在日ファンク ALBUM「笑うな」ディスクレビュー

笑うな

ALBUM

在日ファンク

笑うな

日本コロムビア

2014.09.03 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>
アナログ盤


初心のJBイズム、怒りを爆発させた渾身のメジャー第1作!

 インディー・シーン、ライブ・シーンで活躍してきた、浜野謙太率いる在日ファンクが、前作『爆弾こわい』から3年ぶりの3rdアルバムでメジャーデビューを果たした。メジャー・デビューの所信表明コメント映像で、固い決意を語る彼の真顔のビッグマウスぶりが笑えたが、それすらも拒否るかのようにアルバム・タイトルは『笑うな』。

 2012年のミニ・アルバム『連絡』では、ギタリスト仰木亮彦のメロウな楽曲がフィーチャーされたりと、バンドとして音楽の幅を広げてきたわけだが、メジャーというタイミングで帯を締め直し、ハマケンがほぼ全曲作詞作曲を担当(「パラシュート」のみトランペットの村上基が手がける)。初心に返ってのファンク汁たっぷりな作品となっている。ドラマチックな「大イントロ」から、切れの良いファンク・チューン「根にもってます」で幕を開ける新作は、完全にルーツのジェイムス・ブラウン度が濃い。基本、フラストレーションが音楽のエネルギーの根源となっているのがハマケンらしいが、そもそもブラック・ミュージック(ロック、パンクもそうだが)は、怒りを音楽で表現し強烈な熱に変換していくものだ。「ちっちゃい」は、コンプレックスを逆手に取り、逆に外に向かって“おまえのほうがちっちゃい”と言わんばかりの攻撃度。「脈」では、“不細工な歌を歌い続ける”というハマケンの音楽への想いや覚悟が伝わってくる。ミッドなソウル・チューン「不甲斐ない」は、ずばり不甲斐ない自分だけど“俺に付いてきな!”という強引さを発揮。「場」は、“ばばば”というアタックの強い言葉の連呼だけでもすでに楽曲として成立させてしまっているのだからお見事。

 サウンドにみなぎる7人の一体となったタイトさ、グルーヴ感は、これまでの活動でしっかり培ってきた強靭さが感じられる。ゆったりとした始まりからグイグイ乗せていく「恥ずかしい」、「断固すいません」のアップリフティングさ、パワフルな「産むマシーン」など、シンガーでありコンダクターでもあるハマケンを、バックアップしつつときに追い越してしまう、歌と演奏の競争感は聴きごたえたっぷり。
メロディアスなミッド・ファンク「笑うな」の男前感から、シャッフル・ビートがスリリングな「百年」でアルバムはフィニッシュ。

 アルバム『笑うな』には、ハマケンの、そして在日ファンクの持つ、アゲインストな音楽のパワーが存分に詰まっている。

(土屋恵介)

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