WHITE ASH – モード学園2014年TV CMソングとして今春よりすでに流れていた「Hopes Bright」。耳にこびりつくインパクトを残す本作について、のび太に聞く。

WHITE ASH

昨年12月にリリースしたアルバム『Ciao,Fake Kings』から9ヵ月。WHITE ASHがニュー・シングル「Hopes Bright」をリリースする。「モード学園」のTV CMソングとして大量オンエアされているので、耳にしているリスナーも多いだろう。WHITE ASH節とも言うべき不敵なダークネスを湛えたキャッチーなメロディは健在。そして、勢い任せのサウンドを鳴らすのではなく、バンドがじっくりと高まらせていくグルーヴでリスナーをいかに踊らせるか。シングルのリード曲としては初となる全編日本語詞の歌詞もトピックのひとつだ。のび太は相変わらずバンドが鳴らすべきロック・ミュージック像を冷静かつ明確に定めている。しかし、だからこそ日本のロック・シーンとの温度差も強く感じている。インタビューはそういう話から始まった。

INTERVIEW & TEXT BY  三宅正一

自分たちがホントにカッコいい音楽を作るっていうことだけに集中しよう

──まず、昨年リリースした2ndアルバム『Ciao,Fake Kings』の反応をどう受け止めてますか?
結果的に言うと、大正解だったなと思ってます。ツアーを全会場ソールド・アウトできたということも含めて、僕らがやりたいことが、ちゃんとWHITE ASHを好きでいてくれるファンの人たちに伝わったなという実感がありましたね。ただ、アルバムのときの取材でもそういう話をしたと思うんですけど、最近、いろんなバンドのインタビューで、今のロック・シーンについての議論があるじゃないですか?
──うん。
でも、そういうことをずっと議論してると視野が狭くなるなと思い始めて。だから、もはやロック・シーン云々っていう話はいったん置いといて、自分たちがホントにカッコいい音楽を作るっていうことだけに集中しようと思ったんです。それで出来たのが今回のシングルで。
──いち抜けた、っていう感じなの?
そう。そういう議論をしているのって結局ロックの人たちだけだからと思って。それ以外の人たちはそんなに気にしてないし。
──それはそうでしょ。現場がそこにある人たちが危機感を感じているわけで。その向こう側を見る前に、自分が立っている現場をもっと良くしたいと思うのは当然だと思うし。
でも、僕は結構、天の邪鬼なところがあるから、そういう議論があまりに多いと、そこからドロップアウトしたくなっちゃうんですよね(笑)。だから、この曲も“ロック・シーンに対するカウンター”みたいな感じではなく、もっとほかの言い方ができないかなと思っていて。
──このシングルは相対化する対象をなくして、曲だけで語れるものにしたかったっていうことだよね。でも、そもそも“シンプルかつカッコいいロック”を追求するというのはバンドの根本的なテーマじゃないですか。そこに立ち返っただけとも言えるのかなって。
うん、そうですね。

