宇宙コンビニ MINI ALBUM「月の反射でみてた」ディスクレビュー

月の反射でみてた

MINI ALBUM

宇宙コンビニ

月の反射でみてた

No Big Deal Records

2014.08.06 release

<CD>


マスロックが主食だった世代が作る驚きのニューポップ

 宇宙コンビニ──ふんわりしてるような破壊力満点なような、不思議なバンド名にまず惹かれた。個人的には、ものすごくエクスペリメンタルなライブを観た帰路、どこまでもズンズン歩けそうだけど、お腹は減っている。明日の朝のパンもない。スーパーマーケットはもう閉まっている。寝食を忘れそうでも、結局、コンビニに立ち寄る。ものすごく遠いものとあまりに日常的なもの、そこに果たして、本当に心的な距離はあるのか? このバンドのネーミングはそんな疑問と想像から生まれたんじゃないだろうか。

 京都発の3ピース・バンドである彼らは、国内のライブ・シーンはもとより、イギリスのマスロック/ポスト・ロックを主に取り上げる音楽サイト“FECKING BAHAMAS”にレビューが掲載されたり、同サイトのコンピレーション盤にLITEら有名無名を問わず20組とともに収録。YouTubeの動画に対するコメントも海外からのものが非常に多く、今年5月にはきのこ帝国らとNext Music from TOKYO vol 6”でカナダ・ツアーも経験している。筆者はデビュー・ミニ・アルバム『染まる音を確認したら』収録の「8films~tobira(radio edit ver.)」のMVで初めて彼らの音楽に接したのだけれど、無駄なく、しかも変則的で透徹したアンサンブルと一筋縄ではいかない外しのセンスはPeople In the Boxに通じる”ストイックな変態性”を感じた。

 そんな宇宙コンビニの2ndミニ・アルバム。言葉少ない自己紹介のように楽器がひとつずつ入ってくる”基盤”のような「origin」、テクニカルなタッピング奏法を用いながら、逆に表出するのは不器用な生き方やたどたどしさという高等戦術の「EverythingChanges」、フュージョン色の強いインスト「セピア色の車窓から」、本作の中でも最も大きなグルーヴに乗って歌がフィーチャーされた「光の加減で話した」、思わず意識が遠のくようなクリーンなのに幻覚的なギターと、夢に落ちる直前に足を踏み外すあの感覚(足がつる?)を思い出させるトリッキーなリズム・チェンジの罠にハマる「闇には祝福を」、お茶目と言っていいリズムが楽しいインスト「成仏してしまった男」、「光の〜」に並び、あどけなく抽象度の高いボーカルが活きる「足跡」と、一瞬のうちにどこかに飛ばされて部屋に戻ってきたような感覚の7曲。眠っていたのか覚醒しきっていたのか。歌詞の言葉も意外に意味が強いものだが、それすらアンサンブルに溶けている。あやなすような音楽そのものが宇宙コンビニの言葉だと言わんばかりに。物理的な変態性がデフォルトになった20代前半世代が作る可能性に満ちたポップ。そこに計算や苦悶の表情は見えない。

(石角友香)

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