Glider – これぞグッド・サウンド、グッド・ソング。“青さ”をテーマに完成した1stアルバム『Glide & Slide』について全員に聞いた。

Glider

2組の兄弟から成る4人組ロック・バンド、Glider。彼らの1stアルバム『Glide & Slide』には、最近の若いバンドでは珍しく王道のUKロックからの影響が清々しいほど全面的に表出している。彼らは若くしてすでに自分たちにとってのグッド・サウンド、グッド・ソングとは何かを理解し、それをシンプルに体現している。全曲に通底しているテーマは、“青さ”。それは時代の流れに翻弄され、消費されるものかという、バンドの透徹した意志を示す色でもある。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一


自分たちが聴いてる音楽を吸収して、消化して、オリジナル曲を作る

──ここまでストレートに王道のUKロックに影響を受けた音と歌を鳴らすのは、今の日本の若いバンドでは希有だなと。逆説的な言い方になるけど、王道ゆえに異端な魅力があるというかね。

栗田ユウスケ でも、自分たちは王道も異端も関係なく、ただただ好きな音楽をやってるというスタンスなんですよね。
栗田マサハル バンドを始めたときから好きな音楽はずっと変わってなくて。(ザ・)ビートルズとかTレックス、レッド・ツェッペリンを聴いてきたんですけど。ライブハウスに出るようになって気づいたんですよね。自分たちのようなサウンドを鳴らしてるバンドがあんまりいないことに。

──逆にライブハウスに出入りするようになるまでは気づかなかった。

マサハル はい。バンド名も複雑な感じの人たちが多かったから、自分たちはストレートかつシンプルなバンド名にしたいなと思って。
椿田リュウジ ライブハウスとかで“渋いことやってるね”って言われたりするしね。
マサハル 最初は“あ、これって渋いんだ?”と思って。そこを目指してるわけじゃないんだけどな、みたいな。
椿田ショウヘイ ほかにこういうバンドがいないなら、それはそれでよかったなって思う部分もありますけどね。

──自分たちの企画を打つときとか、対バン相手が難しいみたいなこともある?

ユウスケ まだライブを企画したことが1回もないんですよ。ハコのブッキングと友だちに呼んでもらったイベントに出たことくらいしかなくて。
マサハル オーディションとかも受けたことないし、今まで企画ライブをやろうと思ったこともなくて。自分たちで発信していくことが重要だなって思うようになったのはホントに最近で。
マサハル そもそも兄弟と幼なじみで組んだバンドで、“プロになるぞ”とかそういう意識が全然ない状態からスタートしたんですよね。シンプルに自分たちが聴いてる音楽を吸収して、消化して、オリジナル曲を作るという発想だけでやってきたから。
ユウスケ だから俺にとっては弟と、弟の友だちと、弟の友だちの弟とバンドをやってるっていう。
全員 (笑)。

──栗田家はご両親も音楽好きなんですか?

ユウスケ 親父がもともとバンドでギターをやっていて。レコードとかも結構家にあったんですよね。ビートルズとか(ザ・ローリング・)ストーンズは親の影響で好きになりましたね。
マサハル TOTOとかジャーニーとかを聴いたときは“違うな”と思ったんですけど、ビートルズとかツェッペリンとかディープ・パープルを聴いたときは“カッコいい!”ってなって。

──そのときからUK指向があったっていうことですよね。

マサハル そうですね。音楽的な指向は中3くらいで固まって、そこから変わってないですね。
ユウスケ 僕はJ-POPから音楽に入ったんですよね。バンドで言えば、Mr.ChildrenとかスピッツとかTHE YELLOW MONKEYとかウルフルズとか。サザンも大好きですね。だから決して洋楽だけ聴いてたわけじゃないんです。で、中学に入ってから洋楽も自ら聴くようになって。そうすると、例えばビートルズが日本のバンドの重要なルーツになってることがわかったりして。

──で、少しずつ兄弟で洋楽を共有するようになって?

ユウスケ でも、兄弟で一緒に音楽を聴いてた感じはなくて。
マサハル 今でも趣味は微妙に違うしね。(ユウスケは)黒人音楽にハマってた時期もあったよね?
ユウスケ そうだね。それはキーボードを弾いて歌ってる僕と、ギタリストのマサハルという、パートの違いが大きいと思うんですよね。マサハルはやっぱりギターをメインに聴いてると思うし、僕は歌をメインに聴いてるので。声が好きになるとそのバンドなりソロ・アーティストなりにどっぷりハマるんです。その判断基準はロックもパンクもソウルもJ-POPも一緒で。

初めて聴いたのはツェッペリンの「移民の歌」

──ボーカルのアプローチや鍵盤のフレーズにおいてブラック・ミュージックから得るものも多いでしょう?

ユウスケ 多いですね。黒人音楽を聴くようになったのは桑田佳祐さんの影響が大きいと思うんですよね。彼のルーツを辿っていったら黒人音楽にも行き着いて。

──いいね。

ユウスケ サザンのすごいところって、黒人音楽や洋楽を全然知らない人が聴いてもすごくいい曲だと思えて、今あらためて聴いたらまんまスライ&ザ・ファミリー・ストーンな曲があったりして。

──元ネタがわかる喜びは特別だよね。

ユウスケ ですね。そうやって何度も曲を楽しめるのって素晴らしいと思うんですよね。

──椿田兄弟は?

リュウジ うちの親父もバンドでギターを弾いていて、家には何本かギターがあってという感じで。親父から“興味があるなら弾いてみれば”ってエレキギターを譲り受けたんですよね。リスナーとしては小学生のときはウルフルズが大好きで。中学生になって初めて観たライブもウルフルズでした。ホール会場だったんですけど、すごい爆音で。衝撃的でしたね。で、次の日に親に電子ドラムを買ってもらったんですよ。ウルフルズの曲を叩きたいと思って。僕もショウヘイもギターをやってたんですけど、ショウヘイがドラムを叩いてるところを見て親父が“うまいじゃん”って。それで僕はドラムをやるのはあきらめたんですよね(笑)。
ショウヘイ あはははは。
リュウジ で、中学でマサハルと一緒になって洋楽をいろいろ教えてもらったんです。初めて聴いたのはツェッペリンの「移民の歌」でしたね。

──最初が「移民の歌」かあ(笑)。

リュウジ “こんな曲があるんだ!”ってビックリしましたね。

──ちょっと怖いくらいの迫力があるし。

リュウジ そうそう。こういうロックもありなんだと思って。

──やっぱり、みんなの世代は海外のロックの名盤を聴いてる同級生って少ないんですか?

マサハル 全然いなかったですね。
ユウスケ 学校の友だちと音楽を共有した記憶ってないですね。あるのはサッカーをやったとか、そういう思い出ばかりで。さっきも言ったように、僕はJ-POPも好きだったんですけど、それでも同級生と共有したりはしなかったですね。
マサハル 僕はJ-POPを拒絶してました(笑)。カッコいいと思えなかったし、例えば「移民の歌」とか自分がカッコいいと思ってる曲を学校の友だちに聴かせても、リュウジはちゃんと反応してくれたけど、ほかはだいたい“なんか気持ち悪い”とか言うんで。

──その気持ち悪さがカッコいいんだけどね(笑)。

マサハル だから余計に“おまえらが聴いてるJ-POPのほうがダサいよ”って意地になってました(笑)。

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