グッバイフジヤマ EP「ひばりくんの憂鬱ep.」ディスクレビュー

ひばりくんの憂鬱ep.

EP

グッバイフジヤマ

ひばりくんの憂鬱ep.

PTA

2014.09.10 release

<CD>


カラフルなポップスに昇華されたグッバイフジヤマの喜怒哀楽

 今年1月にリリースされた1stミニ・アルバムに続く4曲入りEP。まずは1曲目のタイトルとその曲調に注目だ。「This is pop !」というのは、XTCの1stアルバムに収録されている、彼らの指針表明のようなナンバーと同名。そして回転数をあげたような性急な曲調もその頃のアンディ・パートリッジの指向と似ているし、キャッチーなメロディのクセにパンキッシュで尖った感覚を持っている点も共通している。「This is pop !」に関して言うとスパークスを思い出すようなAメロであり、オブ・モントリオールの登場時を彷彿とさせるチャカポコな楽団風演奏なのも面白い。と、2011年に結成されたこの5人組を聴いていると、洋楽のバックボーンがかなり強く見えてくる。実際にこのバンドがそれらの影響を受けているかどうかはわからないし、例えそうではなかったとしても、結果としてポップ・ミュージックの伝統を受け継ぐ存在になっているのは確かなところだろう。

 2曲目「ひばりくんの憂鬱」あたりになるとUKギター・ポップ系バンドの影も見せつつも、Aメロは超早口ラップでまくしたて、サビでは大合唱間違いなしのシンガロング・スタイルへ。BPMは160台。170台に突入している「This is pop !」と変わらぬスピードと、展開の早さについていくのがやっとという人もいるかもしれない。ホフディランの小宮山雄飛のボーカル・スタイルにも通じるようなところがあるということもあり、曲の良さを味わうというよりも曲の勢いに巻き込まれていくようなスリルがこのバンドの魅力と言ってもいいだろう。「あの日の僕等に会いに行く」「When you wish upon a twinkle star」など、少しテンポを落として変化を持たせたものでも、じっくりと曲を堪能するより、演奏の細かなアレンジなどの妙味につい耳が行ってしまう。

 今年頭に出た1stミニを聴いたときも思ったが、ポップ・ミュージックとは焦燥感そのもの、というような地でいくようなバンドだ。その焦燥感の中にはもちろん甘さもあれば痛みもある。慈しみもあれば怒りも顔を出す。喜怒哀楽の表情豊かさがそのままカラフルなポップスになる、ということを伝えようとしているのかもしれない。

(岡村詩野)

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