木村カエラ SINGLE「OLE!OH!」ディスクレビュー

OLE!OH!

SINGLE

木村カエラ

OLE!OH!

ビクターエンタテインメント/ELA

2014.07.09 release


聴いているうちに次第に心が元気になる3つの夢のお話

 今年6月23日にデビュー10周年を迎えた木村カエラの“10years anniversary”企画Vol.1としてリリースされる通算20枚目のシングル。昨年9月に立ち上げたプライベート・レーベル“ELA”からの第1弾作品となったコラボ・カバー・アルバム『ROCK』、10周年企画のVol.0としてリリースされたばかりのベスト・アルバム『10years』をはさみ、オリジナルとしては約1年8ヵ月ぶりの作品。

 11年目の第一歩としてカエラが掲げた“夢”をテーマにした新曲3曲の作曲とプロデュースを担当したのは、アメリカのバークレー出身で、イギリスの老舗インディーズ・レーベル“ラフ・トレード”からリリースしている3人組ポップ・バンド「POP ETC(ポップ・エトセトラ)のクリストファー・チュウ(兄のほう)。表題曲はエイティーズとエキゾチックな風を感じるポップ・ナンバーで、夢を持つことを忘れずに、前に向かって進んでほしいというメッセージを込めた応援ソングとなっている。応援ソングではあるが、他人を応援してるわけではない。タイトルの「OLE!OH!」とはスペイン語で賞讃する言葉の“オレ!”とかけ声の“オー!”とかけ合わせたカエラ流の造語で、ジャケットを見れば、その言葉は自分の中から飛び出していることがわかる。他人を応援する前には、自分が夢を持ち、自分が元気な状態になっていないといけないわけで、そういう意味では、物事をネガティブに捉えて悩みがちな彼女らしい、自分で自分を励ます“わたし応援歌”となっている。ビートに関しても、アップ・テンポで勢いよく、四の五の言わずに気持ちをアゲる! というよりは、ゆっくりと少しずつ良くなっていこうとする、ゆるやかな時間の流れを感じるテンポ。ちょっと落ち込んだときに、自分の部屋でひとり、この曲を小さめの音でリピートしていると、部屋の空気が、心の有り様が、少しずつ明るくポジティブなものに変わっていくような感覚がある。

 「夢を現実に!」と繰り返す、南国リバーブたっぷりのエレ・ポップ「MAKE THIS DREAM REAL」と、おやすみの夢の中へと誘うロック・バラード「うさぎとお月様」も同じく、リピートとして何度も聴いてみてほしい。自分自身に言い聞かせるように「OLE!OH!」や「MAKE THIS DREAM REAL」と一緒につぶやいたり、琴と鉄琴を混ぜたような不思議な音色の楽器やスティールパン、優しいアコギが奏でるフレーズに身を委ねているうちに、次第に気持ちが変化していることに気づくはず。

(永堀アツオ)

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