NICO Touches the Walls SINGLE「TOKYO Dreamer」ディスクレビュー

TOKYO Dreamer

SINGLE

NICO Touches the Walls

TOKYO Dreamer

キューンミュージック

2014.08.20 release

初回生産限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


孤高の戦いで手にする圧倒的オリジナリティ

 2度目の日本武道館ライブ(8/19)の翌日にリリースされる、2014年第3弾シングル。今年に入ってから発表されたシングル「ローハイド」「天地ガエシ」はいずれもアグレッシブなモードを全面に押し出したロック・チューンだったが──2014年をNICO Touches the Wallsは“攻めの年”と位置付けている──「Tokyo Dreamer」は彼らのポップ・サイドを強調したナンバーと言えるだろう。エレクトロ・テイストを取り入れたアンサンブル(最近のインディー・ロックからの影響も少し感じられる)、サビに入った瞬間、気持ちよく解放されるメロディ・ライン。こういう優れたポップ感覚もまた、NICOの大きな武器なのだ。

 「TOKYO Dreamer」というタイトルに象徴される、夢をテーマにしたリリックも現在の彼らの状況としっかりと重なっている。特に印象的なのは「孤高の戦いは いずれこの夢を叶えるんだ」というフレーズ。夢や目標というものは、本人の気持ちの持ち方次第で、遠ざかったり近づいたりする。ただひとつ確実に言えることは“戦いはいつも孤独”ということだけだ、と——。ジャンルや音楽性を固定することなく、ギターロック・バンドというスタイルの可能性を追求してきたNICO。その成果として彼らは圧倒的なオリジナリティを手に入れつつあるが、反面、“シーンのどこにも属せない”という孤独感を同時に抱えているのではないだろうか。そんなことを想像しながら「TOKYO Dreamer」を聴くと、このバンドの宿命のようなものがじんわりと伝わってきて、思わずグッときてしまう。

 2曲目の「バケモノ」は、どこか陰鬱なイメージを湛えた音像と「追い風 強く強くなるほど震えてた」というラインがひとつになったロック・チューン。さらに3曲目にはクラムボンの名曲「君は僕のもの」のカバーを収録。リアルな心象風景、そして、さらに奥行きを増しているバンド・サウンドがひとつになった本作は、2014年のNICO Touches the Wallsの充実ぶりをしっかりと示している。メンバー自身が“前回のリベンジ”と位置付けた武道館ライブも見事にソールド・アウト。ようやく準備は整った。あとはもう、自らの道をまっすぐに突き進むだけだ。

(森朋之)

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