神聖かまってちゃん SINGLE「ズッ友」ディスクレビュー

ズッ友

SINGLE

神聖かまってちゃん

ズッ友

ワーナーミュージック・ジャパン

2014.06.25 release


信じるだけです、かまってちゃんを

 初めて神聖かまってちゃんに取材したとき、の子(vo、g)が「自分たちのいちばんの武器はメロディ。歌詞は“言ったれ! やったれ!”っていうだけ」みたいなことを言っていて、そのときは内心“いやいやいや、あなたたちの魅力はやっぱり歌詞じゃないの?”と思ったのだが、この曲を聴くと、の子の言葉の意味が改めて実感できるのだった。

 「フロントメモリー」「ロボットノ夜」に続く、2014年シングル3部作の完結となる「ズッ友」。その魅力の中心にあるのは、ノスタルジックな気分を強く反映したメロディだろう。センチメンタルなイメージをもたらす鍵盤のフレーズ、全編に流れるクラシカルなストリングス、そして、サビに入った瞬間に大きく開くボーカル・ライン。質の高いメロディを組み合わせることで普遍的なポップスへと導く。そんな高度なテクニックを身に着けようとしているのかもしれない、このバンドは。

 “魅惑な君”との関係、そこに生まれる切ない情感をテーマにした歌詞の世界も心に残る。人を好きになったときの“新しい世界が訪れた”という感覚、そして、“こんな気持ちはいつか終わるに決まってる”という諦念を叙情的に描いたこの曲は、まさに神聖かまってちゃんの神髄と言っていいだろう。特にラストの「愛がどーとか いらん茶々です 信じるだけです 今日の続きを」は、の子にしか書けない名フレーズだと思う。

 その他、周囲からの無視に晒されながら健気に生きる女子を主人公にしたギター・ロック・チューン「夏のゆーれい部員スタートっ!」、団地の中の“病める夏”を映し出したポップ・ナンバー「躁鬱電池メンタル」を収録。夏という季節の憂い、哀しさ、心理的な鬱陶しさがじんわりと染み込んでくるシングルに仕上がっている。今年の初めに掲げられたマニフェストによると、8月にフル・アルバムがリリースされる予定。自らのアイデンティティをしっかりキープしつつ、よりポップに振り切り始めた神聖かまってちゃんがどんなアルバムを生み出してくれるのか。今から楽しみでしょうがない。

(森朋之)

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