自然と身体が動いちゃうようなカッコいい曲を作らないと嘘だなと思って

──プラス、「モード学園」のTV CMソングとして世間に触れられる機会を得たからこそ攻めるっていう。
そうそう。「モード学園」のTV CMソングに起用されるっていうことは、普段ロックを聴かない人たちにもある種、強制的に曲を聴いてもらえるってことじゃないですか。そこでいろんな人の耳に残る曲を作りたいなと思って。そういう意味ではすでに狙いどおりの反応を多くもらっていて。
──ロックに馴染みのない層も意識しつつも、かといって、いきなりコマーシャリズム全開にしてバンドの核をないがしろにするつもりはさらさらなかったっていうのがよくわかる曲で。
CMディレクターの方にプレゼンをしていただいたときに、僕らのことをすごく知ってくれてることがわかって。シングルのカップリングまでちゃんと聴いてくれている方だったんですよ。そのときに言われたのが、「パンチのあるギター・リフはほしいです」くらいで。それ以外のことはテンポにしても歌詞に関しても「WHITE ASHを信用してるので任せます」って言ってくれて。そんなありがたい話もないなって。その中で、今、個人的に腰にキて自然と身体が動いちゃうロックが減ってきてるなと思って。
──この曲のBPMは98。テンポをグッと落としたうえでグルーヴを出すというのは『Ciao,Fake Kings』と地続きのテーマでもありますよね。
そうですね。
──ただ、『Ciao,Fake Kings』ではあきらかにシーンに対するカウンターとしてそのテーマを掲げていたけど、このシングルはもっとシンプルな発想でテーマと向き合って、こういう曲が出来たっていう。
そうそう。結果的にそうなるというか。僕が自分でカッコいいと思う曲を作ると、結果的にシーンに対するカウンターっぽくなっちゃうんですよね。それはもうしょうがないなって思う。でも、ロック・シーンっていう狭いところしか見てないと思われたくないというか。
──脊髄反射的にテンポが速いほうがノレるしカッコいいって思っている若いリスナーも多いと思うんだけど、のび太氏が得ようとしている市民権の中にその人たちは含まれてないっていうところまで思ってるのかな?
いや、そんなことはまったくないです。でも、若い人だけがWHITE ASHのターゲットだとは思ってない。だから、自然と身体が動いちゃうようなカッコいい曲を作らないと嘘だなと思って。インスタント・ミュージックって簡単に作りやすいけど、すぐに消費もされやすいので。今のロック・シーンを楽しんでる若い子が5年後、10年後に同じような音楽を聴いてるのかって思うと疑問だし。でも、僕らは何年後、何十年後に聴いてもカッコいいと思える音楽だけを作りたいんです。だから、インスタントな即効性はあまり重視してないんですよ。この前、出演する予定のイベントが雨で中止になっちゃって、その代わりに握手会をやったら、結構、上の世代の方が多く来てくれて。
──ほお。
30代や40代の方もいて。主婦の方で「夜はライブに行けないから、昼間にやってくれたらうれしいです」って言ってくれる人がいたり。親子連れとかおばあちゃんもいたし。若い層だけじゃなかったのがすごくうれしかったんですよね。

買ってくれた作品をずっと大切にしてもらえる強度や質を提供したい

──特化した趣味をのぞいて、大人になればなるほどカルチャーにお金を落とさなくなるのは確かなんだけど、ロック・シーンも若年層だけをターゲットにするのはそろそろ無理があると思うんですよね。若年層に訴求するのはいいんだけど、媚びを売るようなモノ作りや売り方って危険だなって。クリエイティブって目線を下げたらおしまいだと思うから。
うんうん。わかります。僕自身は、CDでもグッズでもちゃんと品質が保証されたものを買ってもらえれば、何年後にも“これを買って良かったな”って思ってもらえると思うんですよ。若い子たちがこういうものが好きだから、こういうものを大量生産しよう、買ってくれたらラッキーじゃなくて、買ってくれたその作品やものをずっと大切にしてもらえるくらいの強度や質を提供したいし、しなきゃいけないって思う。それなら10代の子たちにお金を落としてもらうビジネスもなんらネガティブではないなって。
──耐久力のあるものですよね。音楽なら、それが名盤と言われるわけで。
そうそう。何年かして好きな音楽を卒業して、普通に働くようになる。そういう生き方を否定するつもりはないし、僕らのファンにもそういう人が出てくると思う。でも、僕はいつか離れていく人にも耐久力のある作品を提供したいですね。もしかしたら、歳を取ってから聴いたときに“やっぱりすごくいいな”って思ってもらえるかもしれないし。
──そういうこともあるでしょうね。
バンドマンがやれることって、究極的には曲を作ってライブをやるだけだから、僕らは自分がやるべきことをひたすら全うするべきだなと。”今のシーンってこうですよね”って議論したり、今のバンド・シーンを楽しんでるお客さんに、わざわざもの申すのもおかしいと思うし。ただ、自分たちがやるべきことはこれだなっていう。
──自分たちでシーンの流れを変えてやろうとは思わないんですか?
そうなったら面白いと思いますけどね。僕は自分たちの音楽がホントにカッコいいと思うけど、今、みんなが求めてるど真ん中のものではないとも思っていて。
──でも、自分たちのやり方で勝ちたいとは思ってる。そのためにシーン云々の発想は捨てようと。
そうそう。結局、僕ら自身は結成当初から何もブレてないから。
──今夏はフェスの出演を抑えてる印象なんですけど、それは意図的なんですか?
う〜ん、意図的というか、やっぱり現状の国内のフェスも僕らにとっては特殊な環境ではあって。最近は、ひたすら盛り上がれて、即効性のある音楽が評価される場になっているように感じていて。僕らがやりたいこととフェスにおける僕らの評価にどうしてもズレが生まれちゃうなっていうのは正直ありますね。
──じっくり盛り上げていくライブをやったとして、そこで最初の数分間だけ観た人に“盛り上がってねえな”とか言われたら癪だよね。
そうそう(苦笑)。その評価基準が、僕らのバンドにとっては適切じゃないと思うんですよ。だから僕らはワンマンを大切にしたいし。
──本来はフェスがワンマンへの導線にならなきゃ意味ないしね。
うん。僕らもフェスの30分で “WHITE ASHのライブ、すごく楽しかった。ワンマンにも行ってみようかな”って思ってもらえたら御の字ではあるんだけど。僕は自分の中のロックの基準を下げたくなくて、WHITE ASHを聴いてこれからロック・バンドをやりたいと思う若い人たちに対してもそれは貫きたいんですよ。

