ねごと – バンドの好テンションっぷりが伝わってくるシングル「アンモナイト!/黄昏ラプソディ」について、フロントマン、蒼山幸子に話を聞く──。

ねごと

今年5月、第2章の始まりとも言えるミニ・アルバム『“Z”OOM』のリリース。夏フェスでもポップかつエッジーなサウンドによってオーディエンスを魅了するなど、好調ぶりをアピールしている“ねごと”から、8thシングル「アンモナイト!/黄昏ラプソディ」が到着した。みずみずしいバンド感とキュートなメロディがひとつになった「アンモナイト!」、そして、ジャズ〜ソウル・ミュージックのエッセンスを取り入れながら、現代的なロック・ミュージックへと結びつけた「黄昏のラプソディ」からは、このバンドのクリエイティビティがさらに広がっていることが伝わってくる。今回はボーカル&キーボードの蒼山幸子に単独インタビューを敢行。ニュー・シングルのコンセプトから現在のバンドのモードまで、たっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY  森朋之


自分たちのモード的にも、さらに開けてきている

──今年の夏フェス・シーズンはどうでした?

今年もいくつか出させていただいたんですけど、すごく楽しかったですね。8月は“ROCK IN JAPAN FES.”から始まって、ワーハピ(“WORLD HAPPINESS”)、“GIRLS’ FACTORY”ではももクロ(ももいろクローバーZ)ちゃんと共演させてもって、“MONSTER bash”にも出させてもらって。そう、モンバスのケータリングのうどんが美味しすぎて、5杯も食べちゃいました(笑)。

──(笑)。ホントにいろんなタイプのフェスに出てますよね。

そうですね。ライブの手ごたえもすごくあったんです。自分たちのモード的にも、さらに開けてきているというか、一個一個のライブがホントに楽しくて。(フェスでは)“ねごとは初見”という人も多いと思うんですけど、以前はそれがすごいプレッシャーになったり、不安に繋がったりもしてたんですね。でも、今は、“ねごとのことをもっと知ってほしい、聴いてほしい”という前向きな気持ちになれているので。「アンモナイト!」もすでにライブでやってるんですけど、新曲なのにお客さんに歌ってもらったりしています(笑)。

──そうやって前向きになれたのには、何かきっかけがあったんですか?

『“Z”OOM』というミニ・アルバムもひとつのきっかけだと思います。ねごとの第2章の始まりというか、新しい気持ちで出したミニ・アルバムでもあるんですよ。制作のときも“今、自分たちは何をやりたいのか?”“どういうふうに音楽をやりたいんだっけ?”ということを見つめ直して……メンバー全員が歌詞にチャレンジしたのもそうなんですど、そこで“一歩踏み出してみたら、こんなに開けた景色が待ってるんだ”ということもちゃんと感じられたので。そこからですね、ライブの向き合い方が変わってきたのは。

──そこからバンドのテンションもさらに上がってきた、と。

しかも、私たちが発信したものを(オーディエンスが)ちゃんとキャッチして、返してくれている感覚もすごくあるんですよね。『“Z”OOM』を出したあとにワンマン・ライブを3本やったんですけど、“待っててくれた”という雰囲気がすごくあったし、“盛り上がるぞ、楽しむぞ”っていう勢いも増してたんですよ。あと、若い子とか女の子が増えてきたのもうれしかったし。一本一本のライブを“開いて”やっていけるようになったのは、やっぱり大きいと思うんですよね。自分たちのモードをライブに反映できれば、お客さんも“次も見てみたいな”と思ってくれると思うので。

歌を強いものにしたいという気持ち

──なるほど。今のねごとの状態の良さは、今回のシングルにも出てますよね。

『“Z”OOM』を録り終ったタイミングでシングルの制作を始めたんですけど、まず、曲の作り方が今までとは違うんですよ。これまでは、まずオケを作ってから、そこに歌詞とメロディを乗せることが多かったんです。でも今回はメロと歌詞を作ってから、みんなでアレンジしていって。まったく逆の作業ですよね。

──新しい作り方に挑戦してみようと思ったのはどうしてですか?

