怒髪天 – ドラマー・坂詰克彦がソロ・デビュー!? そのシングルと3枚組ベスト・アルバム『問答無用セレクション“金賞”』の真相に迫る! 増子直純が登場!!

怒髪天

満員御礼の日本武道館公演(‘14年1月12日)から始まった怒髪天の30周年アニバーサリー・イヤー。現在は、これまた初となる全国47都道府県ツアー<怒髪天、おかげさまで30周年。47都道府県勝手にお礼参りツアー“いやぁ、なんも、おかえしだって。”>の真っ最中、さらに7月2日にはライブの鉄板曲をたっぷり収めた3枚組ベスト・アルバム『問答無用セレクション“金賞”』(そして、ドラマー・坂詰克彦のソロ・デビュー曲を含む「今夜も始まっているだろう/スポーツ大佐のテーマ」も)をリリース。R&E(リズム&演歌)を旗印にした独自のロックンロールを爆音で鳴らしながら、40代後半を迎えた現在もグイグイと進み続けている。
今回もフロントマン・増子直純(ボーカル)にインタビュー。怒髪天の現状とこれからの展開、そして、バンドを続けることに対する意思について語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 森朋之

去年1年、ケツに火をつけて働きまくった成果

──現在は47都道府県ツアーの真っ最中ですね。
そうだね。しかもツアーの合間にイベントに出たり、次のアルバムのレコーディングも始まってるから。ほら、言っちゃったからね、”白盤”もあるよって。4月に紅盤(『男呼盛“紅”』)を出したから、今年中に“白盤”が出ないとおかしいでしょ?(苦笑)
──“紅盤”“白盤”をリリースするって宣言しちゃいましたからね。
うん。でも、ツアーは楽しいよ。そもそも曲を作って“ライブをやる=バンドをやる”ってことだから。初めて行く土地のライブなんて、最高だよ。“初めて来た土地なのに、こんなに人が来てくれるんだ?”っていう喜びもあるし。秋田、三重、宮崎、佐賀……宮崎とかは「どげんかせんといかん」って言える時期にホントは行きかったんだけど、完全に古くなっちゃったね(笑)。
──(笑)。特に今回のツアーは“勝手にお礼参り”ですからね。30周年をお祝いしてくれたオーディエンスにお礼の気持ちを伝えに行くっていう。
“ありがとう”ってことだね、とにかく。武道館にもたくさんの人が来てくれたけど、仕事の都合なんかで来れない人もいたわけだから。今回のツアーでも「おめでとう」って言ってもらってるし。あとは、紅盤のリリース・ツアーでもあるんだけど、メインは30周年記念のツアーだからスーパーベストな選曲のツアーになってるね。最近知ったりしてさ、初めて観る人でも楽しめるようになってる。
──1月に行われた初の武道館公演も、怒髪天にとってはものすごく大きな出来事だったわけですが。今振り返ってみると、どんなライブでした?
そりゃあ、特別なものだったと思うよ。当日は怒涛というか、ダーッーと終わっちゃったから、全然現実味がなかったんだよね。DVD(「怒髪天結成30周年記念公演 “いやぁ、こないだ、ほんと、どうもね。”LIVE AT BUDOKAN」)の映像を確認したときに“ホントにやったんだな”って思ったくらいだから、夢のような時間だったんじゃない?
──まさに満員御礼だったし、怒髪天と交流のあるバンドマンもいっぱい来ていて。本当に愛されてるバンドだな、と。
みんな思い切りお祝いしてくれたし、こっちもしっかりしたライブができたし。良かったよ。気力も体力も充実していて……。the pillowsも15周年のときに武道館をやったじゃない? 山中(さわお)は前の日、緊張であんまり寝れなかったらしいんだよ。だから(山中に)「大丈夫でした?」って聞かれたんだけど、俺、9時間以上寝たから(笑)。
──“あとは思い切りやるだけ”っていう気持ちだったのかもしれないですね。
うん。チケットも売り切れてたし、“もうやるだけだな”っていうね。そのぶん、去年は大変だったけどね。あんなストレス、今までなかったよ。ずっと“死ななきゃいいや”ってくらいに思ってやってたんだけど、全然違ってたね、武道館までの1年は。「武道館でライブをやりましょう」って話が出てきたのは2年くらい前なんだけど、そのときも「おい、ちょっと待てよ」って言ったんだよ。当時、ちょっとずつ動員が伸びてきて、ちょうどZEPPをソールド・アウトできるくらいにはなってたんだけど、キャパは2,600くらいでしょ。武道館はその3倍だから。28年かかって、やっと3000弱くらいまで来たバンドなのに、あと2年でどうしようって言うんだよ! っていう。
──リアルな反応ですよね、それは。
そりゃそうだよ。しかもさ、せっかく武道館でやるんだったら、たくさんの人に観てもらいたいから、チケットもできるだけ安く設定したいじゃない。ポール・マッカートニーの20分の1くらいだからね、チケット代(笑)。“これくらい集めたら、やれるんじゃねえか?”っていうので席数を決めたんだけど、予想以上に反応があって、結果的には満杯になって……。去年1年、ケツに火をつけて働きまくった成果だね。まあ、次は海外ツアーかな。誰もパスポート持ってないけど(笑)。あとは、俺らはひたすらいい曲を作って、レコーディングして、それを持ってライブをやって。だって、それがバンドをやるってことだから。
──でも、武道館ライブが成功したことは、バンドにとっても大きな経験になったんじゃないですか?
うん、もちろん。今までずっとやってきたことが形になったと思うし、“アレをやれたんだから、怖いものはない”っていう。だってさ、“下痢しちゃったから今日はできません”ってわけにはいかないじゃない? 4人とも体調万全でライブに臨めたっていうのもそうだし、このあと、どんなライブでも緊張しないと思うよ。まあ、武道館に関してはあまりにも出来事が大きいというか、今だに現実感がないんだけどね。ただ“ありがたかったな”っていうだけだよ、ホントに。

