ザ・コレクターズ ALBUM「鳴り止まないラブソング」ディスクレビュー

鳴り止まないラブソング

ALBUM

ザ・コレクターズ

鳴り止まないラブソング

日本コロムビア

2014.07.23 release

初回盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


“伝説”にならなかった、現在進行形の伝説バンド

 数年前、ソニック・ユースのサーストン・ムーアは本気か冗談かこんなことを言っていた。「俺たちのキャリアでいちばん大きな過ちは解散しなかったことだよ」。この発言の背景には、’80~90年代に同じくUSオルタナティブ・ロック・シーンで活躍していたピクシーズやダイナソーJr.が’90年代のうちに解散し、それから10年ほど経ってから再結成して、ワールド・ツアーを大成功させていたことが背景にあった。なるほど。10年、20年とライブ活動を続け、コンスタントに作品をリリースし続けているバンドよりも、一度勢いよく卓袱台を引っくり返して、その数年後にばつが悪そうに再び集まったバンドのほうがファンからありがたがられるという状況は理不尽である。それは、そのまま日本のロック・シーンにおいても当てはまるだろう。

 1986年の結成以来、メンバー・チェンジは何度かあったものの、28年間にわたってライブ活動を続け、コンスタントに作品をリリースし続けているザ・コレクターズ。もちろん、本人たちがいくらバンドを続けたいと思っていたとしても、ファンの支持と忠誠心がなければそんなことは不可能なわけで、それだけでも賞賛すべきことである。しかし、アンダーグラウンドにおけるネオGSムーブメントとオーバーグラウンドにおける渋谷系ブーム、その狭間にあった’90年代前半の日本の音楽シーンにおける彼らの最高にクールなスタンスを鮮明に記憶している音楽ファンのひとりとしては、“もしあの時代にザ・コレクターズが解散していて、今再結成したとしたら、<あの伝説の>みたいに呼ばれていたんだろうな”と思わないでもない。しかし、彼らは立ち止まらなかった。ラブ・ソングは鳴り止まなかった。

 ポップでキャッチーなメロディとラブ・ソングへの飽くなき執着。その裏側にある、ある特定のロックンロールのスタイルへの異常なまでの偏愛。近年は、例えば4曲目「青春ロック」のようなわかりやすく熱い曲もレパートリーに増えてきたが、彼らの本質は今でもクールなスタイル至上主義者である。イントロの必殺リフから、ブレイクを一発かましての、サビに突入したときの圧倒的な陶酔感。2曲目「ミノホドシラズ」は、そんなスタイル至上主義者にしか鳴らすことのできないパーフェクトな4分間のロックンロール、文句なしのキラーチューンだ。こんな奇跡のような曲と出会える瞬間があるから、ザ・コレクターズの新作を聴くのを止めることはできないのだ。

(宇野維正)

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