PLASTICZOOMS MINI ALBUM「SECRET POSTCARD」ディスクレビュー

SECRET POSTCARD

MINI ALBUM

PLASTICZOOMS

SECRET POSTCARD

Fifty One Records

2014.10.08 release

<CD>


夜の闇から陽の光がふりそそぐ眩い世界へ

 振り返ってみれば、’83年に全米No.1ヒットになったマイケル・センベロのダンス・ポップ・ナンバー「マニアック」のカバー(3作目のアルバム『CRITICAL FACTOR』に収録)が布石だったわけだ。’09年にデビューしてから自らの美意識にこだわりながら音楽を中心に様々な表現活動を続けてきたネオ・ゴシックな5人組、PLASTICZOOMS。

「MANIAC」のカバーを聴いた時は意外な選曲と思いながら、もともと、同タイトルのホラー映画に書かれたものだからとわかったふりをしたが、彼らはすでにこういう作品を作ろうと考えていたにちがいない。1年ぶりにリリースするこのミニ・アルバムでは“PLASTICZOOMS式POP SONGS”とうたっているように彼らのポップ・サイドを思いっきり押し出してきた。もちろん、ポスト・パンクとエレポップを行き来しながら刺激的なサウンドを作ってきたことを思えば、そんなに驚くべきことはないのかもしれない。しかし、プレイボタンを押していきなり流れ出すトロピカルなギターのフレーズが鮮やかに描きだす、夜の闇から陽の光が燦々と降り注ぐ眩い世界に連れ出されたような変化には、やはりあっと息を飲むしかないだろう。

 その1曲目「Ice Pops」は彼ら流のアダルト・オリエンテッド・ナンバー。その後もディスコ、ギター・ポップと曲調を絶妙に変化させながら、きらきらと輝く光の粒をまとったようなサウンドとともにこれまで隠していた魅力をアピールしている。5曲目の「Pale Spectre」は知る人ぞ知る’80年代前半に活動していたグラスゴー(スコットランド)のポスト・パンク・バンド、ザ・ウェイクのカバー。ギター・ポップ・サウンドににじむ疾走感とメランコリーが心地いい。

 レーベル移籍第1弾となる作品。これが新しいPLASTICZOOMSなのか。それとも一面に過ぎないのか。ひょっとしたら、反動からより一層、暗黒なサウンドに戻るかもしれないし、ここからさらに明るい世界を求めるかもしれない。ラストを飾るアンニュイなバラード・ナンバー「The Morning Sun」を聴きながら彼らの今後を予想してみることにしよう。そんなあらたな楽しみを僕らにプレゼントしてくれたこともこのミニ・アルバムの聴きどころのひとつだろう。猫ジャケも◎。

(山口智男)

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