Analogfish ALBUM「最近のぼくら」ディスクレビュー

最近のぼくら

ALBUM

Analogfish

最近のぼくら

felicity

2014.10.08 release

<CD>


一体になれる曲から考えさせられる曲までを見事に網羅

『荒野 / On the Wild Side』『NEWCLEAR』、そして本作『最近のぼくら』と、徐々に作風の幅は広げつつ……、という印象だ。聴こえてくる音から想起される色彩も増えた。でもそれは、2011年という震災の年から今日まで人々の心の回復と歩を合わせたもの、という見方もできるかもしれない(もちろん、被災地の復旧・復興が遅々として進まない現実を忘れてならないが)。

 いきなりタイトル・ソング「最近のぼくら」って、この曲順ちょっと珍しい。で、“ぼくら”って彼ら3人のことじゃなく、男女のお話。しかも加速しまくる情報の中で置き去りにされる“記憶”の有り様、みたいなテ-マなのが面白い。この曲すごい好き。そもそもストイックでタイトな演奏力が魅力な彼らだが、本作では2曲目「There She Goes(La La La)」とか5曲目「Kids」とかライブで観客と一体になれそうな作品も目立つ。特に前者は“♪ラララ~”を一緒にご唱和可能な寛ぎのア-バン・ソウル風。今回、ゲストも多彩なようだが、ラップに女性ボ-カル(松尾レミ/GLIM SPANKY)が絡む3曲目「Nightfever」も新鮮だ。特に女性ファンには堪らないと思われるのは4曲目「はなさない」じゃないかな。実は本作品中、いちばん色っぺー歌かもしれない。

 健全な問題意識が書かせたであろう作品が6曲目「公平なWorld」。もし彼らを“社会派”と呼ぶなら、こうしたものをしてそう呼ぶのだろう。一転、7曲目「Moments」は電子音がシンフォニックに広がり、いつしか時間の概念が曖昧な中で“その瞬間を永遠に”という詞のフレ-ズが胸に焼き付く。でも、広がると思ったら8曲目「Wednesday」はシュッとストイックでタイトなAnalogfishの印象なのでした。個人的に馴染みあるAOR的な柔らかさの10曲目「Tonight」は、コ-ラスも上手な彼らの良さが出ている。ラスト「Receivers」もコーラスが魅力。あくまで慎重さを忘れず、それでも希望に身を任せようとしている歌、というふうに僕には聴こえた。

(小貫信昭)

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