THE PINBALLS ALBUM「THE PINBALLS」ディスクレビュー

THE PINBALLS

ALBUM

THE PINBALLS

THE PINBALLS

No Big Deal Records

2014.09.17 release

<CD>


強固たる思いを封じ込めた“切り札”

 4ピース・ガレージロック・バンド・THE PINBALLSが、ついに1stフル・アルバムをリリースする。

“初のフル・アルバム?(そうだっけ?)えっ! セルフ・タイトルなの!?”というのがニュースサイトで本作のリリースを知ったときの正直な私の反応なのだが、“ジャパニーズ・ガレージロック・リバイバルの旗手”としてダイナミックな王道ロック・サウンドを堂々とかき鳴らす彼らの本作までの道のりは意外にも長いのだ。

 ざっくりと歴史を振り返ってみる。THE PINBALLSは、2006年に結成。ライブ活動を続けつつ、2010年にタワーレコードが主催するオーディションでグランプリを獲得。数々の大型フェスなどへの出演しつつ、作品を発表してきた。その後、レーベルを移籍して初の作品となった前作『ONE EYED WILLY』(2013年11月発売のミニ・アルバム)をリリース。4人で舵を取り邁進してきたなかでいよいよ出来上がったのが本作である。

“待望”という言葉では事足りない作品の内容は、ライブで培ってきた生々しいほどのグルーヴを最大限に生かした孤高のロック・サウンド! 冒頭からブルージーな「カルタゴ滅ぶべし」でどっぷり世界に引き込んだあとは、4つ打ちのダンサンブルなロック・チューン「FREAK’S SHOW」へと展開。その調子で最後まで、ライブさながらの高揚感を堪能できてしまうのだ。なかでも、情緒的なインスト曲「農園の婚礼」からのリード・トラック「真夏のシューメイカー」の流れは、ドラマチックでたまらない気分にさせてくれる。

 前作と比べるとポップな要素はやや少なめで、ノリがいい曲が好きな人にとっては味気ないかもしれないが、バラードもダンサンブルなナンバーも、彼ららしく泥臭さを持って収めた1本筋の通った正統派アルバムとも言えるだろう。

 そして、間もなく本作を引っ提げた全国ツアーがスタートする。立場的には“アルバムを聴いてから行ったほうがいい!”と豪語すべきだとは思うが、ライブ感が封じ込まれた作品だからこそ、どっちが先かは気にせずに会場に足を運んで“THE PINBALLS”のサウンドを全身で体感してみてほしい。どちらも心を満たしてくれるはずだ。

(大島あゆみ)

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