入門編みたいなベストがあってもいいかなって

──そして、7月にはベスト・アルバム『問答無用セレクション“金賞”』がリリースされます。
出るね。しかも39曲入りで2,500円。1曲100円切ってるって、安くない?
──たしかに。
最初は、“2000円にしたい”って思ってたんだけど、テイチク(レコード会社)から「それは勘弁してください」って泣かれて(笑)。武道館をやることになってから、“初めて怒髪天を知った”っていう人も結構いるんだよね。俺がカーネーションを知ったときもそうなんだけど、キャリアが長いバンドだと、“どれから聴けばいいんだよ”ってなるじゃない? そういう人のために入門編みたいなベストがあってもいいかなって。アルバムの推し曲、シングルも全部入ってるしね。レア音源もかなり入ってるから、ずっと聴いててくれた人も楽しんでくれると思うし。なんと言ってもお買い得でしょ? 2,500円くらいって、贈り物としても恥ずかしくないじゃん。
──そうですね(笑)。怒髪天&THE JOE-NETS(ホーン・セクション、キーボード、サイド・ギターなどを加えた12人編成のスペシャル・バンド)の「D&Jのテーマ」「東京衝撃」「情熱のストレート」が収録されているのも貴重だし。個人的には「江戸をKILL Ⅱ」にグッときました。これは「江戸をKILL」(’95年にリリースされた『痛快!ビッグハード維新‘95』収録)の再録バージョンですね。
うん。「明日への扉」も録り直して収録してるんだけど、今はどっちも廃盤になってるんだよね。しかも楽曲の権利を持ってた会社もなくなってしまってるから、いろいろどうなってるのか全然わからなくて。めんどくさいよね、ホントに。
──30年バンドやってると、いろいろありますねえ。
いろいろあるよ(笑)。「江戸をKILL」が入ってたCDは500枚くらい作って、手売りしてたんだよね。こっちは“だいぶハケたな(売れた)”と思ってたんだけど、スタジオの倉庫に300枚くらい残ってたのが見つかって。ウチの弟(増子真二/DMBQ)が見つけて連絡くれたんだけど、「え、そんなに残ってんの? マジか!?」っていう。
──ベスト・アルバムの収録曲もそうですけど、怒髪天の曲は徹底的に労働者、生活者の目線に立ってますよね。まさに“食べるために働き、生きるために歌う”というキャッチ・フレーズどおりで。
目線に立つも何も、俺ら自身が“いち生活者”なんだよ。結局、全員がバイトを辞めても生活できるようになったのって、40歳過ぎてからだから。
──……すごい話ですよね、それは。
いやいや、言ってもさ、もともとパンクが好きでバンド始めたからね。世の中に唾を吐いてるのに、そこから金をもらおうなんて土台無理な話でしょ。だから徐々に進むしかなかったんだけど、それでいいんじゃない? 仕事してると、やりたくないと思うこともやらなくちゃいけないじゃん。バンドはやりたいことだから、そこはガマンしたくないんだよね。やりたいことをやって、ブースターも付けずに進んできて……もうね、チャリンコに乗ってるのと同じだよ。上り坂では遅くなるし、下り坂ではちょっと速くなって。そんなもんだよ。傍から見てると“大変だな”って思うかもしれないけど、俺らは最初からこういう感じだから。
──でも、ブースターを付けて、勢いよくドーン! と売れるバンドも存在するわけじゃないですか。
ドーンと行って、一気に落ちてったヤツもいっぱい見たよ。若いうちに売れたら、いい気にもなるだろうし。まあ、その気持ちはわからないでもないけどね。俺らは幸い、調子に乗ることもなく、地道にやってるけど。
──そういえば以前、「バンドをやること自体が目的だから、続けられてるだけで満足」って言ってましたよね。
そう。だってさ、いい曲を作って、それをライブでやるのがバンドでしょ? 売れるために何かをすることと、作ったものを聴いてもらうために努力するのは全然違うから。そうやって着実に積み上げていくのがいいんじゃない? 急にうまくなったりしないけど、徐々にスキルも上がってきてるしね。

