一青窈 SINGLE「他人の関係 feat.SOIL&“PIMP”SESSIONS」ディスクレビュー

他人の関係 feat.SOIL&“PIMP”SESSIONS

SINGLE

一青窈

他人の関係 feat.SOIL&“PIMP”SESSIONS

EMI RECORDS

2014.08.27 release

初回盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


清廉と淫靡、そのコントラスト。

 J-POPというジャンルにおいて、男と女をテーマにした音楽は、それこそ星の数ほど生まれてきた。昨今のそれは、どちらかと言えば心情や思想を歌うものがメジャーだが、私も女という肉体を持った動物であるから、生々しく肉欲的な、スリリングな歌詞には、どうしたって昂ぶってしまう。だから、それがメインストリームにあることが許された時代にある音楽、つまり歌謡曲というものには、抗えない魅力をいまだに感じ続けているわけだ。

「他人の関係」は、1973年に金井克子が歌い大ヒットした楽曲。扇情的なホーンの響き、官能的な歌詞、金井の優雅な振り付け……。ネオンの下卑た輝きや、煙草臭いベルベットのカウンターチェアを一瞬で彷彿とさせる、これぞセンシュアル・歌謡曲の代表格と言える、昭和の名曲だ。一青窈の声で初めてこの曲が歌われたのは、2012年にリリースされた彼女のカバー・アルバム『歌窈曲』の中。そして、2014年7月から放送開始となったフジテレビ系連続ドラマ 木曜劇場「昼顔 〜平日午後3時の恋人たち〜」の主題歌として、SOIL&”PIMP”SESSIONSを迎え、再び再認識されることとなった。

 金井克子の厚みのある歌声が印象深かっただけに、繊細な一青窈の声と、あの強烈なイントロフレーズとの組み合わせは、正直ミスマッチなのではないかと思った。だが、あの清廉な歌声で、あの激情的な言葉たちが紡がれることで、結果として妙に内密な、現代的な艶っぽさが生まれ、女の極端な二面性を描き出すことに成功した形となっている。それは、いまだに多くの人に愛され、フューチャーされている歌謡曲というものを、今、彼女が歌う意義を、堂々と提示したとも言えよう。カップリング曲「GOKAI feat. トランスパランス」は、存分に歌謡のエッセンスを取り入れつつ、女子3歌楽坊のユーモラスなコーラスが効いた、現代版・歌謡デュエット曲。随所に散りばめられたアレンジに、一青の歌謡曲への愛をヒシヒシと感じる1曲となっている。

 今作のミュージック・ビデオは、VMAJでBEST ROCK VIDEOを受賞した春山 DAVID 祥一が監督を務めている。30品目の料理を一青が食べまくる、“食欲”にフォーカスを当てた、妖艶で刺激的な映像は一見の価値ありだ。そして、11月からは1年8ヵ月ぶりとなる全国ツアーも開催される。あわよくば、歌謡曲リバイバルの立役者としても、さらなる活躍を個人的に期待したい。

(小島双葉)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人