tacica SINGLE「LEO」ディスクレビュー

LEO

SINGLE

tacica

LEO

SMEレコーズ

2014.09.10 release

初回生産限定盤
通常盤


『ハイキュー!!』ED曲は彼らの魅力をストレートに感じさせる

今年1月にドラムの坂井俊彦が脱退。2人体制になってのシングル「LEO」は、TVアニメ『ハイキュー!!』のエンディングテーマだ。

 ミュートしたギターのフレーズで始まる軽快なビート、そこに絡まるベース、クリアに言葉を放つボーカルと、じわじわと音が重なりながら曲が次第に熱を帯びていく構成が印象的。もともと猪狩翔一はその歌声も書く曲も強い個性に溢れているが、今回は彼の存在を強調するシンプルなアレンジが曲全体を聴きやすくしている。2サビでリズムがやや重くなっていく箇所も含め、抑制の効いた部分と広がりを感じさせる部分との対比が鮮やか。バレーボールを通じ目標に向かって力を合わせるアニメ原作のテイストを活かしながら、「走る」「立ち止まる」「迷わない」「後悔」といった言葉が象徴するように、試行錯誤しながら生きることのリアルさを描き出す。繰り返される「ヘッドライトの明かり」「テールランプの明かり」というキーワードが示すのは、想いを込めて走り出すことや飛び出すことの大事さだ。仕方なく選ぶのではなく、自分自身が望んで掴んだ未来地図をもとに踏み出すことで、わずかでも光が見えてくる。窮屈な日常から、この曲が流れている間だけでも解き放たれていたいと思える、“裏側に隠された熱量”が聴き手を鼓舞してくれる。

 カップリング曲「銀色の邂逅」は、激しいバンド・サウンドをメインにしつつもメロディアスなナンバー。スピード感に満ちた演奏とライブ感溢れる質感がバンドのむき出しの鼓動を伝えてくれる。「anaphylaxis」(通常盤限定収録)は、彼らの自主制作時代の幻の楽曲をリテイクして収録。疾走するパンキッシュなサウンドを主体に、メロディに言葉をぎっしりと詰め込んで届ける。粗削りで生々しいタッチとともに、バンドの変わらないみずみずしさが感じられる重要な作品だ。

(岡本明)

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