ある種の毒じゃないけど、強い存在感を残せる曲でもある

──「Hopes Bright」を聴いて、もっと日本語の歌詞が増えてもいいと思ったんですよね。これからある意味では孤独な戦い方をするにしてもね。
そうなんですよね。毎回、新しい作品を作るたびに自分たちなりのチャレンジをしたいと思っていて、今回の日本語詞もそのひとつで。リード曲で全編日本語ってやったことがなかったから。お茶の間で聴かれるチャンスがある曲だったら、このタイミングでやるべきだなって。
──ちゃんと日本語がグルーヴに乗ってるしね。
そうそう。自分で書いてみて、まったく問題ないじゃんって思いました。カップリングの2曲(「Killing Time」「Faster」)に関しては、今後、日本だけじゃなく海外にも攻めていきたいという狙いも込めて、意味の通る英詞にしたんですけど。
──言葉の面では“自由”っていうのが大きなキーワードだと思うんですけど。その“自由”というのはさっきのロックに対する想いにも繋がってくると思うし。
そう。やっぱりそれが根底にあって。音楽もそれぞれの楽しみ方を大事にしてほしいし。それは言っておきたいことなんですよね。メッセージというよりは、言っておきたいこと。僕らは自分たちがカッコいいと思うことをやり続けて、ある意味成功したらそれはすごく夢のあることだと思うし。直接手を貸しはしないけど、前例は作りたいんですよね。
──まずは、このシングルの反応が楽しみですよね。
どういう反応なんだろう? フェスでやったら戸惑う人がほとんどだと思うんですけど(笑)。“どう踊ったらいいんだろう?”とかね。でも、そういうところも含めて、ある種の毒じゃないけど、強い存在感を残せる曲でもあると思うので。
──自分たちの正義とは何かという提示とね。
そうですね。僕、見た目はこんなですけど、ホントにロックが大好きだし、誇りを持ってロック・バンドをやってるから。僕らの思う “本当のロックってこういうものだよね”っていう音楽をずっと作っていきたいです。

DISC INFORMATION

SINGLE 2014.9.10 release
「Hopes Bright」
VAP

140910_white-ash

初回限定スコア盤
通常盤

「Hopes Bright」Music Video

LIVE INFORMATION

WHITE ASH One Man Live“Cycle”
11月1日(土)福島 いわき club SONIC
11月3日(月)東京 渋谷 CLUB QUATTRO

“スペースシャワー列伝 100巻記念公演〜第101巻 紅白玉入れの宴〜”
9月30日 (火) 新宿LOFT

PROFILE

のび太(vo、g)、山さん(g)、彩(b)、剛(ds)。“シンプルかつカッコいい”をコンセプトに活動する日本のロック・バンド。2013年、最も勢いのある新人に送られるCDショップ大賞“ニューブラッド賞”を受賞。その後、5月にシングル「Velocity」でメジャー・レーベルへ移籍。今作「Hopes Bright」は、2014年 学校法人・専門学校モード学園(東京・大阪・名古屋)TV CMソングとしてオンエア中。

関連リンク

・ WHITE ASH OFFICIAL WEBSITE
・ YouTube
・ facebook
・ Twitter

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