ピエール中野 MINI ALBUM「Chaotic Vibes Orchestra」ディスクレビュー

Chaotic Vibes Orchestra

MINI ALBUM

ピエール中野

Chaotic Vibes Orchestra

Sony Music Associated Records

2014.08.13 release

初回生産限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


ピエール中野が誘うリズム・ジャーニー

 8月27日に2ndアルバム『Fantastic Magic』をリリースするTKに続き、凛として時雨の超絶ドラマー、ピエール中野もソロ・プロジェクトを始動! 手数、足数が圧倒的なバンドでのプレイはもちろんのこと、GLAYや星野源、ももいろクローバーZ、でんぱ組.incなどの作品に参加。さらには、dustboxやheといったインディー・バンドのドラム・チューニングやリズム&ドラム・マガジンのコラム執筆、DJなど、幅広い活動と交友関係で知られる彼のソロ活動とは果たして? 日本の音楽シーンにあって、ドラマーのソロ活動は非常に珍しいので、彼のソロ作と聞いて、おそらく、内容が想像できないリスナーは少なくないだろう。しかし、ドラマーのソロが珍しいからこそ、そこには表現の可能性があり、彼の多彩な才能と相まって、本作収録の5曲ではユニークな作品世界が提示されるに至っている。

 まず、1曲目の「Animus」は、SIAM SHADEの淳士やDragon Ashの桜井誠をはじめとするプロフェッショナルなドラマーから一般公募の中学生まで総勢20名のドラマーからなるChaotic Drum Orchestra名義の一曲。ここでテレビ・アニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のオープニング主題歌を手がけたOrigaをボーカルにフィーチャーし、エモーショナルかつ壮大な音楽世界を披露したあと、2曲目はabout tessのギタリストであるtakutoとLITEのベーシストである井澤惇からなる3人組インプロビゼーション・ユニット、カオティック・スピードキングの「SORA」が続く。この曲でボーカルにWAGDUG FUTURISTIC UNITYのKYONOをフィーチャーし、ハードコアかつプログレッシブなドラミングを展開したかと思えば、3曲目は、なんと、Perfume「チョコレイト・ディスコ」のバンド・カバー。ボーカルに大森靖子、ベースにクラムボンのミト、ギターに9mm Parabellum Bulletの滝善充からなる豪華バンドで、ダンス・ロックのリズム・アプローチに挑んでみせる。さらに4曲目の「double pendulum」ではagraph、LAMAでの活動でお馴染み牛尾憲輔との異色コラボに挑戦。中野が叩いたドラムの音素材を牛尾がエレクトロニカ、ポスト・クラシカルなドラムンベースへと再構築している。そして、締めの5曲目は、漫画家、杉作J太郎の伝説的なヒップホップ・プロジェクト、LLクールJ太郎へのトリビュートとなる(?)玉筋クールJ太郎名義の4人組ヒップホップ・ユニットで下ネタ全開のラップを披露。初のソロ作のオチがこの曲なのかという脱力を感じつつも(失礼!)、音楽の可能性を自由に追求する初めてのソロは、やはり、作品トータルの完成度よりも収まりきらない衝動性や人間性が伝わってくる本作のような作品であるべきだろう。そんな本作を前に、手数、足数だけでなく、気も多いピエール中野のカオスなバイブスに身を任せて、こちらも奔放なリズムの旅を楽しませてもらうことにしよう。

(小野田雄)

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