the pillows SINGLE「About A Rock’n’Roll Band」ディスクレビュー

About A Rock'n'Roll Band

SINGLE

the pillows

About A Rock’n’Roll Band

avex trax

2014.09.17 release

<CD+DVD>
<CD>


25年の歩みの原動力、“ロックンロールの引力”を歌う

 結成25周年となるthe pillows。昨年リリースされたシングル「ハッピー・バースデー」は25周年のスタートであり、これまでの歩みを前提としてあらたな一歩を踏み出した楽曲だったが、今回は変わることのない“ロックンロールの引力”を改めて高らかに歌い上げたシングルだ。

 タイトル曲である「About A Rock’n’Roll Band」は、初めてロックンロールに出会った瞬間に受けたメッセージをあらたな気持ちで作品化したナンバー。自らの内側に生まれた衝動と、それを曲にしていく興奮。ファンやオーディエンスと共有する熱狂。そんなプロセスを25年、身体に刻み続けてきた。何かを埋めようとするのではなく、埋まらないまま、それでも走り出そうとする衝動こそがロックンロールであり、そこに魅入られた彼らの姿がここにある。希望と挫折を繰り返し、“終わらない日々”を過ごしてきたからこそ伝わる、強くてしなやかな言葉。そこには限りないリアリティが潜んでいる。分厚いギター・サウンドと盤石のリズムが作り上げる説得力とともに、みずみずしいメロディとパワフルな歌声がはじける新鮮な楽曲に仕上がった。

 カップリング曲「Pumpkin and atrocity」は英語詞と軽やかなビートが心躍らせるナンバー。メロディやアレンジに’60年代ブリティッシュ・ビートの要素を取り入れつつ、ここでも普遍的なロックンロールの魅力を放つ。ミディアム・テンポの「Snoozer」はシンプルなサウンドに乗せて、満たされない孤独な心の内面を独白。走り続けてきた足跡を振り返ると、そこには見落としていた花が咲いていることに気づく。歌詞に登場する「灰」や「砂漠」と対比される「名もなき花」とは、この先に見える未来の扉に思えてくる。25年のキャリアが生み出した、深い優しさがここにある。

(岡本明)

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