SOIL&”PIMP”SESSIONS ALBUM「Brothers & Sisters」ディスクレビュー

Brothers & Sisters

ALBUM

SOIL&”PIMP”SESSIONS

Brothers & Sisters

ビクターエンタテインメント

2014.09.03 release

初回盤
通常盤


さらなる進化のための原点回帰的な新作

 昨年リリースされた10周年アニバーサリー・アルバム『CIRCLES』では、たびたび共演を果たしている椎名林檎ほか、RHYMESTERや七尾旅人といったゲストを迎えたSOIL&”PIMP”SESSIONS。その表現の主軸にあるジャズにパンクやクラブ・ミュージックなどの様々な要素を加えた独自の音楽性、彼らが言うところのデス・ジャズは、一般リスナーにジャズの門戸を開放してきた。そんな彼らの歌モノに対するトライアルは、さらに多くのリスナーを巻き込むことになったが、次なる10年に向けた、その第一歩となるニュー・アルバムは、ゲストを迎えず、セクステットの演奏に立ち返った、さらなる進化としての原点回帰的な作品である。

 インストゥルメンタルというと、日本におけるインストゥルメンタル・バンドが時としてメロディに寄りかかりすぎているのに対して、SOIL&”PIMP”SESSIONSはジャズの醍醐味であるインプロビゼーションとメロディのバランスが絶妙な楽曲を特徴としており、本作においても、そんな彼らの作風にぶれはまったく感じられない。現代音楽家、スティーヴ・ライヒのミニマル・ミュージックを彷彿とさせる丈青のピアノが印象的な冒頭の「Love Immediately」からハードコア・パンクばりのファストかつアグレッシブな演奏を聴かせる「表nothin’ 裏girl」やスローモーなハウスのリズムを下敷きにした「Shout!!」など、変化に富んだ全12曲を収録。それぞれのメンバーが感覚を研ぎ澄ませて臨んでいる様が目に浮かぶインタープレイが聴き手のテンションをぐっと高めてくれる。そして、作品を締め括るのは、作曲家のアレックス・ノースがスタンリー・キューブリックの映画『スパルタカス』のために作曲した「Spartacus Love Theme」。この曲は、ヒップホップのトラック・メイカー、Nujabesが「The Final View」でユセフ・ラティーフの名演をサンプリングし、INO hidefumiがカバーしたことで日本のクラブ・ミュージック・シーンでもよく知られている一曲だが、ここではヒップホップの跳ねたリズムとともにエモーショナルな演奏を展開し、ジャズのニュースタンダードをめざす11年目の活動に美しい花を添えている。

(小野田雄)

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