ニュー・アルバム『Guitar』をリリースしたLOSTAGEの3人によるロング・インタビュー。音楽に対する真っ直ぐな思いを語ってくれた。

LOSTAGE

スタジオ音源としては前作『ECHOES』より約2年ぶりとなる、LOSTAGE待望のニュー・アルバム『Guitar』が8月6日にリリースされる。“歌もの”というコンセプトどおり、憂いとペーソスを帯びた、だからこそ心に触れてやまないメロディが随所に溢れ、もちろんLOSTAGEならではのダイナミズムに満ちたバンド・アンサンブルも健在。またひとつ傑作を手にした3人に、久々のメンバー全員インタビューという形で制作秘話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 奥村明裕


バンドとして存在してるっていうことに意味がある

──渾身のアルバムが完成して、再びバンドがたぎりまくってる感じ?

五味拓人(g/弟) いや、でももう、マイペースにやりましょか? って感じやんな。

五味岳久(b、vo/兄) ガツガツはしてないですね。来るもの拒まず、自分の中でやれることはやろうと。

──自分たちのレーベル(=THROAT RECORDS)を作ってからは、もう3年くらい?

岳久 あれは『CONTEXT』っていうミニ・アルバムを作ったときやから、2011年かな。だから、レーベル初めて3年、お店はもうすぐ2年ですね。

──自分たちにとって心地いいペースができあがってきた頃合いというか。

岳久 そうですね。それぞれ働いてるので、あんまムリしないようになったし、生活とかに支障がない程度にやれるだけやろうと。昔はね、普段の生活をちょっと圧迫してでもやらなあかんときはあったんですけど、そういうバランスは変わってきましたね。

拓人 みんな家族もあるから。

岳久 そっちを優先してほしいって思ってるんですよね。

拓人 もう年末年始は休もうって。

岳久 お盆も休みたい(笑)。

──かき入れ時に休みますねえ(笑)。

岳久 そういうのもアリってことで。

──じゃあ、今は10年以上LOSTAGEとして活動してきたなかでも、いちばん居心地のいい状態?

岳久 そうですね。良くも悪くも、安定してるというか。日常にバンドをやるっていう活動が自然に組み込まれてる感じはしますけどね、僕は。この人(岩城)まだひと言もしゃべってないからわからんけど。

岩城智和(ds、cho) いや(笑)、まぁ、そうですね。でも、今度のファイナル(10月30日@渋谷クラブクアトロ)が僕の誕生日に入れられましたけど。

岳久 “誕生日やけど、どう?”って確認したやん?(笑) だから、ファイナルの日は物販のところにカゴかなんか用意しといて、そこにプレゼント入れてもらうっていう。

岩城 何も入ってなかったら、もう辞めよかなってなるかも……。

岳久 俺がなんか入れとくよ。

──はっはははは。今は3人のなかで、バンド活動に対してどんな目的意識みたいなものを共有してますか?

岳久 なんやろ?

拓人 今言ってたように、いちばん生活に近い感じでバンドをやるっていう。悪く言えばルーティンって感じやけど、週に2回スタジオ入って、週末はライブして。そういうのが当たり前の生活になってて。

岳久 それを続けていくっていう。続けることが目標になるのは違うかもしれないですけど、一個の目標ではあるかな。一定の年齢越えたくらいから、このバンドを継続していくことの意味とか、やってる内容云々より、バンドとして存在してるっていうことに意味があるんかなって感じるようになって。先輩とか、辞めていった人とか、新しく出てきたバンドとかを見てても。日々その狭間でやってて、もう新人でもないし、かと言って超ベテランでもないけど。

──それでも10年以上続けてきましたもんね。

岳久 2001年からやから、13年目か。活動が緩やかになったとしても、奈良にアイツらがおるなって思ってもらえるのは、何がしか意味のあることちゃうかなと思うようになったし、それを守っていきたいなって思ってますけど。

拓人 だから、“やりたいけどやれなくなるっていう状態にならないように続ける”っていうのかな? 言い方がややこしいけど。

──バンド活動に関わるストレスみたいなものを極力軽減して。

拓人 うん。あまりにも長い時間メンバーといるっていうストレスはあるけど(笑)。

今までやってなかったことをやろう

──はっはははは。前のスタジオ・アルバム(『ECHOES』)から2年が経つし、そろそろここらで新作を出そうと?

