FOLKS SINGLE「HOMETOWN STORY」ディスクレビュー

HOMETOWN STORY

SINGLE

FOLKS

HOMETOWN STORY

キューンミュージック

2014.09.03 release

初回仕様限定盤 <CD+スリーブケース+“HOMETOWN”ミニ写真集>
通常盤


HOMETOWNはCLOUDの中に

 かつての北海道出身バンドの武器は、間違いなく“勘違い”であった。東京から遠く離れたかの地は情報量が絶対的に少なく、それを補うために想像力を働かせ、そこに生まれるある種の“勘違い”と、北海道ならではの澄んだ冷たい空気感、もしくはその環境をしのぐために必要な激しい熱量とが組み合わさることで、特別な魅力が生まれていたのだ。しかし、ネットの普及以降、この根本は大きく崩壊した。恵庭市というニュータウン育ちの5人組で、今も市内の一軒家で共同生活をしながら活動するFOLKSは、インターネットによって古今東西の音楽を聴き漁り、それをクラウドサービスで共有し、知識を分け合うことによって、あらたな音楽を生み出そうとしているバンドだ。かつての地域社会の繋がりが薄れ、チェーン店によって各地の風景が均一化して行く中で、今僕らは“地元”というかつての絶対的なアイデンティティを、自ら掴み直さなければならない時代に生きている。そして、FOLKSというバンドのHOMETOWNは、このCLOUDの中にこそ存在するのだ。

 彼らにとって初のシングルとなる「HOMETOWN STORY」は、表題曲を含む3曲入り。キラキラしたクリアなプロダクションによるアッパーなエレクトロと、フォーキーで大陸的な広がりを感じさせるメロディの融合という、彼らの十八番をさらに洗練させた「HOMETOWN STORY」では友情の尊さを、一方、グランジ~オルタナをベースに、エレクトロニクスを加えて行った結果、EDMのような派手さが生まれている「Frenemy」では友情の脆さを歌い、“2人”の緊密な関係性を歌ったモータウン調の「パラダイス」で締め括られる全3曲は、それぞれがHOMETOWNの中の様々な人間模様を描いたようで、トータルで“HOMETOWN STORY”を描いた、オムニバス映画のような作品とも受け取れる。そして、男女の関係が描かれた「パラダイス」の終盤で現れる女性コーラスに、初音ミクのようなミックスを施すことで、この関係性が実は画面の中の出来事であったことを予期させるというオチが実に秀逸。リアルな共同生活と、クラウド上でのクリエイティブが共存する、FOLKSというバンドの倒錯感と、絶対的な時代性とが、ここにはよく表れていると言えるだろう。

(金子厚武)

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