the pillowsの山中さわお主宰のDELICIOUS LABELへ移籍後、初のアルバム『BUM』をリリースするTHE BOHEMIANSの空白の1年半、そして、今。

THE BOHEMIANS

今年1月にthe pillowsの山中さわお主宰のDELICIOUS LABELへ移籍。グラマラスなロックンロールを追求してきたTHE BOHEMIANSのあらたな物語が、今、始まろうとしている。メンバーが本気で敬愛する山中さわおをプロデューサーに迎えた移籍第一弾アルバム『BUM』。ジャケットに写るハムのごとく、アルバムから溢れ出すのは、バンドの“今”を感じるフレッシュなサウンドと、移籍前の停滞していた日々の焦燥と葛藤。BUM(怠け者、浮浪者、無能な人)な日々に軽やかに別れを告げる、THE BOHEMIANSのあらたなロックンロール・ストーリー!

INTERVIEW & TEXT BY 早川加奈子


汚くバムってた2013年の俺の生活にピンクの綺麗なハムをバシッと!

──レーベルも所属プロダクションも変わって、この約1年半ほどでバンドの環境ががらっと変わったと思うんです。きっといろんなことがあったんだろうなと。

平田ぱんだ 逆に何もなさすぎて困ってたんです。“なんもねぇ~っ!”って(笑)。

ビートりょう 意外と2013年は空白の1年だったんですよ。

平田 逆に、何もせず誰の言うことも聞かず、家でお菓子食って酒飲んで映画観るっていう夢の生活だったんです。やべぇ、子供の頃の夢が叶ったぞと思って。そういう意味で去年はすごい楽しかったです。

一同 (爆笑)

平田 でもさすがにこのままだとやべぇなと思って。で、そのクソみたいな2013の夏の日々に、ダメなやつっていうか、悪い意味の英語で“BUM”って名付けたんですけど。ニュー・アルバム『BUM』っていう語呂もいいし。だったら発売は8月6日でしょ? ジャケットはハムだ! って。そもそもジャケは食べ物でレコードを表したものにずっとしたくて。(ザ・ローリング・)ストーンズの『レット・イット・ブリード』のケーキだったり、↑THE HIGH-LOWS↓の『バームクーヘン』だったり。だったらハムがいいなと思って。ロックンロールは生ものだから早めに食わないとこのピンクも焦げ茶色になるぐらい腐るよ、生鮮食品ぐらいの勢いで感じてくれっていう意味も、ジャケに込めてないこともないです。

一同 (爆笑)

平田 汚くバムってた2013年の俺の生活にピンクの綺麗なハムをバシッと! しかもハンコみたいに分厚いハムじゃなく、すぐ腐ってく感じの薄いハムじゃないといけないので。この話、重要ですから。ハムのように扱ってください。一枚の薄いハムのように、このアルバムは扱ってください。

本間ドミノ先生 (小声で)……しつこい(笑)。

平田 や、ほんとだから!

──こんなしつこいキャラでしたっけ(笑)。

平田 今回は文字数が多いインタビューだって言うから、余計なこといっぱい喋っとこうと思って。

一同 (爆笑)

平田 こういうことはアルバムの内容とかの話くらい重要なのに、話す機会ってそんなにないんですよ。ほんとはすごい重要な話なんです。ロックンロールは音だけじゃ足りないと思ってるから。やっぱジャケがあって聴くのとMP3で聴くのとではもう、全然印象が違うから。

本間 今回のジャケは鮮やかな感じにしたいってずっと言ってたよね。汚いものの中に綺麗なピンク色のハムが、ぴらっと置いてあるっていうイメージがもともと平田の頭の中にあったんですよ。

星川ドントレットミーダウン 今までアルバムのジャケが全部顔出しだったから、そうじゃないものにしたいねっていうのもあったんだよね。

ビート 俺ら、ロックンロール・アイドルって言ってたのもあって、今までの3枚のアルバムは全部顔を出してきたけど、(ザ・)ビートルズとかストーンズも若いときは顔が写ったジャケで、顔じゃなくなってきた段階でもう一段階成長した、みたいな。ああいう’60年代のバンドとかによくある感じが出てるかなと思ってて。だから今回、顔写真じゃなくなったことは結構意味があるかなって。

──バンドとして次のレベルに行った、と。じゃあ、このハムの綺麗なピンクはロックンロールが持つ若さや儚さの象徴?