歌を強いものにしたいという気持ちですね、やっぱり。今のバンドのアティテュードとしてもそうだし、いろんな人に聴いてもらうためにも、そこが核になるので。歌をしっかり固めてから作業したほうが、バンドのビジョンもひとつになりやすいですからね。候補曲の中には、今までどおりにオケから作った曲もあったんです。でも、“今の自分たちのモードに合ってる曲はどれだろう?”ってみんなで考えた結果、歌詞とメロディを先に作った2曲が選ばれて。

──最初のデモって、蒼山さんの弾き語りなんですか?

いえ、慣れないGarageBandを使って、簡易なデモを作りました。家で曲を作るときはピアノを使わないんですね、私。ギターとかで作ることが多いんですけど、基本となるコードと大ざっぱなリズムを付けて、それを瑞紀(沙田瑞紀/ギター)に渡して、リアレンジしてもらうっていう形ですね。

──なるほど。GarageBandとか、上手に使えそうですけどね。

いやー……機械オンチだと思い込んでるところがあるんですよ。やればできるんだろうけど、基本的にすごいめんどくさがりなんで(笑)。アナログが好きで、デジタル機器にも詳しくないし。好きなものにはすごく集中するんですけど、興味がないとどうしても後回しにしてしまって……(苦笑)。でも、この1年くらいで歌の大切さを思い知ったし、歌を強くするためには、デモの段階からちょっとしたスケッチみたいなものがあったほうがいいなと思っているので。

──“バンドのメッセージを伝えるのは、フロントマンである自分の役割だ”という意識も強くなった?

そうですね。フロントマンというものに対する意識はすごく変わりました。実際ライブでも、立ち位置が去年から変わったんですよ。それまではステージの上手側にいたんですけど、今は真ん中で歌うようになっていて。見える景色も変わったし、歌をまっすぐ届けたいという気持ちもさらに強くなりましたね。あと、曲の中に“ここは譲れない”という部分をしっかり持つことも大事だなって。ちょっとでも曖昧な部分があると、それがわだかまりみたいになって、パフォーマンスや声に出てしまうんですよ。

──曲作りのスタンスにも繋がっているわけですね。

はい。今までの制作はどちらかというと“みんなで作る”ということを大事にしてたんです。でも、ヘンにその場の空気を気にしたり、バランスを取ろうとしちゃいけないんだなって気づいて。もちろん周りの意見は聞くし、それを取り入れることもあるけど、“どういうふうに歌いたいか?”ということは、自分でクリアにしておかないといけないので。曲を作ってるときも“ここはいいな”っていう部分があれば、思い切ってそれを押し出す決断をしなくちゃいけないこともわかってきましたね。

しかもこの歌詞、“恋愛”をテーマに打ち出してるんです

──「アンモナイト!」の場合はどうだったんですか?

テーマは“アンモナイト!”です(笑)。“アンモナイト”という言葉を使いたいというところから始まって、Bメロの「アンモナイト! きみに会いにいかないと」というフレーズが出来て、そこから広げていった曲なので。ライブでもそのフレーズを歌ってほしいんですよね。しかもこの歌詞、“恋愛”をテーマに打ち出してるんです。今まではボヤかしたり、滲ませる感じにすることが多かったんですが、今は“勝負したい”という気持ちもあるし、歌詞も振り切ってみたいなって。

──めちゃくちゃフックのあるフレーズですよね。よく考えると意味がわからないんだけど(笑)、すごく耳に残る。

今って、シンプルでわかりやすい歌詞が多いと思うですよ。でも、例えば、私が小さい頃から聴いてた井上陽水さんの曲とかは、意味がわからなくても、言葉やイメージがすごく残るし、歌いたくなるんですよね。ねごとでも、そういうことをやってみたくて。

──なるほど。ちなみに陽水さんはご両親が聴いてたんですか?

そうです。小さい頃から「傘がない」とか「断絶」を車の中で聴いてて。子供ながらに“すごい歌詞だな”って思ってましたね。

──「アンモナイト!」のサウンドにも新しさを感じました。思い切りポップに振り切ってますよね?

そうですね。ねごとの曲って、コードがちょっと歪んでたり、リズムが複雑だったりして、それが持ち味になっていたと思うんです。でも「アンモナイト!」に関しては、あくまでも歌を立たせることを意識して、その中でどう遊べるか? ということを考えていたので。珍しくパワーコード(ルート音と5度の音だけのシンプルなコード)を使ってるんですよ、この曲。(曲の)入りのドラムも、(澤村)小夜子の手癖から考えると、ものすごくシンプルだし。シンセの音色なんかには、ねごとらしさが宿ってると思いますけどね。

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