FoZZtone MINI ALBUM「Stomp the Earth」ディスクレビュー

Stomp the Earth

MINI ALBUM

FoZZtone

Stomp the Earth

SPACE SHOWER MUSIC

2014.09.03 release

<CD>


いちいちニクいほど様になってる幅広い音楽性が見事。

 バンドにはまず全体として“どんなスタイルを貫くか”という命題があり、次に各論的に“曲ごとにどんな世界観を示せるか”がある。僕は前者に傾きすぎてる人たちが苦手で、要は“単調”に感じてしまう。その点、今回聴かせていただいた彼らは、曲ごとの世界観・アイデアが冴えを見せ、最後まで楽しみながら聴けた。これはもちろんキャリアもあってのことだろう。ただ、その歴史は求道的なだけじゃなく、多様性も追求したものだったと推測される。作家で言えば伝記物からミステリ-、童話まで書き分けられるタイプ。そして、それがいちいちニクいほど様になってるのがいい。

 まずいきなりの1曲目「アウトサイダー」。エンニオ・モリコーネ的なマカロニ・ウェスタン音楽をより鋭利にアプローチした感覚。しかし曲の途中でボーカルが、まるでかつてのドアーズのジム・モリソンのように衝動的になる。最後は再び当初のアイデアに戻る。この感情の振り幅が見事。2曲目「Stomp the Earth」はまさに地面をストンプするがごときリズムが溢れている作品。プリミティブと洗練が同居するアレンジが印象的。3曲目「Stairway to you」は雰囲気をガラリと変えて、純でまっすぐな想いを伝えるナンバ-。こういう作品は歌詞カ-ドに並ぶ言葉をちゃんと噛みしめて聴くと歌から伝わる感情の厚みも違うかもしれない。ファルセットも駆使するボーカルとバック・コーラスとの絡みがいい雰囲気だ。

 ひょいとバンドエイドを貼るようなうわべの応急処置じゃなく、心の奥の覚醒を促すかのようなメッセージを含む4曲目「Morning Glory」も、本アルバムの白眉のひとつであり、さらに僕がいちばん気に入ったのが5曲目「ひとりぼっちのミュージカルスター」。タイトルからもわかるように、劇中歌のようなテイストがあり、でも決してピンスポットの真下じゃなく、ちょっとズレた感じの光量とともに届いてくる哀感がいい。このあたり、自分が好きな英国ロックとも共通するから、なおさら愛しく感じるのかもしれない。最後の作品(「Return to Earth DEMO 2」)はDEMOと明記されているが、こちらは完成させすぎてない粗描的なザラ感が逆に新鮮。

(小貫信昭)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人