平田 そうそう。俺のイメージではハムって、色を塗ってない食品の中でいちばん色とかが綺麗なイメージなんですよね。ベーコンより綺麗。ベーコンはいびつじゃないですか。丸くないし。でも俺はほんとはベーコンのほうが好きなんですよ。食うことに関しては。

一同 (爆笑)

平田 でも形状はハムのほうがロックンロールっぽい。

もっと音楽的なロックンロール

──ではここからはそのハムの中身の話を。THE BOHEMIANSの基盤には“ロックンロール”がずっとあって、今まではそこにいろんな味付けがされてたと思うんです。ポップだったり、ロックンロール・アイドルだったり。でも『BUM』はそういうのを全部取っ払った潔さがあるなと。

平田 今まではもっと魂を入れなきゃとか、ルックスとかもすべてCDに詰め込まなきゃと思ってたんですよ。だから俺、レコーディングのときもステージ衣装みたいな恰好で、お洒落して歌ってたし。ライブでの勢いみたいなものも(CDに)入れなきゃいけない、みたいな。その勢いみたいなのが入ってなければ音程が合っててもダメで、音程が外れててもロックンロールは勢いだから。でも今回はそっちじゃなくて、もっと音楽的なロックンロールを目指したんですよ。そのコントロールをしたのが山中さわおさんで。

星川 もともとは5人でやるって話だったんです。さわおさん来てくれるかな? って思ってたらめっちゃ来てくれる、みたいな(笑)。

平田 しかも、“俺がプロデュースしてやるぞ”って感じではなく、結果的にもうこれはさわおさんのプロデュース作品でしょっていう感じなんですよね。

チバ・オライリー(と無法の世界)a.k.a ジャン 「ロックンロール・バンドなんだからもっと低音を効かせたりして、男の子にウケないとダメだよ」ってさわおさんが言ってて。最初はポップな感じを狙ってたんだけど、ロックっぽくていいんだってことに気づいたり(笑)。そもそもはふたり(平田&本間)がthe pillowsの大ファンだったんだよね。

平田 10代の頃、「何聞く人?」ってこの人(本間)に聞かれて。洋楽しか聞かねぇ大バカ野郎に邦楽なんか言ってもわかんないだろうと思って「the pillows」って言ったら、「え♡ the pillows?」って返ってきて。

一同 (爆笑)

平田 そういうのもあってラジオのレギュラーを任されたときに、いい機会だからめっちゃファンだって言ってたら、そこのスタッフの人経由でさわおさんにそれが伝わってたみたいで。2012年に“RISING SUN(ROCK FESTIVAL)”に出たときに、酔っぱらったさわおさんに、「平田ぱんだー!」って言って抱きつかれて(笑)。そのときCD渡したら、俺らの風貌から想像つかないぐらい「恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン」って曲がいい! みたいに衝撃を受けてくれたらしくて。

──そういうご縁もあって今回DELICIOUS LABELに移籍することになったんですね。

ビート だから、今回レコーディングに付き合ってもらってうれしいなっていう感じなんですよね(笑)。それに、前作までは一発録りがいちばんで、何回も録り直してるなんてロックンロールじゃねぇよ、みたいに思ってたけど、今回6人目のメンバーとして現場にさわおさんがいてくださって。「一発録りにこだわんなくてもいいよ。それよりも納得できるテイクを録ったほうがいい」って。そういう判断ができるようになったのはデカイですね。

星川 俺はね、一発録りじゃなくなったのがすげーよかった。

一同 (爆笑)

星川 緊張しぃだから、“よし! やるぞ!”だと間違えないようにするのに意識がいっちゃうけど、今回は自然とできたから。だから選択肢と視野が広がったというか。今までもその時その時でレコーディングは楽しんでたけど、一発録りの衝動だけでパッケージしようとしてたから、プレイの幅が狭くなってた気がする。でも今回はもっと自然に、普通にいい音楽を作れた感じが俺はすごいするんですよね。ま、一発録りの良さもあるんだけどね。

平田 すまんな。今までそれに気づいてやれなくて

一同 (笑)