岳久 そうですね。前のアルバムがライブ・アルバム(『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO』)やったんで。今まで、まぁミニ・アルバムとかもあったけど、1年に1枚くらいのペースで出してたから、そろそろ新作を出したいなっていうのはあって。

──兄ちゃん(岳久)のブログに“次のアルバムは歌ものがメインで”みたいな記述があったけど、最初からそれをテーマにして?

岳久 最初からメンバー全員でそういう方向になって。意外に岩城とかも歌ものが好きで。あんなドラム叩くのに。

岩城 はい。兄貴は特にそっちのほうのセンスとかもあるから、それをやってみたいなと思って。

岳久 こういうことメンバーに言われると、テンション上がるね。

──ちょっと照れながらも(笑)。

岩城 ワーッ! っていうのもできるけど、本当は歌ものみたいなもののほうが向いてるんちゃうかなあって常に思ってて。それができたから、よかったですね。

──たしかに、ここ最近はハードボイルドな路線というか、衝動性優先のアプローチが目立ってたように思います。

岳久 うん。ライブ盤を出したっていうのが一個あって。ライブのエネルギーをパッケージにしようっていう目的があって、それがやれたなって思えるライブ盤やったんで、そこでちょっとひと段落したというか。

拓人 メンバーが4人から3人になって、そこからの活動がひと段落できたというか。3人でここまでできたっていう。

──じゃあ、クアトロファイナルはかなり手ごたえがあった?

拓人 あれは手ごたえありましたね。4人からひとりメンバー抜けて、どうしよう? ってところから始まって、またクアトロでワンマンやれるところまで行けて。3人でここまで来れたなっていうのは自信になりました。

──岩ちゃんも達成感みたいなものはあった?

岩城 そこまで考えてなかったですね。達成感はありましたけど、最初からできるやろっていうのは漠然と思ってたんで。

拓人 まぁ、ギターが抜けて、俺はひとりでやらなあかんっていうプレッシャーがあったから。

岩城 そっか。

拓人 岩ちゃんは、ひとり抜けたときどうするってなったときに、いや、できるやろ? ってそもそも言ってたからね。

岳久 メンタルかなり強いな。

岩城 いや、拓ちゃんのことなんも考えてなかっただけで。

──単純に思いやりが欠落したという。

岩城 そうそう(笑)。それくらいできるやろ? って、なんも考えずに思ってました。

──じゃあ、歌ものっていうテーマがまずって、ほかには新しいアルバム制作に対してどんな意識がありました?

拓人 次のアルバム作るときに、今までやってなかったことをやろうと。もともと僕らアルバムを作るときにコンセプトみたいなものはなくて、普段から作ってる曲を集めて出すっていう感じやったから、今度は作る前に方向性みたいなのを話し合って作ろうってアイデアがあって。そこから曲作った感じで。

岳久 そうやね。歌のいい曲をっていうので、それぞれアイデアを出して。今までも歌ものの曲はあったけど、5曲くらいそういう曲が出来上がってきたら、反動みたいな感じでワーッとやるような曲とか同じリフをずっとやってるような曲を差し込みたくなるんですよ。もっと暴れたい、みたいな。それをまとめていいバランスで入れるっていうのが今までのやり方で、途中で今回もそうなりかけて。

拓人 やたらしっとりしてるけど、ええんかなって?(笑)。

岳久 激しめの曲もみんなで考えて合わせたりして、これええやん! ってなるんですけど、最初に決めたからそっちの方向で推し進めて。

──逆に言えば、3人になって以降はしばらく歌もの推しは避けてたりして?

岳久 それだけやと思われたくないというか。間口の広さみたいなものを一個のアルバムの中で用意しときたかったので。やっぱり、ライブバンドやっていうのは自分の中で自覚してやってたから、ライブに来たいと思わせるエネルギーみたいなものをスタジオ・アルバムに入れときたいっていうのが毎回あって。それが今回はあまりなくて。

──実際、歌ものメインで制作を進めてきて、どんな手ごたえがありますか?

岳久 新しい音楽かって言われればそんなことないと思うんですけど、僕らがやってきたことの中では新しい雰囲気のアルバムになったなと思ってますけど。曲も結構いっぱい作ったよな?

岩城 うん。ストックは何十曲ってあるんですよ。

岳久 たくさんの中からいい歌だけを選ぶっていう作業をやりましたね。

──ひとり何曲ずつ作ろうみたいなノルマでやって?

