Sugar’s Campaign SINGLE「ネトカノ」ディスクレビュー

ネトカノ

SINGLE

Sugar’s Campaign

ネトカノ

Sugar’s Campaign

2014.09.03 release


大阪在住の新世代の都市型ポップ・ユニット現る

 小室哲哉(globe)、小林武史(My Little Lover)、小西康晴(ピチカート・ファイヴ)、つんく(シャ乱Q)、奥田民生……。’90年代は、自身が参加するバンドやソロ活動で成功を収めたアーティストが、プロデューサーとして脚光を浴びた時代だった。その潮流を中田ヤスタカ(capsule)〜前山田健一が引き継ぎ、現在はlivetune(kz)やsupercell、八王子P、自然の敵Pなどの、いわゆるボカロPが勃興。ボカロPの台頭以降は、プロデューサーと歌い手の間に、“育ての親と子”のような関係性があった’90年代とは違い、プロデューサーというよりは、サウンド・クリエイターとしての様相を呈しているが、それでも次世代のポップミュージック・シーンを担う存在であることには変わりない。

 ネット発のサウンド・クリエイターの中でも、ボカロPとは一線を画し、あくまでもサウンド・クリエイター/トラック・メイカーとして注目を浴びているのが、メジャー初アルバムのリリースを控えるtofubeatsと、今回、紹介するSugar’s Campaignである。

 Sugar’s Campaignは、Avec AvecことTakuma Hosokawaと、seihoことSeiho Hayakawaのふたりによる都市型ポップ・ユニット。Avec Avecは、1987年生まれの大阪在住のTakuma Hosokawaのソロ・プロジェクトで、2007年頃からネットを中心にリミックスやマッシュアップを発表。東京女子流とのコラボでも話題を集めたマルチネレコーズやL.Aのレーベル“Mush Records”からリリース経験があり、2011年にリリースした4曲入りEP「おしえて」はネット上で熱い支持を受けたほか、南波志帆や一十三三十一などのリミックス、プロデュースを手がけている。一方のseihoは、同じく1987年生まれで大阪在住のビート・メイカー。自身のレーベル“Day Tripper Records”を立ち上げ、1st アルバム「MERCURY」を発表。ディスクロージャーやゴールド・パンダなど、世界的なアーティストとの共演を果たしたほか、YUKIの最新シングル「誰でもロンリー」にリミキサーとして参加している。

 ゲスト・ボーカルを招く形でポップ・ソングを制作するふたりのユニットであるSugar’s Campaignは2012年1月に「ネトカノ」(ゲスト・ボーカルは、AvecAvec が3ピースバンドだった時代にボーカルを務めていた“あきお”が担当)をネットで発表。2.5DやDommuneなどのネット・メディアをはじめ、様々なクラブ・イベントでもプレイされた楽曲が、CDとしてリリースされることになった。彼らふたりのルーツは、岡村靖幸、久保田利伸、トッド・ラングレンや、ポンキッキーズ、’90年代アニメなどのJ-POPから、ブレイク・ビーツやダブ・ステップ、フューチャー・ビーツなどのベース・ミュージックまで幅広いが、「ネトカノ」は、’10年代=ネット世代的なビートを基調にし、メロディ・ラインには’90年代のJ-POPの影響を感じながらも、全体としては、’80年代のフレイバーが漂う。いわば、懐かしくて新しい、今日的なポップとなっている。また、カップリングにはアーバン・ソウルなスロー・ナンバー「香港生活」が収録されている。

 ともにビートが際立ち、洗練されたシティ・ポップスとなっているのだが、兵庫県在住のtoufbeatsといい、このSugar’s Campaignといい、関西方面からシティ・ポップスの再興がなされているのには、何か理由があるのか? 東京在住の身としては、大阪の都市の再開発が進んでるのかな? 関西空港から上海や香港の夜景を見に行きたいな、と想像しながら聴いております。

(永堀アツオ)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人