本間 一発録りのレコーディングという部分では、手癖とか結構出しくした感は個人的にあったんです。そういう部分で今回さわおさんにヒントをもらったっつーか。前は俺、自分が好きなハモンドの音しか使ってなかったんですよね。いまだにそういう音は好きなんですけど、やっぱ新しいロック・バンドなんだから、古い音しか使わないってことはないし、ロックンロール・バンドは何やったって別にいいわけだし。そういうところも含めて、自分たちがやりたかったことで、なおかつ新しい部分が広がったかなっていう感じが今回すごくしますね。今後もそれがどんどん広げられそうだなっていうのもあって、とてもいいきっかけの一枚だなって。
チバ 今回そういう、いろんな選択肢があるよっていう、その明確な道筋を作ってくれたのがさわおさんだと思うんですよ。だからやりやすかったのもあるし、ここ1年半ぐらい自分たちだけでライブとかもやってて。そこで、“自分たちだけでもやれるんじゃん”って余裕ができたのもあったうえでのレコーディングだったのも大きいですね。

本間 あの時期に、”バンド感が出た”“いい意味でエッジが効いてきた”って、ロック・バンドとしてはうれしいホメ言葉をもらってて。そのテンションも多少なりとも入ってると思います。

 

東京にいる日々を書いた日記です。だから“BUM”なんです

──しかも今回は全曲、作詞作曲が平田山崎(※山崎=ビートりょう)コンビで。基本的に全員曲が作れる人たちなのに、今回こういう形になったのには何か意図が?

チバ ほかの3人が特段、曲を出してなかったっていうのもあるけど、自然な流れでそうなったというか。見え方はすっきりしてますけどね。

ビート 曲が出来たら録る、みたいなのがクセになってるので、いつものペースで作ってたらこうなっただけというか。ただ今回は、前のレーベルで出してたものは山形にいる頃からあった曲も入ってるんですけど、『BUM』は基本的に2013年辺りに作った曲で。だから書き下ろしっつーか……。

星川 東京のアルバムって言ってたよね。山形の要素がない。

平田 山形のことも歌われてないし。ま、東京にいる日々を書いた日記です。だから“BUM”なんです。

星川 うちらって音源もライブも”夢の世界”みたいな、非現実的なイメージがあると思うんですけど、今回は結構自分たちの日常のことがいい意味で出ちゃってる気がするというか。だから今までより歌詞とか音とか、心に響く曲が多いと思いますね。

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──「NEW VIEW」なんて、まさに決意の1曲ですもんね。

星川 メンバーからするとそういう部分は如実に出てるなと思います。自主制作曲の「NEW LOVE」もそうだし。

チバ あと、今回はプリプロをちゃんとやれたのもよかったと思いますね。今までそれぞれ出したい音ってあったと思うんですけど、ここまでこだわってもいいんだってことを知れたというか。

ビート 今までやれてなかったからね。やっぱこういうもんだよなって。

平田 今まで曲を作りながらレコーディングしてたからね。アレンジとかもその場でやってたし。でも今回は(アレンジまで)ちゃんと作ってから録ったから。

ビート ギターの音も俺以上にさわおさんがすごいこだわってくれたんです。俺はその場その場でやるような感じで、すごくいい加減だから(笑)。でも全部任せたわけじゃなくて、俺がこっちがいいって言ったらちゃんと尊重してくれて。だから6人目のメンバーっていう感覚で俺はさわおさんのことを捉えてますね。

──いろんな意味でいい刺激をもらった、と。

平田 おかげで音源制作はライブとは違うんだなということが、今回よくわかりました。そして、良くなった。CDは家で音楽として聴くものだから。だから、これから先が楽しみだ感が『BUM』から溢れてますよ。またここからTHE BOHEMIANS始まるなぁ、みたいな。

ビート 今まで5枚アルバムとかを出してきて、ジャケットがずらっと並ぶと『BUM』のハムが後々「・」みたいに見えて、ここからまた新しい物語が始まるっていうか。そんな深刻にとらえてたわけじゃないけど、2013年のBUMってた時期を超えて、もう何がきても怖くないと思える自信になりました。根拠はないけど(笑)。

──9月からのツアー(“AUTUMN ROYAL BUM TOUR 2014 ~僕の復活~”)ではそういう、THE BOHEMIANSの“今”が体感できそうですね。