岳久 いや、スタジオで3人で音出しながら、俺の歌待ちみたいな感じでやって。

拓人 その録り溜めたやつを聴いて、良くなりそうな部分を伸ばしていったというか。

岳久 そういう作業をずっとやってました。曲のネタみたいなものはいっぱい出てくるんですけど、全体のバランスを取るのには時間かかりました。

逆らえずにグッと来てしまうメロディ

──じゃあ、クリエイティビティっていうか、創作意欲みたいなものはすごく高かった?

岳久 そうですね。僕ら曲はわりとすぐにできるんですよ。煮詰まったりしないし、素材はぱっぱっぱっと出てくるから。それをクリエイティビティって言うのか、僕らのハードルが低いだけなのかはわらからないですけど。

──(笑)。個人的には「SURRENDER」とか「海の果実」とか、メロディアスなLOSTAGEも大好物なんで、このアルバムは本当に待ってました! って感じで。

岳久 ありがとうございます。いいメロディって、みんな好きですよね。すごいハードコアな友だちでも意外とスピッツとか好きやったり、そういうのあるじゃないですか?

拓人 逆らえずにグッと来てしまうメロディってあるもんな。それができてたらいいなと思いますけど。

──歌ものというポイントでは、これまでも『GO』(2009年リリース)っていうアルバムでそこに挑みましたよね。

岳久 あのときも、比較的そういうベクトルでしたね。メロディ重視。メジャーで売れたいっていう邪念っていうか(笑)、まぁ今も売れたいんですけど、あのときはいろいろ混ざってて。僕もあのアルバムは結構好きなんですけど、今とはまた違う開け方をしてるというか。なんか、外から開けた、みたいな。今回は中から開いてるっていう。

拓人 わかりやすいね(笑)。

──そんな歌もののアルバムに“Guitar”っていうタイトルを付けた意図は?

岳久 作ってる途中でパッと思いついて。基本的に歌詞とか、出来上がるまでメンバーに言わないし、タイトルも勝手に決めました。“Guitar”って、かっこいいじゃないですか? 別に拓人のことを言ってるわけじゃないけど、象徴としてのロックのアイコンですよ。別にやりたいわけじゃないけど、ギターに憧れもあったし、佇まいとか、かっこいいなと思って。

──実際にギターが歌いまくってるように思いますし。

拓人 いや、タイトルを“Guitar”にしよって言われたんも結構制作の後半のほうやったから。最初言われたときは“えぇ!”って感じやったんですけど(笑)、今の話みたいに、象徴としてのって言われたらなるほどって思うけど。作り始めた段階では、ギターが歌うっていう発想はなかったですね。今までいちばん歌に集中してるから、自然とそうなったんでしょうけど。

──ドラムに関しては、どうですか?

岩城 今回は、面白いプレイしようとか、複雑なリズムを考え出そうとか、そういうのは一切なく。曲に添って、できるだけムダを省いて。

岳久 うん。歌って、軸じゃないですか? そこを最大限活かしたいっていうのがまずあったから、ムダを排して、いらんことをしないモードになっていきましたね。ムダなことの良さもありますけどね。変なギター・ソロとか。でも、今回はそういうのはなしにして。

──言い方を変えれば、極力シンプルにしようと。

岳久 そうですね。ドラムとか、客観的に見てていつも面白いプレイとか、聴いててワーッとなるようなフレーズとか盛り込んでくるタイプで。でも、もうできるってわかってるから。すごいこととか。それをやらずに、あえて淡々とプレイするというか。今まで、そういうのは嫌がってたんですけど。こういうシンプルな感じにしてって言っても、そんなん面白くないわって。今回は僕らのリクエストにも柔軟に応えてくれて。

岩城 大人になりましたね(笑)。タイトルが“Guitar”なんでね、やっぱり。次のアルバムは“Drum”?

岳久 三部作にしようか(笑)。

岩城 まぁ、“Guitar”っていうタイトルやけど、ギター・ソロがぎゃんぎゃん入ってるわけじゃないですけどね。ジャケ買いした人はびっくりするでしょうけど(笑)。

──はっはははは。ドラマーとしても、プレイヤーとしてのカタルシスを求めるよりも、今回はとにかく歌を引き立てることに注力しようと?

