ACIDMAN – ファン投票で選ばれた上位曲でセットリストを組み開催した<ACIDMAN LIVE TOUR“ANTHOLOGY”>のファイナル公演をレポート!

ACIDMAN

 ファン投票で選ばれた上位曲の中からセットリストを作る異色のライブ。<ACIDMAN LIVE TOUR“ANTHOLOGY”>ファイナル、6月12日のZepp Tokyoは、懐かしい曲、レアな曲、初披露曲などをたっぷりと聴ける特別な夜になった。ACIDMANの歴史を貫く変わらない信念と、より遠くへより深くへと進化し続ける音楽性。それは3人の強い絆と、バンドを支えるオーディエンスが生み出した、素晴らしいアンソロジーだった。

TEXT BY 宮本英夫 / PHOTOGRAPHY BY 藤井拓

今日は音楽をしっかり聴いてほしい、そんなメッセージのようにも聴こえる。

 過去の楽曲たちに陽が当たるような場所を作りたい。みんなにとって大切な一曲、レアな一曲、もう一度聴いてみたい一曲を投票してほしい。そうしたバンド側からの呼びかけに答え、多くのファンが投じた一票を元にセットリストが組まれる、それが今回のツアー“ANTHOLOGY”のコンセプトだ。一見人気曲を選ぶ投票のようでいて、“レアな1曲”というのがポイントで、カップリングやアルバム収録曲が優先される。ライブ中のMCで大木伸夫は「THE BACK HORNの“マニアックヘブン”のパクリです(笑)」と冗談めかしていたが、それはさておき、ACIDMANにとって初の試みへの反響は大きく、全6ヵ所のツアーは速攻ソールドアウト。ファイナルとなったZepp Tokyoは、開演前から通常のツアーとはどこか違うような、緊張感と期待感が微妙に入り混じった空気が漂っていた。

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 アルバム『ALMA』収録の「最後の国(introduction)」をSE代わりに、1曲目は「Stay on land」。大木のギターの爪弾きから始まり、徐々にテンポ・アップしながらラウドなバンド・サウンドへと移行してゆく、悠然たるたたずまいの1曲。飛び跳ねで騒ぐのもいいけど今日は音楽をしっかり聴いてほしい、そんなメッセージのようにも聴こえる。

「今日という日は二度と来ません。一分一秒、みんなで最高のものにしましょう」

「式日」「スロウレイン」はシングルのリード曲だが、イケイケで突っ走るタイプではなく、力強いビートの中に穏やかな明るさを感じる曲。今までにないライブ序盤の雰囲気に、軽く体を揺らせて聴き入るオーディエンス。音圧は十分だが、大木の歌と言葉がはっきり聴こえてくる。いい雰囲気だ。

 ここから「id-イド-」「River」「プラタナス」と、2005年のアルバム『and world』からの三連発。先に言ってしまうと、この日『and world』からは実に8曲が選ばれていた。なぜそうなったのか、『and world』の曲にはほかのアルバムにはない何があるのか。聴きながら、様々なことを考える。

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こんなすごい曲を今までライブでやっていなかったとは、もったいないというか、信じられない。

 どちらかと言えば静かな滑り出しだった序盤の雰囲気を変えたのは、「CODA」だった。2004年の「equal e.p.」収録曲で、ライブでは初披露とのこと。ハードなパンク/ニューウェーブ風のダンサブルなロック・ナンバーで、サトマ(佐藤雅俊)の刻むリフと大木のカッティングが絡み合うその上で、叫ぶように歌いまくるボーカルがすごい。こんなすごい曲を今までライブでやっていなかったとは、もったいないというか、信じられない。

 「揺れる球体」は1stアルバム『創』の収録曲だが、その前のMCで一悟(浦山一悟)が言っていたように、インディーズ時代からライブの定番だった曲。ACIDMANの原点のひとつであるミクスチャー・ロックの面影を残す曲で、グランジ、パンク、ラップなど様々な要素が溶け合い豪快に突っ走る。そのまま一気に盛り上げるかと思いきや、一転して「プリズムの夜」「OVER」というドラマチックで壮大なニ連発へと至るのだが、これが実に素晴らしかった。ことに「OVER」のエンディングで会場全体を強烈な光の渦が覆い尽くしたときの感動は、まさにこの日最大のハイライトと言える美しいシーンだった。

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自分が変われば、世界が変わる。思いを込めて、「季節の灯」を。

 このあと、大木のMCは5分以上にも及んだだろうか。「OVER」で歌われた“透明なカケラ”とは、誰もが生まれたときに持っていたきれいなもの。生まれたときはみんな無垢だった。だんだん経験を積んで、きれいなままでは生きられないことに気づく。でも透明なものに手を伸ばしてしまう。生きとし生けるものはみんな死ぬ。悲しいけれど、それを知って生きるのと知らずに生きるのはまったく違う。一瞬を大切に生きる。自分が変われば、世界が変わる。思いを込めて、「季節の灯」を。──この曲もまた、ACIDAMANがずっと歌い続けてきたメッセージの中核を成す、素晴らしいロック・バラードだ。

