BURNOUT SYNDROMES – “燃え尽き症候群”という名前をバンド名に冠したキャリア9年の関西発3ピース・バンド、BURNOUT SYNDROMESに迫る。

BURNOUT SYNDROMES

 10代で結成し、すでに9年のキャリアを持つBURNOUT SYNDROMES。精力的に活動し、昨年の年末には初のワンマン・ライブを行って注目を集めた。複雑に展開しながらもキャッチーなメロディが耳に残る独自の音楽性、リアルな言葉を詰め込み限りなくイマジネーションを掻き立てる歌詞のオリジナリティなど、際立つ存在感を発揮する3ピースのバンドだ。今回の『世界一美しい世界一美しい世界』はそんな彼らの魅力を余すところなく収録したアルバム。人生が変わる瞬間を切り取って作られた楽曲たちが鮮やかに迫ってくる。

INTERVIEW & TEXT BY 岡本 明

 

右も左もわからないまま手探りでいつの間にか始まってました

──このバンドを始めてから長いんですよね?

熊谷和海 今年で9年目ですね。

──どういういきさつでバンドを結成したんですか?

石川大裕 友人ですね。学校が同じだったんですけど、出会って1ヵ月でメンバーになりました。僕がバンドを始めたくてメンバーを探したところ、体育の時間にペアだったので(笑)。

──それまでは経験もなく?

熊谷 はい。楽器もやってなかったです。僕のオヤジがギターを持っていたので、ギターやれよって言われて。そこは抵抗なく始めましたけど。
廣瀬拓哉 僕はたまたまゲームセンターでドラムマニアをやっていたんですけど、ふと隣を見たら小学校の同級生だった石川がギターフリークをやっていて(笑)、ええっ! と思って話しかけたら、ドラム探しているからお前ドラムやれって。だから、バンドに入ってからドラムを始めました(笑)。

──どういう音楽を聴いていたんですか?

石川 僕は兄の影響でMr.Children、BUMP OF CHICKENといった王道ロックが好きで、そういうのをやりたいなと思っていて。
熊谷 最初はASIAN KUNG-FU GENERATION、BUMP OF CHICKEN。世代としてはそこがど真ん中なので。
廣瀬 僕はドラムを始めるまで音楽も聴いていなかったので、石川から音楽を教えてもらって。バンプ、アジカン、ELLEGARDENとか、だいたいみんなと同じ音楽にはまっていました。

──コピーするのもそういったバンドでした?

廣瀬 いえ、バンドでコピーすることって、あまりなかったんですよ。多少はしましたけど、ドラムを始めて3ヵ月目で熊谷がオリジナルを作ってきて。右も左もわからないまま手探りでいつの間にか始まってました(笑)。
熊谷 バンドスコアが覚えられないので、曲を作ったほうが早いと思って(笑)。作ったら意外と向いているかもしれないと思えました。楽しかったですね。曲作りはスムーズではなかったかもしれないけど、やっていてしんどいとか嫌だなと思うこともなくて。楽しみながら遊びの感覚で曲を作っていました。

──周りにバンドって多かったですか?

石川 同世代はあまりいなかったので、僕らはひとりぼっちでしたね。先輩、後輩はいたんですけど、同い年になるとほとんどいなくて。
熊谷 今でもそんなにいなくて。周りを気にすることもなく、やりたいようにやってきました。

──自信はあったんですか?

熊谷 その頃はまだそこまで考えてなかったと思います。無料配布音源で2曲作りまして、それが3人とも納得のいく作品に仕上がったので、そこからやっと全員で一致団結して前に進むようになったと思います。

──音源にしたことで、やろうとしていたことが形になって見えたというか?

熊谷 そうです。僕らは音源世代なので、音源を作るということにこだわりがあるんです。音源を何回も繰り返し聴いて育ってきたので、繰り返し聴いて耐えられる作品を作りたいなって思っていますから。

──曲はどういうふうに作るんですか?

熊谷 基本的に僕がギターとボーカルをMTR(マルチトラック・レコーダー)に録音して、メンバーに投げます。構成はあとから変わりますけれど、ギターのプレイはそのデモの状態と変わってないですね。

──初期からずっとそういう作り方ですか?

熊谷 そうですね、僕はベースもドラムもまったくわからないので。自分のやれることだけを詰め込んで投げて、あとは任せようと。

──曲のタイプは昔から変わらないですか?

廣瀬 いえ、結構変わっていって、自分たちにしかできないことを模索しながら壁を乗り越えてきました。

──どういうふうに乗り越えたんですか?

廣瀬 初めた頃は本当に初期衝動で作っていたんですよ。「ラブレター。」は結成してオリジナルを作って2〜3曲目ぐらいだったんですけど、ストレートに作っていて。そこから、Aメロ〜Bメロ〜サビっていう形がすべてじゃない、音楽ってもっと広いって思うようになって。誰もやってないことを3人でやろうと模索して、構成も複雑になっていきました。それでいてやっぱり聴きやすいものを作りたかったので、複雑だけどそう思わせない、キャッチーな曲を作ろうって。それをずっと探してて、「リフレインはもう鳴らない」でようやく形になったのかな。

──結構、曲の中で展開していきますよね?