岩城 そうですね。基本的に、僕は歌を良くしたいっていうのは大前提にあるんで。リズムを考えるときも。

拓人 いつも作るとき、歌を聴いてドラム考えるもんな。歌詞ができてないときとか、やっぱりメロディが不安定になるから、それが岩ちゃんすごいイヤで。

岳久 歌詞できるまでは俺が適当に歌ってるから(苦笑)。

“クソ離れていく”なんて言わないですけどね、日常生活で(笑)

──本来は、ちゃんと歌詞も読み込んでリズムを構築したい?

岩城 それがベストですけど。

拓人 でも、歌詞がいちばん最後にできるねんけど。レコーディングのときに考えながら歌ってますから。

岳久 ずっとそうやな、今まで(笑)。歌詞書くの、キライなんです。

──言っちゃえば、作詞というのは制作のなかでいちばんシンドイ作業?

岳久 いちばんシンドイですね。いちばんやりたくないです。メロディとか、リズムとか、フィジカルっちゅうか、肉体的なもんは好きなんですけど、頭で考える作業がホンマにキライで。別に僕、詩人でもないし、アーティストでもないし。プレイヤーっていうか、バンドマンっていう自覚はあるけど。だから、歌詞書くのはイヤですねぇ。できれば用意されたものを歌いたい。

──じゃあ、ほかのメンバーに書いてもらったりするのはどう?

岩城 でも、人が書いた歌とか、歌いたくないやろ?

岳久 うん、歌いたくない。

岩城 それをみんなわかってるから(笑)。

岳久 昔、最初のアルバムとかで、俺が書いてきた歌詞を清水が“ここはこうしたほうがいい”って一部分変えてきたことがあるんですけど、その部分はいまだに歌うのちょっとイヤやから。

一同 ははっははは。

──(笑)。個人的には、とりわけ4曲目の「いいこと / 離別」という曲にはガッツポーズでした。

岳久 それはもう、キャッチャーに、ポップに、テンポよくいきたいなって。テンポのいい軽快な曲で、今回あんまりないから、フックにもなるかなぁて。

岩城 夏にぴったりやね。

──いや、サマーソングって感じではないと思うけど(笑)。

岳久 いつも適当に言うよなあ(笑)。海とかで聴きよるで、そんなこと言ったら。

──(笑)。歌詞も素晴らしくて、“クソ離れていく クソ別れていく”“すり潰して 多分さ いい事があるぜ”っていう、やけっぱちな感じと精いっぱいな感情にグッと来ます。

岳久 “クソ離れていく”なんて言わないですけどね、日常生活で(笑)。いつも歌詞どうしよう? って最後のほうまでなってるんですけど、そうやって追い詰められて出てきた歌詞のほうが、僕は気持ちいいっていうか、すっきりしますね。綺麗な言葉だけで作り込まれてる歌詞より、ちょっと雑なフレーズとかあったほうが自分たちらしいというか、自然な感じはします。あと、できるだけ難しい言葉を使いたくない。みんながわかる言葉を組み合わせたり並べ替えたり、それで新鮮な響きとか印象に残るフレーズになるのがいい歌詞なんかなってずっと思ってるから。

 

僕らの気持ちがいちばん反映されてる曲

──なるほど。アルバムの曲はどれも気に入ってると思うんですけど、ひとりずつ特にお気に入りの曲を挙げてもらえますか?

拓人 (しばし熟考して)……「美しき敗北者」かなあ、やっぱり。いちばん最初に出来てた曲やし。

岳久 歌詞も最初から出来てて。いきなりライブでやったんですよね、1年前くらいに。

──吉村さん(bloodthirsty butchers)哀悼のために。

岳久 そのために作って。とりあえず何かやらな気が済まない感じやったから、苦手な歌詞を書く作業も急いでやって。ライブの前々日とかにできたんかな。

拓人 2日くらいで作ったよな。目的がはっきりあったから、あとはやるだけというか。

岳久 結果すごい長い曲になってしまいましたけど。気持ちが盛り上がりすぎて。今まででいちばん長いんちゃうかな? イントロを入れると9分くらいあるから。

──あ、一個前の「Guitar 2」はこの曲のイントロっていう位置づけなんだ?

岳久 そう。

──その急ピッチで作ってたときというのは、やっぱりエモーショナルな感じでした?

