Diggy-MO’ – 7月にSOUL’d OUTを解散した彼が早くもソロとして始動。10月1日、渋谷TSUTAYA O-EASTで行われた<Diggy-MO’ LIVE 2014“DIG IT”>の模様を。【ライブレポート】

Diggy-MO'

Diggy-MO’がステージに還ってきた。ソロ活動としては2度目となるが、SOUL’d OUTの解散を受けて今度は正真正銘ソロ・アーティストとしてのあらたな旅立ちだ。ヒップホップからロック、エレクトロまで飲み込む壮大な音楽性と超絶技巧ラップ、そして聴く者すべての魂を揺さぶる力強いメッセージ。並ぶ者なき孤高のアーティストが切り拓く、新章開幕を告げた初ステージの模様を完全レポートする。

TEXT BY 宮本英夫 PHOTOGRAPHY BY藤巻祐介

Diggyをバンマスとするバンドで、サウンド面での一体感が格段にアップ

 ついにこの日がきた。10月1日、Shibuya TSUTAYA O-EASTで行われた<Diggy-MO’ LIVE 2014“DIG IT”>。SOUL’d OUTの解散ライブから74日というタイミングは、常識で計ればいかにも早い。しかしこの、誰にも構わず生き急ぐような爆走感こそ、Diggy-MO’だ。いったいどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、フロアにはオーディエンス、2階席には関係者、ともにぎっしり埋まった。開演前の会場内には緊張感と期待感が交錯する独特の空気が流れている。

diggy-mo_live03

 DJが軽く音を出したあとにバンドが登場する。これは予想どおりだ。顔を見るとDJ以外はどうやら以前のソロ活動期のメンバーとほぼ同じで、そこに3管のホーン・セクションが加わる大編成。大歓声を浴びてDiggy-MO’が現れる。1曲目はいきなり新曲、強烈なファンク・ビートが炸裂する「Un deux trois」だ。意表を突かれたオーディエンスはどよめき、フロアのあまりの混雑のせいかそれとも一音たりとも聴き漏らすまいと思うせいか、体を動かすことも忘れて聴き入る。Diggyは黒っぽい普段着にジャケットをラフに羽織り、表情は緊張感みなぎるものだがアクションはスムーズで落ち着いているように見える。

 「Heartache Jive」ではホーン・セクションが絶大な破壊力を発揮してスウィンギーに、「ビヨルン」ではクールなシンセのフレーズとタイトなビートが絡み合いロッキッシュに。相当にリハサールを積み重ねただろうことがすぐわかる、一体感ある素晴らしいバンド。「Put your hands up!」「Make some noise!」と煽り言葉を入れながら、グルーヴを乗りこなすDiggy-MO’。以前のソロ期の演奏とはニュアンスが違い、よりソウルフルなバンド・サウンドだ。

 「Drifting Away」ではキーボードのJUNKOOが紹介され、軽快なホンキートンク・ピアノをフィーチャーした高速4ビートが炸裂。「La La FUN」はねばっこいファンク・ビートで押しまくり、一転して「UNCHAIN」ではクールなエレクトロ寄りのアプローチで攻める。「PSYCHE PSYCHE」の聴きどころは櫻井陸来のすさまじいスラップ・ベースと、山崎慶のセットに組み込まれたエレクトリック・ドラムのタイトな響き。言葉よりあえてサウンドに重きを置くかのように、Diggy-MO’の歌い方の強弱がこれまでとはやや異なる気がする。以前のソロがDiggy-MO’+バック・バンドだとすれば、今回の編成はDiggyをバンマスとするバンドで、サウンド面での一体感が格段にアップした印象だ。

 そして「and 7」。思い切りビートを削ぎ落としたイントロに乗せてDiggyが歌い出すと、フロアは異様なざわめきに包まれる。オーディエンスはおそらくSOUL’d OUTの楽曲を予期していなかったのだろう。やるの? やっちゃうの? という戸惑いをもはらんだ空気に委細構わず、言葉を吐き出し続けるDiggy。後半部でギターとトランペットがフリーキーな絡みを聴かせる、相当に刺激的なアレンジだ。さらに「Sweet Grrl パイセン」とS.Oナンバーをたたみ掛ける。

diggy-mo_live01

 中盤では盟友がふたり登場して花を添える。大神:OHGAのラップをフィーチャリングした「hurtt」と、JQ(J’quartus)を加えた3人で歌った「COME ON」だ。天性の明るさを持つOHGAのパフォーマンスにDiggyが笑顔を見せ、曲間のしゃべりがじゃれあいの様相を呈してくると、Diggyが「時間の無駄だ」とピシャリ。もちろん笑顔のままだ。曲が終わると3人でがっちりと握手&ハグ。緊張感のあった場内の空気がふわっとやわらぐのが見えた。

