きゃりーぱみゅぱみゅ ALBUM「ピカピカふぁんたじん」ディスクレビュー

ピカピカふぁんたじん

ALBUM

きゃりーぱみゅぱみゅ

ピカピカふぁんたじん

ワーナーミュージック・ジャパン

2014.07.09 release

初回限定盤A/写真 <CD+DVD>
初回限定盤B <CD+DVD>
通常盤 <CD>


日常の中の夢を与えてくれるファンタジーな人

 きゃりーぱみゅぱみゅのライブは、小さいお子さんが多い。じゃあ、子供向けの音楽なのかと言えば、低音は重めでファットに鳴り響いているし、会場には原宿ファッションに身を包んだティーンネージャーもいれば、クラブ・ミュージック好きの大人もいる。じゃあ、何が言いたいのかというと、かなり幅広い世代のリスナーが集まる彼女のライブにおいて、最も素直で、最も敏感なのは、その10歳にも満たない子供たちなのではないか、ということだ。彼/彼女たちは、ただ純粋に、目の前で繰り広げられているステージが、楽しいかどうかを判断する。歌詞の意味など考えないし、きゃりーが今、最も輝くポップ・アイコンであるという情報さえも関係なく、曲が良ければ、楽しそうに歌い踊り、ステージ上のきゃりーと一緒に飛び跳ね、カラフルな夢を見る。そんな子供たちの夢の原動力になっているのは、きゃりーのパフォーマンスと存在自体であり、彼女のクリエティビィティを刺激された、プロデューサーの中田ヤスタカが手がける楽曲である。このタッグは今、時に残酷なほど正直な子供たちの目と耳に耐えうる強度を持った、最新のポップスを生み出しているのだ。

 また、アーティストにおいては、作品をリリースするごとに“変化”や“成長”という言葉が使われるが、きゃりーは、“変身”と“進化”を続けるアーティストである。今年の1月に開催されたアリーナ公演でスナイパーの銃弾に倒れた彼女は、不死鳥として復活し、“スーパーきゃりーぱみゅぱみゅ”に進化した。スーパーきゃりーぱみゅぱみゅとしての第1弾シングル「ゆめのはじまりんりん」でキャリア<初>の卒業ソングに挑戦。続く第2弾シングル「ファミリーパーティー」は、映画「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」の主題歌で、MVでは段ボールのロボットと戦いながら、これまた<初>となる家族愛を歌った。そして、7777セット限定のCD付きグッズとしてリリースされた「きらきらキラー」は、au のCMソングで、CMではラッキー・カラーを振りまく魔法使いとなり、楽曲の中では心優しきダーク・ヒーローを見つめていた。これらのシングル曲に加え、人見知りをテーマにしたダンス・ロック「シリアスひとみ」や<初>の全編英語詞の「Ring a Bell」を含む3枚目のアルバム『ピカピカふぁんたじん』で、彼女はタイトルどおりに、キラキラを超えた、ピカピカのふぁんたじん=ファンタジーな人となった。このアルバムには、夢や憧れや希望、キラキラやピカピカが詰まっている。現実はそんなに甘くない! という方もいるかもしれないけれども、いろんなことが起こる毎日を生き抜くためには、ファンタジーが必要なときもある。きゃりーの音楽を聴いてる間だけは、日常から少し気持ちが浮き上り、夢を見ることができる。誰かが、「ポップスとは、人々が暮らしの中で見る夢である」と言っていたが、彼女は、そんな一瞬のファンタジー/夢を与えてくれる“ふぁんたじん”であり、子供たちにとっては、クリーミィーマミやセーラームーン、プリキュアにも負けない、音楽で魔法を生み出す魔法少女でもあるのだ。

(永堀アツオ)

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