ソウル・フラワー・ユニオン ALBUM「アンダーグラウンド・レイルロード」ディスクレビュー

アンダーグラウンド・レイルロード

ALBUM

ソウル・フラワー・ユニオン

アンダーグラウンド・レイルロード

BMtunes

2014.10.08 release

<CD>


ストレートに歌い上げたトピカルなメッセージ

 音楽活動と社会活動が地続きになっていることや(そもそも彼ら自身にそういう区別はないかもしれないけれど)、ロックとそのルーツになっている様々な音楽を中心に、もちろん日本列島とその周辺も含め、世界各地のいわゆる辺境音楽にもアプローチしているロックの民俗学なんて言ってみたり、ごった煮サウンドを思えば、一見とっつきにくいかもしれない。しかし、彼らが奏でているのは、あくまでも我々、市井の人々が日々の糧として、ささやかな楽しみとして、慰めとして、団結するきっかけとして、世の中の矛盾に声を上げる手段として口ずさんでいる民衆の音楽だ。個性的ではあるけれど、決して特殊な音楽をやっているわけでも、一部の限られた人たちに向けて演奏しているわけでもない(それはいろいろなところに足を運んでいる活動からも明らかだろう)。

 今一度、思い出したい。ロックだって、そのルーツであるカントリーだって、ブルースだって、歌謡曲だって、レゲエだって、そもそもはそういうものだったはず。それを考えれば、彼らの音楽がとっつきにくいなんてことは全然ない。

 ’93年結成のバンド、ソウル・フラワー・ユニオン。前身バンドからの活動を含めれば、活動歴は30年になろうとしている。リリースした作品も多い。どこから聴いていいかわからない? じゃあ、4年ぶりにリリースしたこのアルバムから聴いてみればいいじゃないか。19世紀のアメリカで黒人奴隷の逃亡を助けた秘密結社とその逃亡路を意味する地下鉄道をモチーフに、あらゆる危険にさらされている世界中(もちろん日本も含め)の子供たちの解放をはじめ、トピカルなメッセージを直喩・暗喩を交え、歌い上げた全14曲。リズム&ブルースに根ざしたエネルギッシュかつ、どちらかと言うとストレートなロックンロール・ナンバーが並んでいるが、そこにアイリッシュ・トラッド、沖縄民謡、日本の祭囃子などが絶妙に入り混じる豊穣さが彼らならでは。そこに宿らせたノスタルジックなメロディは多くの日本人の琴線を大いに奮わせるものだろう。

 2曲収録されているカバーがレゲエ・ダブのパイオニア、リー・“スクラッチ”・ペリーの「アップセッティング・リズム」と、昭和の喜劇王・榎本健一が’54年に社会風刺(いや、政治風刺か)を込めて歌った「これが自由というものか」というところがふるっている。後者はオリジナルの歌詞を加えたことで、そのメッセージはより切実なものになった。

(山口智男)

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