星川 めっちゃ楽しみです。ワンマン・ツアーがやりたかったから。

平田 さっき言った「NEW LOVE」はライブ会場限定で去年最後に出した曲なんで、これからも会場でしか売らない曲だけど、それと『BUM』はセットだよ、ってことはここで言っておきます。

──じゃあ、「NEW LOVE」を手に入れるためにもツアーは必見ですね。

平田 実はうちら、来年結成10周年なんです。売れてる売れてない関係なく、10年やっててしょぼいバンド、ひとつもいないですからね。だから俺らが10周年のときにクソみたいなライブをすることがあったらもう、ダメだ。自分が許せない。だからひとりでもライブの動員が減ったら……解散します。

一同 (大爆笑)

──や、解散はしないで(笑)。そのかわり誰かが刈り上げにするとかは?

チバ 刈り上げるよりはヒゲだな。誰かがヒゲを生やす。

星川 俺はそれ、ちょっと面倒くさいな(笑)。

本間 じゃ、俺!?

平田 だな。アイメイクしてヒゲっていちばんカッコいいじゃん。ジャック・スパロウとか日本脳炎みたいで。パンクスはそっちだよ。決まり。それで行くぞ!

一同 (爆笑)

星川 なんか、急に厳しくなったね。

一同 (爆笑)

星川 あんだけ去年BUMってたのに(笑)。

平田 BUMってたって堕落しかないんだから。昔はそれでよかったと思ってたんですよ。でも堕落にいいことなんか何もないんですよ。厳しく律して、強く生きてったほうが、幸せ!

DISC INFORMATION

ALBUM 2014.8.6 release
「BUM」
DELICIOUS LABEL

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<CD>
01. NEW VIEW
02. BUM
03. SHOPPING
04. 真夏の仲間
05. Nadine
06. shyboy
07. DRIVE LOVE
08. Johnny Foo
09. Pictures of Pete
10. THE ALWAYS
11. SUPER THUNDER ELEGANT SECRET BIG MACHINE

PROFILE

ザ・ボヘミアンズ/ビートりょう(g、cho)、本間ドミノ先生(key、cho)、平田ぱんだ(vo)、チバ・オイラリー(と無法の世界)a.k.a ジャン(ds、cho)、星川ドントレットミーダウン(b、cho)の5人組ロックンロール・バンド。2004年、学園祭にバンドで出演するためにビートりょうが同じ大学で同じ学科だった平田ぱんだに連絡をし、ふたりを中心に結成。その後同学科だった本間ドミノ先生も加入し山形と仙台のライブハウスを中心に活動をスタートさせる。東京に上京後、2007年にチバ・オライリー(と無法の世界)a.k.a ジャン、星川ドントレットミーダウンが加入し、一度チバの脱退&あらたなドラムの加入を経て、2010年に現在のメンバー編成に。2010年にインディーズでアルバム『I WAS JAPANESE KINKS』をリリースし、翌年8月31日にアルバム『憧れられたい』でメジャー・デビューを果たす。その後はアルバム2枚(『THIS IS POP !!!』『BOHEMIANS FOR LIFE』)とシングル2枚(「THE SPIDER BEAT EP NO.1」「THE SPIDER BEAT EP NO.2」/ムッシュかまやつとのコラボ作品、「NEW LOVE」/ライブ会場限定)をリリースしている。

LIVE INFORMATION

<ツアー>
AUTUMN ROYAL BUM TOUR 2014 ~僕の復活~
9月27日(土)高松 DIME
9月28日(日)福岡 Queblick
10月8日(水)金沢 vanvanV4
10月10日(金)大阪 Music Club JANUS
10月11日(土)広島 Cave-Be
10月17日(金)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
10月26日(日)名古屋 CLUB UPSET
11月1日(土)札幌 KRAPS HALL
11月3日(月・祝)東京 キネマ倶楽部

<イベントほか>
Re:mix 2014
8月23日(土)・24日(日)名古屋 DIAMOND HALL/APOLLO BASE
※THE BOHEMIANSの出演は8月23日(土)

THE BOHEMIANS「BUM」リリース記念インストアイベント
8月24日(日)タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース(ミニライブ・特典会)
9月1日(月)タワーレコード渋谷店B1「CUTUP STUDIO」(スペシャルライブ)
10月31日(金)タワーレコード札幌ピヴォ店 店内イベントスペース(トーク&ミニライブ・サイン会)

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