People In The Box ALBUM「Wall, Window」ディスクレビュー

Wall, Window

ALBUM

People In The Box

Wall, Window

CROWN STONES/CROWN RECORDS

2014.08.06 release


ポジティブに開いたアルバム&シングル、同時リリース!

 リスナーの存在を根本から肯定しようとする歌、カラフルなポップ感覚を備えたサウンドメイク。このバンドがこれほどまでに開放的な音楽を表現するのは、おそらく初めてではないだろうか。Peolple In The Boxのニュー・アルバム「Wall, Window」。全21曲を1トラックで聴かせるというスタイルを試みた前作「Weather Report」からわずか10ヵ月という短いスパンで届けられた本作は、バンド史上、もっとも“開けた”作品となった。このアルバムの特性をもっともダイレクトに象徴しているのは、リード・トラックの「翻訳機」。ドラマチックな広がりを持つメロディとサウンドとともに波多野裕文(vo、g)は“ぼくはきみの翻訳機になって 世界を飛びまわってみたい”と歌う。“きみ”とはもちろん、このアルバムを手に取ったリスナーのことだろう。“きみ”の生まれた場所、気高い精神、悲しいこと、楽しいこと。それらをすべて汲み取りながら、歌という形にして届けたい——この曲を聴いていると、どうしてもそんなふうに思えてしまうのだ。こんなにも真っ直ぐ、直接的に聴き手に向き合おうとする彼らの音楽は、今まで聴いたことがない。聴き手の痛み、悲しみに寄り添うような「もう大丈夫」、“みんなここにおいで”と呼びかける「風が吹いたら」からも、リスナーと直接コミットしたいという意思が感じられる。感情の移り変わりと密接に重なりながら、ナチュラルに表情を変えていくバンド・サウンドも、確実に精度を増しているようだ。

 アルバムと同時にシングル「聖者たち」もリリース。ダーク・ファンタジー系のアニメ「東京喰種 トーキョーグール」エンディング・テーマに起用されたこの曲は、憂いと激しさが共存するミディアム・ロック・チューン。美しさ、儚さ、怖さが混ざり合いながら、独特のポップネスへとつながっていくこの曲は、幅広い層のリスナーにアピールすることになるだろう。

(森 朋之)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人