廣瀬 そうですけど、それでいてキャッチーであることも大事だと思うので。複雑でわからない、届かない、じゃダメだと思うので。

──つい展開したくなるんですか、ひねりたくなるというか?

石川 3人という編成も大きいと思いますね。リード・ギターがいないということと、3人全員が歌うことで、熊谷の持っている世界観を引き立てるのが僕らの強みだと思うので。それが展開に現れてしまうと思います。

──必然的に展開していく?

熊谷 構成にもよると思うんですけど、Aメロ〜Bメロ〜サビというのが逆に不自然になってくる場合がよく発生するんですよ。僕らがコピーをしてこなかったというのもあるんですけど、あまり定石どおりにしないで、自由にナチュラルにできていると思うんです。

聴きやすいというのがテーマ

──既成の作り方にとらわれずに作るわけですね?

熊谷 そうですね、こうきたら次は別のメロディがいいよねって作っていくと自然と展開していって。

──そうすることでさらに世界が開けていきそうな面白さが見つけられる?

熊谷 そうなんです、そういうのは意識しています。そういうナチュラルさを全曲に持たせてあげて、ひとつの世界にしてあげられたらなって。CD1枚をひとつのワールドとして、8曲で展開したいっていうのが今回のアルバムです。

──しかも曲が展開するに連れて歌詞も展開しますよね?

熊谷 曲調によって感情って変わってくるんじゃないかと思っていて。それを意識して、歌詞の強さ、気持ちを込めるタイミングを図りながら書いています。

──結果、それが自分たちらしさ、自分たちにしか出せない強みにつながっていて。そういう意味では、今回の8曲は自分たちの名刺替わりの曲と言えますね?

熊谷 そうですね。昔からの曲もたくさんあるんですけど、変な構成もありつつナチュラルな曲を集めたというか。聴きやすいというのがテーマなんですけど、何回も聴けるアルバムを作りたくて。

──「ラブレター。」「リフレインはもう鳴らない」が古い曲だという話でしたけど?

熊谷 「ラブレター。」は中学2年生で作って。その次が「墜落 / 上昇」で高校1年生。「むー」もそのへんです。基本的に高校生の頃の曲が半分ぐらいですね。あとは20歳超えてからの曲があって、いろんなベクトルがあるなと思います。短い期間に作った曲たちではないので。逆にいろんな年齢層の方に聴いていただけると思います。

──当時思っていたこととの差がないのがいいですね。

熊谷 根本的には変わってないんじゃないかな。

──10代の頃の曲を聴き直して恥ずかしいということもなく?

熊谷 恥ずかしい曲もあるんですけど(笑)、この8曲に関しては、当時の拙い技量ではあってもちゃんと表現できた曲なのかなって思います。昔から楽しんで聴いてほしいというのはありましたから、それをクリアできた曲がここに詰まってます。

──歌詞カードを読み返すと、字を置き換えていたり、ダブル・ミーニングになっていたり、あらたな発見がありますね?

熊谷 歌詞カードに僕は特別な思い入れがありまして。CDを買って帰るまでの電車の中で歌詞カードを熟読する時間が幸せなんですよ。なんならファストフード店に立ち寄って歌詞を読み込む。あえて、そこでは聴かない。そのぐらい歌詞カードという存在が好きなので、自分が作る際は歌詞カードでも楽しんでもらいたいと思っていました。

──凝ってますよね。ページをめくるごとにいろんな世界があって。

熊谷 絵本のようなね。これ単体で楽しめるものがいいかなって。僕らが書いているものはただの詞じゃなくて、歌詞だと思うので。その躍動感を伝えるのが歌詞カードのデザインじゃないかなと思っているので。

──それでいて、ドキっとする言葉もありますね?

熊谷 そういうワードを配置するのも歌詞カードの役目じゃないかなと。

──具体的な言葉が入ってきて、曲がより現実味を帯びますね?

熊谷 やはり、絵空事の世界ではなくて、すぐそばにあるものの話を伝えたいんですね。なので、聴いている人にも自分のこととして自己投影してもらえたらなって思います。

──そういう熊谷さんの世界観をメンバーのおふたりはどう感じます?

石川 僕はよくハモリを担当しているんですけど、一緒にこの言葉を届けられるのはうれしいなと思いながら歌っています。入念にハモってライブで伝えていますから。
廣瀬 僕は歌詞に影響されるんですよ。フレーズも歌詞から出てくることが多くて。もちろん、サウンドありきなんですけど、その歌詞で何を伝えたいのかを掴むところからフレーズが浮かんで、ライブではそのフレーズをどう表現していこうかってさらに変わっていくので。音源でしか出せないものもあるんですけど、ライブでしか出せないその日の熱量、ここを伝えたいっていう部分を読み取ってライブで出していく面白さもあって。ぜひCDを聴いてからライブも来てほしいです。
熊谷 やってることは同じなんだけど、それでもCDとライブが全然違うと言われるので。再現という点では同じでも熱量が違っているからだと思うんですけど、こんなバンドだったんだってよく言われるので。そういうところも楽しみながらライブに来ていただけるとうれしいですね。

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