岳久 めちゃくちゃエモーショナルでしたよ。これがエモやなっていう。そこらのエモ・バンドを蹴散らすくらいのエモさでした(笑)。

拓人 ははははは。僕らの気持ちがいちばん反映されてる曲ではあると思いますね。だから、ライブでも演ってていちばんグッと来ますから。

──アウトロのギターとか、もう拓人泣いてんちゃうかな? って思うくらいだから。

岩城 まぁ、泣いてますよ。

拓人 はっはははは。

──タイトルにある“敗北者達”という言葉、意味的にはネガティブだけど、すごく愛に溢れたフレーズに聞こえます。

岳久 言ったら、死んだ人がいたわけじゃないですか? 続けていくこととかをすごい考えるきっかけになったバンドやったから、僕らにとって。死んだっていうことは、まぁ、負けたわけじゃないですか。いや、変な意味じゃなくて、僕らからしたら“約束が違うやん!”ってことなんですよ。ずっといるはずやったのに。

──予告もなしに、急にいなくなってしまって。

岳久 そう。でも見方を変えたら、やるべきことをまっとうしたというか。ひとつのストーリーとして、それはそれですごい美しかったなと思って。亡くなったあとにアルバムが出て。

──しかも問答無用の傑作アルバムが。

岳久 続けるっていう意味では負けたけど、バンドとしては最後までかっこよかったなって思うし。すごい美しかったなって。

──吉村さんだけじゃなく、この“敗北者達”にはいろんな人やバンドが含まれているような気がするし。

岳久 そうですね。僕らもバンドやし、吉村さんもバンドありきの人やったし、そういう仲間というか、僕らの周りにもいっぱいうだつの上がらないヤツラというか、たいして売れてもないけど、それでもやってる人っていっぱいいて。自分らも含め、どうしようもないなあって思うんですけど(苦笑)、そういうヤツラ全般のことですね。好きなんですよ。そういう人が。あんま限定したくないけど、そこに自分を重ねてもらえたらいいですね。バンドやることの面白さとか、楽しさとか、美しさとか、それを伝えていきたいというか。別にそこまで背負い込んでるわけじゃないけど、ホンマに面白いと思うし。それはみんなに感じてほしいなあとは思いますね。

──うんうん。この曲は音に関しても、もろブッチャーズですよね。

岳久 そうしようって言ってやったから。パクリって言われてもええからって。

拓人 むしろ、それを感じ取ってもらえなかったら失敗というか。

──オマージュみたいなものを全開にして。図らずもこんなに尺が長くなっちゃったんですか?

岳久 そうですね。盛り上がるところまでやるってなったら、この長さになって。基本長い尺の曲好きなんですよ。同じことずっとやるとか、間奏めっちゃ長いとか。この曲は、最初フェードアウトにしようか? って言ってたよな?  でも、拓人が泣きながら弾いてるから、フェードアウト無理やなって。

──気の済むまで泣かせてやろうと。

拓人 最後まで泣かせてくれって(笑)。

岳久 涙枯れるまで、な。

一同 ははははははっ。

──(笑)。岩ちゃんはどうですか? お気に入りソングを挙げるとすると。

岩城 全体的にお気に入りなんですけど、特に……歌詞的には「Nowhere / どこでもない」とか、「Boy / 交差点」とか好きですけどね。「Boy / 交差点」はドラムに関しても、三拍子の感じ好きです。

岳久 みんな三拍子好きやな。日本人って三拍子が好きって何かで読んだことあるし。

拓人 染み付いてるねんな、身体に。三拍子がいちばん気持ちがいいらしいですよ。

岳久 日本人って、こういう憂いのあるメロディとか、好きですよね。

──そうですね。この「Boy / 交差点」は、最初からアコースティック・アレンジで作っていったんですか?

岳久 いや、最初はエレキで作って、あとで重ねて。そういう重ねることも、ライブでできなくても別にいいっていうか。メロディを良くするっていうのがテーマなんで、何を重ねようが、どんだけコーラス加えようが、今回はNGなしで。メロディが活きるようにやってたから、録音は結構時間かかりました。

拓人 うん。ライブでやるときは、そのときに別のアレンジを考えればいいし。だから、ライブでやることを前提には作らなかったというか。今まではライブでやるときに違和感ないくらいの重ね方やったけど、今回はそういうのなしで。

