワーレコードアウトストアLIVE<東京>
2014年12月7日(日)TSUTAYA O-nest

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