責任は坂さんに取ってもらわないと。買い取りだな(笑)

──そうですよね、ホントに。ベスト盤と同時リリースでシングル(「今夜も始まっているだろう/スポーツ大佐のテーマ」)も出ますが、「今夜も始まっているだろう」はなんと坂詰さんが歌ってるっていう。
聴いた?
──聴きました(笑)。これ、いい曲ですよね。昭和のムード歌謡の雰囲気で。
いい曲なんだけど、坂さんの歌が隣のスナックから聴こえてくるレベルだから(笑)。これはね、俺らがどうこうと言うより、テイチクを評価したいね。こんな面白いシングル、なかなか出せないよ。金のかかった冗談をやれるのはホントにうれしいんだけど、責任は坂さんに取ってもらわないと。買い取りだな(笑)。
──買い取りって(笑)。どうしてこの曲がシングルになったんですか?
30周年の企画の中に「1曲ずつ歌おう」っていうのがあったんだよね。“紅盤”でシミ(ベーシストの清水泰次)が歌ってるし、以前に友康(ギタリストの上原子友康)も歌ってて。で、次は坂さんだなってことになって、友康がムード歌謡っぽい曲を作ってきて。しかもこの曲のアレンジ、氷川きよしさんの曲とかを編曲してる先生にお願いしたんだよね。ものすごくカッコいいんだけど、“これ、あまりに異質すぎて次のアルバムには入れられないぞ”っていう。
──あまりにも本格的な歌謡曲ですからね(笑)。
そうそう。そこからいろいろ考えて、「団地ともお」の劇中歌(「スポーツ大佐のテーマ」)と一緒にシングルにしたらいいんじゃないかって。扱いに困る曲をいい感じにシングルに出来て、美しいよね(笑)。何枚売れるか、リアルに楽しみだけど。

人間にとって生きやすかった時代なんて、一度もなかったと思う

──(笑)この後の展開についても聞かせてください。まずは47都道府県ツアーとレコーディング、あとは北海道のフリー・ライブ(9月20日に行われる<カムバック・サーモン2014“男の遡上フェスティバル”>)があって。
そうだね。フリー・ライブ、雨が降らないといいけどね。地元北海道への最大の感謝を込めて、フリーにしたんだよね。大きな気持ちのいい公園だから、家族とか、友達とか誘ってみんなで遊びに来てほしいね。会場まで来やすいようにバスツアーとかもあるんじゃないかな? 楽しいと思うんだよ。バーベキューとか、レクリエーションがあったり、普通のライブ・イベントではない感じだから、何しろお楽しみに。あと、クマも心配なんだよな。去年、会場となる場所にクマが出ちゃって、立ち入り禁止になったから。いくらフリーだからって、クマがフリーで入ってきても困る(笑)。ほかにもね、やりたいことは山のようにあるんだよ。それをひとつずつ実現させたいと思ってるし……。
──バンドって、“このメンバーでやれることがなくなった”っていう時期が来たりするじゃないですか。
それはさあ、“バンドでできる”って決めてる範囲が狭いんじゃないの? バンドでできないことなんて、ほとんどないよ。まあ、スポーツ大会とかは厳しいかもしれないけど(笑)。
──羨ましいですね、そういうスタンスは。今の社会って、若者もおじさんも“未来は暗い”って思ってるわけじゃないですか。
でも、昔からそうなんじゃない? 戦国時代とかさ、不安だらけだったわけだから、たぶん。
──まあ、そうですね(笑)。
人間にとって生きやすかった時代なんて、一度もなかったと思うんだよね。昔はさ、飢饉や疫病があったわけでしょ。それがないだけでも良くない? 経済が不安っていうのもわかるし、消費税が上がるのもイヤになっちゃうけどさ、法律が緩くなることなんてないからね。逆戻しはできないんだったら、その中で楽しみを見つけたほうがいいよ。ただそれだけのこと。イヤだって言ってたら、全部イヤになるよ。
──怒髪天の音楽を聴いたり、坂さんの歌で笑ったりしながら。
そうそう(笑)。PS4も出たし、これからXbox Oneも出るんだよ? 楽しいことはいっぱいあるよ。あとね、海外に行ってみたいね。ワールドツアー(笑)。
──え、ホントですか? オフィシャル・ホームページに「Sorry,Japanese version only.」って書いてあるのに。
まあ、まずはハワイかグアムかな。日本語通じるでしょ(笑)。その前にパスポート取らないと。俺、一回も海外行ったことないから(笑)。