──とにかく作品としての完成度を高めようと。

岳久 はい。一回録ったドラムを差し替えたりもしたもんな? 「深夜放送 / Unknown」とか。

岩城 自分で録ったやつを聴きながら、もう一回叩き直して。

拓人 作りたいドラムの音像にしようとしたら、叩き直すしかなかったみたいで。

岳久 ギターとベースに合わせるために、すでに録ったドラムを差し替えるってあんまないんですけど。そのこだわりはすごいなあと思って。

自分を殺すっていうか、そういう部分もあると思うんです

──では最後に、お兄ちゃんのお気に入りは? できれば被らない曲を挙げていただければ。

岳久 う〜ん……でも、リード曲の「Flowers / 路傍の花」かな。これはホンマに、みんながいいと思う曲っていうか、キャッチャーで、ポップで、僕ら自身もいいと思えてっていう。だから、サビも何回も作り直したし、コード進行をやり直したり。

──最初にそういうゴールを設定して作っていったと。

岳久 誰もがいいと思う曲を作りたいなって。それが、ある程度のところまで持っていけたかなって思ってますけど。最初のほうに録ってて、かなりコーラスも作り込んで、ここまで行けるなっていうひとつの基準になったような曲なんで。結構思い入れありますね。

──その、みんながいいと思うような曲を作るっていうことは、LOSTAGEにとっては馬力のいる作業で?

岳久 結構、自分を殺すっていうか、そういう部分もあると思うんです。自分のエゴだけじゃなくて、聴いた人がどう思うか、最初に聴いた時にどういう印象になるかっていう。だから、演ってて気持ちいいってところだけじゃないんで、やっぱり。そうなってくると、全体的な尺とか、イントロからの入ってき方とか、歌詞の響き方とか、コーラスのバリエーションとか……。

──いわゆるプロデューサー的な視点が求められますよね。

岳久 そういうのが、ちょっとできるようになったかなって思って。人が聴いてどう思うかっていうのは、昔に比べたら考えるようになったかもしれないです。

──自分たちに何が求められているかっていうようなことも考えたり?

岳久 それもありますし、バランスとかも考えるし。何が求められてて、自分らは何がやりたいのかっていう。やっぱりプレイヤーでもあるから、自分のやりたいことをちゃんと昇華するっていうのは大前提としてあるから。今回はいいバランスでやれたんちゃうかなって。

今までやれてるっていうことに感謝したい

──なるほど。ちょっと漠然とした質問ですけど、アルバム制作中で印象に残ってる出来事とかありますか?

岳久 すごい個人的なことで言うと、吉村さんが亡くなったときに……こういう話すると辛気臭いというか、そういうふうに聞かれるのもどうかなと思うんですけど。まぁ、人がひとり亡くなって、そういうオマージュの曲も作って、それがひとつのきっかけになってアルバムができて。それをやってるときに、僕らの地元で親しかった友だちが亡くなったんです。今年の頭に。

──それは、メンバー共通の友人?

岳久 はい。岩城とか昔バンド一緒にやってたから。

拓人 10年くらい知ってる地元の友だちやな。

岳久 すごい面倒くさいヤツやったんですけど、僕が自分の店をやりはじめて、もう毎日っていうくらい会ってたんですよ。そいつが店に来て。このアルバムを作ってるときは、スタジオで録った音源を一緒に聴いたりしてたんですよ。あんま人に聴かせたくないもんなんですけど、聴いとかなアカンから。“これどう思う?”とか話してた友だちが急に亡くなって。そいつもギタリストやったんですけど。別にその人に捧げるとか、それが全てのアルバムじゃないけど、人が亡くなったりだとか、バンドの解散であったりとか、そういうことをすごい考えるきっかけがあって。それを歌うっていうとこに自然となっていってたというか。そういうことあんまやりたくないけど、今自分が歌いたいことはそれやったし、恥ずかしいとか、個人的すぎるとか、そういう理由で否定するのは違うなと思って。だから、出来事としては、人との別れとか、失ったりすることが自分の中で大きなトピックでした。

──図らずも生と死が大きなテーマになった作品で。

岳久 生きること/死ぬこと、ですね。すごいそれを考えたし、だからといってネガティブな作品になったとは思ってなくて。そもそもいいメロディの、いい歌を作りたいってところから始まってるし、聴いた人にいいなと思って感動してもらいたいから、もちろんポジティブなんですけど。歌詞とかには、すごい個人的な想いが乗ってるというか。

──「Flowers / 路傍の花」には、ちょっと決意みたいなものも感じます。

岳久 うん。それもお店でそいつと聴いてて。「これ、いいな」って、そいつが言ってたから……。みんなはどう思ってるかわからんけど、僕はすごい思い入れのあるアルバムになりました。

拓人 僕も自分が生きてることとか、自分がずっと音楽を続けられてることとか、ホンマにありがたいことやなっていうのはすごい思って。とりあえず今までやれてるっていうことに感謝したいというか。そういうのが、聴いてる人にも伝わったらいいなっていうのはちょっとあります。音源にしても、ライブにしても、周りにいる人に伝わるようにやっていきたいなって。

──変な質問だけど、拓人はいま幸せ?

