uchuu, ALBUM「HAPPY」ディスクレビュー

HAPPY

ALBUM

uchuu,

HAPPY

Play decibel / SPACE SHOWER MUSIC

2014.09.17 release

<CD>


“踊れるROCK”の進化を体現するuchuu,の新作

“踊れるROCK”はいまやバンド・シーンの中心的なスタイルとなり(要するにめちゃくちゃ流行って、飽和状態になっている)、さして目新くはない。リスナーにとっては4つ打ちのダンス・ビート(BPMは160〜170あたり)こそが当たり前であり、その枠から少しでも外れると露骨に反応が薄くなったりする。そこで大事なのは“リスナーの要求を満たしながら、いかにバンドの個性・アイデンティティを提示していくか”ということになるわけだが、そういう意味でもこのバンドのトライはとても興味深い。

 大阪を拠点に活動を続けるロック・バンド、uchuu,。昨年12月に初の全国流通音源『Weltraum;Gate』(タイトルの意味は“宇宙の扉”)を発表、最新鋭のエレクトロと肉体的なバンド・サウンドを融合した音楽性でシュアな耳を持つリスナーの心を捉えた。その後も精力的なライブ活動を続けてきた彼らだが、その成果は2ndミニ・アルバム『HAPPY』にもはっきりと表れている。

 5人体制となって初の音源となる本作。ダンス・ミュージックの感覚を本能的に捉えたバンド・サウンド、エレクトロ、EDMのテイストを取り入れたアレンジはさらに進化。また今回のアルバムでは、バンドの中心であるK(vo、g、programming)が放つメッセージ性の強い歌詞も大きなポイントになっている。uchuu,というバンド名には“満ち足りた世界で何を生きがいに生きていくのか、現代を生きるすべての人への投げかけ”という意味が含まれているという。その意思は「HAPPY」の歌詞にも強く反映されているようだ。

 快楽的なビートとキャッチーなメロディに身を任せながらも、頭のなかでは“自分とは何か?”という根源的な問いかけが渦巻く。それは多くのリスナーにとって、まったく新しい音楽体験となるだろう。ライブハウスで騒ぎまくるだけではなく、音楽が終わったあとに深みのある余韻が残る——uchuu,の独創性はおそらく、そこに存在している。

(森 朋之)

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