空想委員会 SINGLE「純愛、故に性悪説」ディスクレビュー

純愛、故に性悪説

SINGLE

空想委員会

純愛、故に性悪説

キングレコード

2014.10.08 release

初回限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


女々しい空想が失恋を前向きに転化。物語的サヨナラソング

 今年6月、アルバム『種の起源』でメジャー・デビューを果たした、草食系文学ギター・ロック・バンド・空想委員会の1stシングル「純愛、故に性悪説」が完成。インパクトのある曲タイトルや、“君よ、不幸せであれ。”のコピーだけで興味を誘う今作で歌うのは、サヨナラから始まる空想物語。

 “性悪説”とは中国の思想家・荀子が唱えた、“人間の本性は悪であり、たゆみない努力・修養によって善の状態に達することができる”という説で、“人間の本性は悪であり”の部分から“俺を振った君なんて、不幸せになってしまえ!”という内容を想像するが、そんな短絡的な歌ではなくて。彼らが歌ってるのは、“たゆみない努力・修養によって”の部分。「何回も何回も祈るよ 君よ不幸せであれ」と衝撃的なフレーズで始まり、抑え気味の歌と演奏で「呆気なく終わり告げられた」状況を歌うと、感情的なサビで「君をもっと苦しめたい」と宣戦布告。彼の考えた策とは、君に「惜しい奴ふっちゃった」と思わせるための“自分磨き”。その昔、失恋した坂井真紀が、「ぜったいきれいになってやる」と呟くエステのCMがあったが、まさにそれ。彼らの歌う「君よ不幸せであれ」とは“この恨み、晴らさんでおくべきか”という意味ではなく、“素敵になった自分を見せて、後悔させてやる”というポジティブな意味だったのだ。おぉ、なんという女々しい考え方!(笑) そして楽曲は、頭の中にいつまでも残る「サヨナラ」の声に馳せる、君への未練を歌う中、エンディングへ。僕はこの物語性とそこに込めたメッセージ、聴き手をどんどん惹き込んでいく構成やアレンジ、歌と演奏の表現力に拍手を贈りたい気分だった。

 そのほか、「モテ期 ずっと待ってる 想像するだけで漲る」と歌う「モテ期予備軍」、“目が合っただけでわかる、これは運命”と歌う「インスタントときめき」と、もはや、どぶろっくの「もしかしてだけど」にも近い、空想ソングが収録された今作。シングルながら、アルバム『種の起源』を経て、さらに深みを増した彼らの空想ワールドをたっぷり味わうことのできる、充実した一枚となった。

(フジジュン)

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