みみめめMIMI ALBUM「迷宮センチメンタル」ディスクレビュー

迷宮センチメンタル

ALBUM

みみめめMIMI

迷宮センチメンタル

A-Sketch

2014.08.13 release

初回盤/写真 <CD+DVD+ノベル>
通常盤 <CD>


自分自身との対話から生まれたセンチメンタルな想いの果て

 中学生の頃から作曲活動を続けてきたシンガー・ソングライターの“ユカ”とイラストレーターの“ちゃもーい”の2人からなる視聴覚ユニット、“みみめめMIMI”。昨年8月、アニメ「君のいる町」のオープニング主題歌に起用されたシングル「センチメンタルラブ」でのメジャー・デビュー以降、ライブやイベントなど、表舞台に立つ活動を控えていた彼女たちだが、今年の6月22日に赤坂BLITZにて、ファースト・ライブ“Welcome to みみめめLAND”を開催。ちゃもーいのイラストを駆使した映像とともに、作詞作曲を手がけるボーカルのユカが、声優として活動している“タカオユキ”であることが明らかにされた。さらに8月9日には早くも2回目のワンマン・ライブを実施し、8月13日に発売される1stアルバム『迷宮センチメンタル』の初回盤は、アイコンの“MIMI”の顔にこれまでになく寄ったジャケットとなっている。積極的なライブ活動とジャケットからは、ここからは生身で音楽を伝えていくんだという決意にも似た、あらたな出発という意味合いが込められているように感じた。

 また、“MIMI”のなんとも言えない表情にも注目してほしい。ここには、「センチメンタルラブ」でデビューし、初のアルバムに“迷宮センチメンタル”というタイトルを付けた“ユカ”に対し、“ちゃーもい”なりの“センチメンタル”な表情が描かれてるのではないかと思う。みみめめMIMIにとって、表現の根底になっている“センチメンタル”とはどんな感情であるのか。直訳すると“感傷的”という意味で、悲しみや痛み、寂しさを感じやすいということになる。“悲しみ”“痛み”“寂しさ”をみみめめMIMIの音楽で変換すると、
 1 “叶えたい”(「瞬間リアリティ」や「お絵描き」)
 2 “変わりたい”(「サヨナラウソツキ」や「SAY-YOU」)
 3 “気づいてほしい”(「センチメンタルラブ」や「no name love song」)になる。

 叶えたい夢に向かってもがきながら挫折や悲しみを感じ、変わりたいけど変われない自分に苛立ちと痛みを感じ、言えない想いを抱えたまま気づいてほしいという気持ちが溢れ出し、孤独や寂しさを感じる。本作の主人公は、自分自身との対話から生まれるセンチメンタルな感情に振り回されて、迷子のように彷徨いながらも、ぐるぐるめぐる思考の果てに、“ユカ”から“タカオユキ”に向けて書かれたラスト・ナンバー「SAY-YOU」で、例え弱くても、自分自身を信じるしかないんだ! という答えに辿り着く。

 もちろん、生きていくうえではまた同じ悩みが現れることもあるだろうが、今は、生身で歌を届けていく決意もできているし、新しい世界へ飛び出すことの畏れよりも期待のほうが勝ってるはずだ。なによりも、みみめめMIMIは、すでに2人だけの世界ではなくなっている。でんぱ組incが主演した映画の主題歌やアニメ主題歌などが収録された本作には、バンド・サイドからUNION SQUARE GARDENの田淵智也やクラムボンのミト、ネットクリエイター・サイドからやしきんや前山田健一らが参加し、さらにオリジナルのノベライズも制作。多様なフィールドから集まったクリエイターたちが、自身のクリエイティビティを発揮できる視聴覚プロジェクトとして、さらなる広がりを感じさせる作品となっている。

(永堀アツオ)

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