小南泰葉 DIGITAL EP「都市伝説倶楽部」ディスクレビュー

都市伝説倶楽部

DIGITAL EP

小南泰葉

都市伝説倶楽部

EMI RECORDS

2014.06.25 release

※配信限定


本当に怖いのは人間なのです。

 暑さとともにニーズが上がるホラーもの。この夏は小南泰葉がそのリードを取るかもしれない。現在予約受付中の配信限定デジタルEPは、4、5、6月に順次公開されている乃木坂46のメンバーが主演する劇場版映画“最恐都市伝説ホラー3部作”それぞれの主題歌に、「暗い日曜日」のカバーを加えた4曲。人が内に持つ孤独や残酷さを自らの痛みとともに描く小南の曲が、スクリーンを震わせている。

 3月にリリースした『怒怒哀楽』収録の「3355411」は、携帯電話でこの番号を打つと……という都市伝説をテーマにした曲だが、能條愛未が主演の「死の実況中継 劇場版」主題歌に。“死にたい”と“生きたい”を表裏一体と捉えるこの曲は、見ているつもりが見られていて、死に追われることで生を実感する物語にはピッタリだ。

 TwitterやFacebookをモチーフにした新曲「NO-MAN」は、中田花奈が主演する「デスノート」ならぬ「デスブログ 劇場版」主題歌。ピアノとチェロの美しい旋律と抑制された歌で始まり、ダイナミックなバンド・サウンドで展開して行く起伏に富んだスケール感が印象的だ。反射的に押す“いいね”疲れや表面的なやりとりに倦んでいる人も多い現実に、小南流の鉄槌をくれている。

 ところで、このデジタルEPリリースに先駆けて“小南泰葉「都市伝説倶楽部」ツアー”が行なわれたのだが、そこで”使えない人が保健所送りになる歌”と先日のライブでは紹介していた新曲「ドリームボックス」は、伊藤寧々の主演で広く知られる伝説を題材にする「杉沢村都市伝説 劇場版」主題歌。これもピアノとバイオリンでクラシカルな雰囲気を醸し出す美しいナンバーだが、タイトルは捨てられた犬猫などを処分する施設の別称だ。村人が消える伝説を、こんなタイトルの曲と重ねるとは!

 最後の「暗い日曜日」は、欧米では“自殺の聖歌”として知られる曲で、これまで世界中で数えきれないほどのシンガーがカバーしている。小南はピアノだけをバックに、岩谷時子の訳で気怠く歌っている。日本では淡谷のり子版、浅川マキ版などが独自の訳で個性的な歌を残している。これらの先輩たちの訳詞でも歌ってみてほしいものだ。

(今井智子)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人