印象派 MINI ALBUM「(not)NUCLEAR LOVE(or affection)」ディスクレビュー

(not)NUCLEAR LOVE(or affection)

MINI ALBUM

印象派

(not)NUCLEAR LOVE(or affection)

eninal

2014.06.25 release

<CD>


ジャンルやユニットの形態を超えた“おふたりさま”

 なんともつかみどころがないが、きっとそれが今の気分なんだろう。いまだ謎の多い大阪在住のガールズ・デュオ、印象派。miuの萌え系ボーカルを生かしたダンサブルなロックは、クラシックの“印象派”をテーマのひとつとして掲げるパスピエのようであり、普段はOLでもあるふたりの日常と妄想が交錯するナンセンスな歌詞をmicaがしっとりと歌い上げ、大胆な展開も盛り込んだ楽曲は、相思相愛の赤い公園のようでもある。

 かと思えば、昨年限定シングルとして発表された「MABATAKIしないDOLLのような私」では、今流行りのゆるふわラップも披露。本作では、バキバキのシンセを効かせたリード・トラックの「BEAM!」で下世話ギリギリまでポップに振りきってみせ、トランシーな4つ打ちナンバーの「ライ!ライ!ライ!」から、そのままインストの「フェアリーはご機嫌ななめ」へとなだれ込み、最後の「温泉」ではヘビー&グル―ビーなハード・ロックに乗せて“カモン脱衣所!”と歌う。この曲調の幅広さは、パスピエや赤い公園というよりも、一時期のくるりのイメージにより近いかもしれない。

 もう一度考えてみよう、一体彼女たちはどこを目指しているのか……いや、そんなことを考えるのはやはり無意味だろう。何せ彼女たちは、気分や雰囲気を重視する“印象派”を名乗る2人組なのだ。ジャンルやユニットの形態で語る時代ではないということを、きっと彼女たちは感覚で理解している。『(not) NUCLEAR LOVE(or affection)』と書いて“かくれんぼ”(核・恋慕ですね)と読ませるタイトルも、“あがなえぬ基準値”“祝福の放射線”と歌う「アフレル」も、別に強いメッセージ性があるわけではないだろうが、これを言い放ってしまうことに女の子ならではの強さを感じる。

 シャンプー、ミー&マイ、タトゥーなど、一曲で強烈なインパクトを残し、すぐに消えていく海外ガールズ・デュオの系譜というのがあるが、印象派も彼女たちに通じる抜群のキャッチーさといかがわしさを兼ね備えている。しかし、前述のとおりOLでもあるこのふたりのこと、ゴシップを振りまいて自らの首を絞めることなく、悠々自適に“おふたりさま”を楽しみながら、時流をサーフしていけるのではないかと思う。

(金子厚武)

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