 「Bayside Serenade」は、ボーカリゼーションという意味ではこの日最も印象に残った曲のひとつ。メロウなスロー・ナンバーのラブ・ソングを、つぶやくようにナイーブに歌う。終わって深々と頭を上げたのも珍しく、スウィート・ソウル・シンガーのような歌とふるまいが新しい。「ZA ZA」もライブ映えする曲で、キャッチーなサビのフレーズの吸引力は健在だ。

 この日3曲目のSOUL’d OUTナンバーは「Sticky 69」。ほぼ原曲に忠実な演奏で、すべてのパートをDiggyが歌う。エレクトロっぽい響きの曲だが、中間部のジャジーなパートは生演奏の効果満点で、曲のスケール感がぐっとアップ。ここからホーン・セクションの見せ場が続き、「Wardrove#6」は高速4ビートに乗ってスウィング感たっぷりに、「ToMiTaMi ToMiTaMo」ではもうひとつの主旋律と言っていい抜群にキャッチーなフレーズを披露。Diggyがリードするというよりもむしろ演奏に心地よく乗せられている、といった印象だ。

あの頃と今と、Diggy-MO’のスピリットは何も変わってはいない

 ここで注目の新曲。「Blue World」と名付けられたこの曲は、S.O後期のエレクトロ的な質感を持ったアップ・テンポのナンバーで、切なさと明るさが交錯するようないいメロディを持っている。一聴して親しみやすい曲ゆえ、オーディエンスも落ち着いた様子でじっくりと聴き入っている。と思いきや、「サムライズム」が始まると場内の空気は一変。『Diggyism』の中でも特に血湧き肉踊るハイテンション・ナンバーに狂喜し、“ろっちょんちょん”の大合唱だ。ここまでほとんどMCらしいMCのないDiggyも、「なんだって? 聞こえねーぞ!」と挑発モードに突入。「楽しんでっか? 行くぞ!」の掛け声とともに「爆走夢歌」になだれこむと、バンドも強烈にファンキーでロックな演奏で火に油を注ぐ。それにしてもすごい歌詞だ。「そうさ、まだ行けるはずだろ」「でも、まだ戦ってるから」「ただ行くしかないさ、信じた生き様を」。あの頃と今と、Diggy-MO’のスピリットは何も変わってはいない。

 新曲「Lovin’ Junk」は基本は引き締まった速めのエレクトロ・サウンドだが、随所にバンド・サウンドならではのワイルドさと展開の速さがあり、サビは切なく、間奏は明るい広がりを持ち、長い曲ではないが印象は非常にドラマチック。S.Oの曲というよりもやはりDiggy-MO’のソロ・シングルとしてうってつけの曲だ。リリースは11月5日に決まった。

 「サンキュー。みんなサンキューな」と、本編ラストを告げる短い挨拶のあとに歌われたのは「STAY BEAUTIFUL」。ファンにとっても非常に思い入れの強い曲で、「DREAM DREAM」「HEART HEART」と一緒に歌いながら、やはりすごい歌詞だとつくづく思う。「いつだって同じ詩、新しい風に乗せ唄うんだ」。これほど正確に自らの音楽スタイルを言い当てた歌詞がほかにあるだろうか? ラストは左手で高々と掲げたスリーピース。ここまで21曲、中だるみは一瞬もない。

再びゼロからのカウント・アップ、彼の終わらない旅が今始まった

 アンコールの1曲目には珍しい演出があった。かねて親交のあった ラテン・バンドのボーカル経験を持つSHEILAを迎えて新曲「ノンシャランにゆけば」を披露したのだ。ソロではかつてLISAをフィーチャーしたことがあったが、今回はSHEILAのエアリーな歌声をサビに置いたメロウな曲で、ブルージーでメランコリックなR&Bタイプなのが新しい。Diggyのラップもいつになくソフトで耳あたりが柔らかい。

