HINTO ALBUM「NERVOUS PARTY」ディスクレビュー

NERVOUS PARTY

ALBUM

HINTO

NERVOUS PARTY

Bauxite Music wy.

2014.07.23 release

<CD>


踊らせる音、踊る言葉

 元SPARTA LOCALSの安部コウセイを中心に結成されたHINTO(ヒント)。彼らのバンド・アンサンブルは本当に複雑怪奇だと言える。ソリッドでシャープなギター、バンド全体のグルーヴを支えているベース、そして性急なノリを生み出すドラムといった具合に、一つひとつの音は狂気を滲ませた変態チックなものであるが、そこに安部コウセイのボーカルが重なり、バンドのサウンドとして前景化されると、1度聴いたら耳にこびりつくキャッチーなものになっている。ゆえにHINTOのサウンドは高い中毒性を備え、何度も繰り返し聴いてしまう。この中毒性こそ、筆者がHINTOの音楽を愛聴する大きな理由のひとつだ。

 本作『NERVOUS PAPTY』は、サポート・ベーシスト林束紗が抜けてから初のアルバム。後任ベーシストにSPARTA LOCALSでも一緒だった安部光広(安部コウセイの実弟)を迎えて制作された。内容は、先述したHINTOの魅力を深化させたものとなっている。ニューヨーク・パンクを語るうえでは欠かせないバンドのテレヴィジョン、それからギャング・オブ・フォーといったポスト・パンクの影響がうかがえるサウンドも興味深い。さらに「アットホームダンサー」という曲は、ア・サーティン・レイシオなどの’80年代ニューウェーブ・ディスコを想起させたりと、贅肉を削ぎ落としたシンプルなサウンドスケープが際立つ本作にはたくさんの音楽的要素が込められている。

 安部コウセイによる歌詞も特筆しておきたい。言葉数は多くないものの、リズム感に優れた言葉選びが光り、バンドのサウンドにうまく馴染んでいる。聴き手の想像力を喚起する余白もあり、それはさながら、ストリートの詩人が紡ぐ散文詩のようである。筆者からすると、アメリカの作家チャールズ・ブコウスキーを連想させる世界観も見いだせるのだが、どうだろう?

(近藤真弥)

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