Kidori Kidori MINI ALBUM「El Blanco2」ディスクレビュー

El Blanco2

MINI ALBUM

Kidori Kidori

El Blanco2

HIP LAND MUSIC / Polka Dot records

2014.08.13 release

<CD>


メンバー脱退を乗り越えて辿り着いたあらたな覚悟

 大阪から東京に拠点を移した矢先にベーシスト・ンヌゥが脱退、ボーカル&ギターのマッシュとドラマーの川元直樹の2人体制となったKidori Kidoriの2ndミニ・アルバム。まず印象に残るのは、楽曲・サウンドの幅広さ。ゾンビ系パニック映画の雰囲気と’00年代以降のインディー・ギターロックのテイストが混ざり合った「Zombie Shooting」、ポリリズムを取り入れた先鋭的ダンス・チューン「Come Together」、ローファイ系パンク・ロックのなかでビーチボーイズみたいなコーラスが広がる「99%」、サポート・ベーシストの藤原寛(andymori)の「弾き語りで成り立つ名曲を作ってみたら?」というアドバイスから生まれたという「テキーラと熱帯夜」。豊富な音楽知識が背景にあり(最近よく思うのですが、まず音楽をたくさん聴いてみないと曲って作れないんじゃないですかね、ホントに)、“コレとアレを組み合わせたら面白いんじゃないか?”という意外性に富んだアイデアがあり、それを楽曲として具現化するテクニックもある。つまりKidori Kidoriは、本当に音楽が好きで、新しいことをやろうとする意思もある、真っ当なロック・バンドということだ。

 本作のもうひとつの魅力は、自らの感情や意見にリミッターをかけることなく、どこまでも自由に表現された歌詞。メンバーの脱退という大きなアクシデントを経験し、あらたな決意とともに前に進もうとしているバンドの現状。目に見えて格差が広がり、存在を粗末に扱われることに対する憤り。“二日酔いの朝、ゴミ箱を見たら笑ってしまった”というだけの歌。彼らの楽曲はほとんどが英語詞なのだが、歌われている内容はじつに表情豊かで、じっくりと読むに値する内容を含んでいる。誰に遠慮するでもなく、イメージも気にせず、歌いたいことを歌いまくる姿勢は本当に痛快。繰り返しになるが、Kidori Kidoriはやはり、きわめて真っ当なロック・バンドだと思う。

(森 朋之)

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