Galileo Galilei MINI ALBUM「See More Glass」ディスクレビュー

See More Glass

MINI ALBUM

Galileo Galilei

See More Glass

SMEレコーズ

2014.10.01 release

初回生産限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


これまで以上に生々しいリアリティを伴った作品

 前作「ALARMS」に続き、ニューヨークを拠点に活動するポップ・バンド“POP ETC”のクリストファー・チュウとの共同プロデュースによるミニ・アルバム。タイトルの“See More Glass”はおそらく(というか、絶対的な確信を持って)、J.D.サリンジャーの小説に登場するシーモア・グラースに由来している。サリンジャーの作品において重要な役割を果たしてるグラース家の長男、シーモアはきわめて魅力的なキャラクターだ。芸術に造詣が深く、東洋的、仏教的な思想──つまり、アメリカで暮らす人間としてはきわめて風変りな──を持ち、ふだんは穏やかで優しいのに、突如として理解不能な行動に出る。そんな彼の在り方が尾崎雄貴に似ていると感じてしまうのは、少々強引だろうか。

 本作に収録されている楽曲の歌詞は、身近な出来事を題材にして書かれているという。爽やかな夏の情景と葛藤だらけの感情がオーバーラップするギターポップ・チューン「サニーデイハッピーエンド」、フォーキーなメロディと「逃げよう僕らは そうやって生きるって決めたろ」というフレーズがひとつになった「山賊と渡り鳥のうた」、幼少の頃の思い出、そこに伴う切ない喪失感を描き出した「ブリキと銀とウォルナット」。これらの楽曲から伝わってくるのは、繊細で、大胆で、すぐれた芸術性と独創的な世界観を持った尾崎自身の姿だ。本作についての文章の中で尾崎は「僕自身がちゃんとソング・ライターでありたかった」「自分で書いた曲を自分で歌う。これはバンドにとっても自然な形だったんだ」と記しているが、その結果として『See More Glass』はこれまで以上に生々しいリアリティを伴った作品となった。

 海外のインディーロック・シーンとリンクしたアレンジもさらに進化。先鋭的なサウンドと体温が感じられる歌がしっかりと結びついた本作は、Galileo Galileiというバンドにとっても大事なターニング・ポイントになるかもしれない。(ちなみに個人的ベスト・トラックは女性シンガーAimerをフィーチャーした「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹 with Aimer」。“バナナフィッシュ”と“シーモア”の関係も興味深いので、知らない方はぜひ調べてみてください)

(森朋之)

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