 ここでメンバー紹介を。トロンボーン馬場佑介。トランペット野口勇介。サックス永田こーせー。DJ AMIGO。ドラムス山崎慶。ベース櫻井陸来。ギター篤志。キーボードJUNKOO。4~5年前の最初のソロ活動期にはそれほど知られていなかったが、その後売れっ子になったミュージシャンが何人もいることに、改めてDiggy-MO’の眼力の確かさを思う。続いてはまたも新曲で「首都高2」。JUNKOOとDiggyがそれぞれキーボードを弾く三連譜のメロディアスな曲、と思うとリズムがダンサブルに変化して、独特の浮遊感を持つスウィートなムードへと着地する。シティポップの面影をたたえたダンス・チューン、といった印象を残す曲だ。

 そして、当然やるであろう重要曲「JUVES」がここで出た。猛烈な疾走感みなぎるビートに乗せて、篤志のギターがとてつもなくワイルドな音色を叩きだす。エレクトロとロックあるいはラップの合体はもはやひとつのスタイルとして定着したが、エレクトロでパンクでヒップホップでなおかつポップというのは、Diggy-MO’以外の誰ができるというのだろう? そのまま「ONE VOW」へと一気に突入する。「全ては信じてたものが壊れたとき、始まるのさ」、そして「夢みてるさ、また再びお前に逢うために」。SOUL’d OUTのラストを飾った「Dear My Cru」の世界観とも響き合う、歌詞の誠実さと予言力に改めて驚く。いや、違う、Diggy-MO’はずっとそういう気持ちで音楽活動を続けてきた。多くを語らずとも、歌詞を読み音を聴けばDiggy-MO’の今がわかる。新曲、過去のソロ曲、そして厳選されたS.Oナンバーが意味するもの。MCがほとんどなかったにも関わらず、<Diggy-MO’ LIVE 2014“DIG IT”>は何よりも雄弁なソロ第1弾の決意表明だった。

 メンバー全員が肩を組んで深々と頭を下げ、万雷の拍手がそれにこたえるなごやかなエンディング。全体的に緊張感はあったものの、ヒリヒリするような焦燥感を伴うものではなく、Diggyのパフォーマンスはあらたな船出にふさわしい落ち着いた余裕を感じるものだった。SOUL’d OUTのラスト・ツアーが“3,2,1”、ラスト・ライブが“0”、そしてこの日の1曲目が「Un deux trios」(1,2,3)というのも、偶然の符丁ではない気がする。ディギーの語呂にひっかけた“DIG IT”=楽しむ/理解する、というテーマも明確だ。再びゼロからのカウント・アップ、Diggy-MO’の終わらない旅が今始まった。

diggy-mo_live02

SETLIST

M01. Un Deux trois
M02. Heartache Jive
M03. ビヨルン
M04. Drifting Away
M05. La La FUN
M06. UNCHAIN
M07. PSYCHE PSYCHE
M08. and 7
M09. Sweet Grrl パイセン
M10. hurtt feat.大神:OHGA
M11. COME ON feat.大神:OHGA+JQ
M12. Bayside Serenade
M13. ZAZA
M14. Sticky 69
M15. Wardrobe #6
M16. ToMiTaMi ToMiTaMo
M17. Blue Worls
M18. サムライズム
M19. 爆走夢歌
M20. Lovin’ Junk
M21. STAY BEAUTIFUL
<ENCORE>
EN01. ノンシャランにゆけば feat.SHEILA
EN02. 首都高2
EN03. JUVES
EN04. ONE VOW

DISC INFORMATION

SINGLE 2014.11.05 release
「Lovin’ Junk」
Do Re Mi/LASTRUM

141105_diggy-mo

PROFILE

2003年にSOUL’d OUTのメインMCとしてシングル「ウェカピポ」でメジャー・デビュー。2008年にはその活動と並行し、同レーベルからDiggy-MO’としてシングル「爆走夢歌」でソロ・デビューを果たす。2014年4月に、SOUL’d OUTとして通算6枚目のオリジナル・アルバム『To From』をリリース。その後の全国ツアーとラスト・ライブをもって解散。そして同年、元2BACKKAのHAMMERが発表した新音楽プロダクション“Ruby Baby Production”を活動拠点とし、セルフ・プロデュースとなるソロ・プロジェクトを再び始動した。

関連リンク

・ OFFICIAL WEBSITE
・ OFFICIAL MOBILE SITE

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人