DISC INFORMATION

ALBUM 2014.7.2 release
『問答無用セレクション“金賞”』
テイチクエンタテインメント

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初回プレス盤スペシャルスリーブ付

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通常盤

SINGLE 2014.7.2 release
「今夜も始まっているだろう/スポーツ大佐のテーマ」
テイチクエンタテインメント

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LIVE INFORMATION

<怒髪天、おかげさまで30周年。47都道府県勝手にお礼参りツアー
“いやぁ、なんも、おかえしだって。”>

6月5日(木)長野 CLUB JUNK BOX
6月15日(日)米子 laughs
6月17日(火)松山 SALONKITTY
6月19日(木)徳島 club GRINDHOUSE
6月21日(土)高知 X-pt.
6月22日(日)高松 DIME
6月28日(土)富山 MAIRO
6月29日(日)福井 CHOP
7月1日(火)滋賀 U★STONE
7月6日(日)青森 Quarter
7月8日(火)盛岡 CLUB CHANGE WAVE
7月10日(木)秋田 Club SWINDLE
7月12日(土)山形 ミュージック昭和Session
7月13日(日)仙台 Rensa
7月20日(日)松阪 M’AXA
7月22日(火)和歌山 CLUB GATE
7月24日(木)奈良 NEVER LAND
7月26日(土)岐阜 CLUB ROOTS
7月27日(日)浜松 MESCALIN DRIVE
8月16日(土)金沢 AZ
8月20日(水)横浜 F.A.D
8月23日(土)高崎 Club FLEEZ
8月24日(日)甲府 CONVICTION
9月4日(木)広島 CLUB QUATTRO
9月7日(日)福岡 DRUM LOGOS
9月13日(土)大阪 BIG CAT
9月15日(月)名古屋DIAMOND HALL
9月23日(火)新宿 LOFT
9月24日(水)新宿 LOFT

<カムバック・サーモン2014 “男の遡上フェスティバル”>
9月20日(土)札幌 国営滝野すずらん丘陵公園 野外特設ステージ

<GO GO GO de YAH YAH YAH !!!俺達、三十路チャンプルー。>
10月26日(日)沖縄 桜坂セントラル

<OUR HOUR モリモリ 古酒三十年者。俺達、まだまだビンビンテージ。>(トークイベント)
10月27日(月)沖縄 桜坂セントラル

<「20周年だよ。VIVA YOUNG!」>
8月6日(水)下北沢CLUB Que

<OTODAMA’14 〜音泉魂〜 “必死のパッチで10回目!”>
9月6日(土)・7日(日)大阪・泉大津フェニックス

<風とロック芋煮会2014 風とロックBASEBALL>
9月27日(土)・28日(日)郡山総合運動場 開成山野球場

<SHINJUKU LOFT 15TH ANNIVERSARY LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2014>
11月30日(日)川崎 CLUB CITTA’

PROFILE

増子直純(vo)、上原子友康(g)、清水泰次(b)、坂詰克彦(ds)。1984年、札幌で結成。自らの音楽を“JAPANESE R&E(リズム&演歌)”と称して、独自のロックンロールを確立。今年30周年を迎え、1月に日本武道館公演を大成功に収め、4月にアルバム『男呼盛“紅”』を発表。

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