拓人 そうですねえ(照笑)。

岳久 それが何よりやわ。

拓人 (笑)やれてることはすごい幸せやし、メンバーとか、自分の家族とか、バンド仲間とかにもっと感謝せなあかんなって思ってますけど。なんか、自分が幸せやなって思うことが増えましたね。

──年齢を重ねるごとに、なんだかんだあるけど、自分は恵まれてるなあっていうような気持ちが強くなってきますよね。

拓人 そうですね。だから、ありがとう! って感じです(笑)。

──誰に言っていいのかもわらかないけど、ありがとう! って言いたいよね。

拓人 そうそう。

──根源的なテーマ性もありつつ、とにかくいい歌を詰め込んだアルバムが完成して、メンバー全員晴れやかな気持ちなんですね。

岳久 ちょっと吹っ切れたところはありますね。作りたいと思ってたものが作れたし、プラスアルファ、自分の気持ちとか、いろいろ盛り込めたというか、一個にまとめられたから。そういうタイミングやったと思うんですけど。たまたま今やったからこういうアルバムになったし、人と出会ったり別れたりすることがあったから、こういうアルバムになったんやと思うし。音楽的に今って感じじゃもちろんないし、やってることとか、出したい音もずっと変わってないけど、今の自分たちが出せたんじゃないかと思います。

──ストックはいっぱいあるって言ってたから、早いうちに次のアルバムを聴かせてもらえそうな?

岳久 作ろうと思えばあと2枚くらいは作れるかな? まぁ作らないですけど。

──いや、作ってくださいよ(笑)。創作意欲が尽きたようには全然見えないし。

拓人 まぁ、音源作って、そのあとツアー回ってファイナル終わったところくらいで次どうしようかってなんとなくなるんで。今の段階で次どうなるかってわかんないですけど、これを聴いてくれた人とかの反応を見て、ツアー回って、そのときにどう思うかなあって。

──岩ちゃんはツアーに向けて、どんな意気込みですか?

岩城 まぁ、誕生日ファイナルもあるんで(笑)、いつもどおり全力でやるだけですね。はい。

──楽しみにしてます。今日はありがとうございました!

DISC INFORMATION

ALBUM 2014.8.6 release
「Guitar」
THROAT RECORDS

<CD>

140801_interview_lostage

<収録曲>
01. コンクリート / 記憶
02. Nowhere / どこでもない
03. いいこと / 離別
04. Guitar / アンテナ
05. 深夜放送 / Unknown
06. Flowers / 路傍の花
07. Boy / 交差点
08. Good Luck / 美しき敗北者達

PROFILE

五味岳久(b、vo)、五味拓人(g)、岩城智和(ds、cho)からなる3ピース・ロック・バンド。2001年に地元・奈良にて五味兄弟を中心に結成。何度かのメンバー・チェンジを経て2010年にリリースした『LOSTAGE』より現在の3人編成に。2011年には結成10年目を迎え、自主レーベル“THROAT RECORDS”を立ち上げ、現在も奈良に在住し地元を拠点に活動中。

LIVE INFORMATION

LOSTAGE GUITAR TOUR 2014
8月7日(木)LIVE HOUSE FEVER
8月21日(木)京都 磔磔
8月30日(土)伊那 GRAMHOUSE
9月14日(日)静岡UMBER
9月15日(月・祝)名古屋 HUCK FINN
9月18日(木)大阪 十三 FANDANGO
9月20日(土)柏 ALIVE
9月21日(日)仙台 BIRDLAND
9月23日(火・祝)札幌 KLUB COUNTER ACTION
9月27日(土)広島 4.14
9月28日(日)福岡 KIETH FLACK
10月30日(木)渋谷 CLUB QUATTRO

関連リンク

LOSTAGE OFFICIAL WEBSITE

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