 極限まで高まった感動の余韻を受け、高校時代の3人の関係をネタにして、一悟が軽いトークで笑いを取りながらオーディエンスの緊張をほぐしてくれる。そこに時折シニカルなツッコミを入れるサトマ。そのサトマに向かって「こう見えて気が小さい」と混ぜ返す大木。高校時代からの仲間の抜群の結束力と絶妙な個性の共存は、十数年経ってもきっと変わっていない。

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 ライブもいよいよ終盤だ。「銀河の街」から「FREE STAR」へと、一悟の叩きだす強烈なキックの4つ打ちを、サトマの野太いベースが支える。大木はエフェクトを駆使して、一本のギターでふたつのリフを器用に操る。ミラーボールがまばゆく輝き、フロアの全員が飛び跳ねながら手を高く掲げる。

「Zepp Tokyo、まだまだ行けるか。もっと盛り上がっていくぞ」

 大木が叫び、「風、冴ゆる」の強烈なギター・リフが雷鳴のように轟く。激しいテンションをキープしたまま「ある証明」へ。そして本編ラスト「and world」へと至る流れは、まさにアルバム『and world』の曲順と同じだった。静けさと激しさが交錯するエモーショナルな曲の最後で歌われる、世界の始まりを告げる“光あれ”という言葉。強烈なバック・ライトと轟音が会場全体を包みこんだ瞬間の開放感は、ロック・コンサートではめったに味わえない種類のもので、ACIDMANが飛び跳ねて騒ぎたいだけのオーディエンス向けロックではないことを雄弁に物語る。その音楽は、すでにひとつの思想だ。

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その時代その時代の感情の起伏を曲に詰め込みながら、ACIDAMANは光ある方向へと雄雄しく進んでいる

「今日のルールは、投票で選んだ上位30曲ですが。1曲だけルール違反、していいですか」

 アンコールで再びステージに登場した大木の言葉に大歓声と拍手が湧きあがった。曲は最新シングル「EVERLIGHT」。シンプルな8ビートで突き進む、豪快なスピード感が魅力的な曲だ。そしてここからは、懐かしい曲の三連発。「ドライドアウト」「培養スマッシュパーティー」「酸化空」は、2000年前後のインディーズ期に作られた楽曲で、特に「培養スマッシュパーティー」のパンキッシュなスピード感、「酸化空」の独特の浮遊感を持つサウンドは、それぞれのちのACIDMANのひとつの原点になっていったことがよくわかる。

 2時間半に及ぶライブのラスト・ナンバーは「ALMA」。サウンドや歌詞の中にシリアスなメッセージを込めつつも、明るい開放感を感じるこの曲を最後に選んだことで、ライブの後味はすっきりとさわやかなものになった。結成から17年、その時代その時代の感情の起伏を曲に詰め込みながら、ACIDAMANは光ある方向へと雄雄しく進んでいる。こんなロック・バンド、真似しようと思っても絶対誰にもできやしない。

SETLIST

01. Stay on Land
02. 式日
03. migration 1064
04. スロウレイン
05. id-イド-
06. River
07. プラタナス
08. 静かなる嘘と調和
09. コーダ
10. 揺れる球体
11. プリズムの夜
12. OVER
13. 季節の灯
14. 銀河の街
15. FREE STAR
16. 風、冴ゆる
17. ある証明
18. and world
<ENCORE>
EN01. EVERLIGHT
EN02. ドライド アウト
EN03. 培養スマッシュパーティー
EN04. 酸化空
EN05. ALMA

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PROFILE

アシッドマン/大木伸夫 (vo、g)、 佐藤雅俊 (b)、 浦山一悟 (ds)からなるロック・バンド。高校時代に出会ったメンバーで1997年からライブ活動を開始。1999年に現在の3人組になる。インディーズ時代にシングル「赤橙」「酸化空」をリリースし、2002年にアルバム『創』でメジャー・デビュー。同作品は第17回日本ゴールドディスク大賞「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を獲得。その後も「彩~廻る、巡る、その核へ」のミュージック・ビデオが2004年 文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞し、さらには2004年オーディエンス・チョイス・アワード受賞、SPACE SHOWER Music Video Awards 05 BEST ROCK VIDEO受賞、Vila Do Condo(ポルトガル映画祭)コンペ部門ノミネート、クレモンフェラン映画祭 招待作品、SICAF Animation Film Festival 優秀賞を獲得する。2007年には初の日本武道館公演を開催。2013年6月には自身による事務所“FREESTAR”を立ち上げている。

LIVE INFORMATION

Broccasion Live OSAKA
6月27日(金)大阪BIG CAT
出演:BACK DROP BOMB/ACIDMAN ほか

EX THEATER PREMIUM LIVE SERIES GO LIVE VOL.2
7月2日(水)東京 EXシアター六本木
出演:ACIDMAN/BOOM BOOM SATELLITES

JOIN ALIVE 2014
7月20日(日)北海道 いわみざわ公園

OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.5
7月26日(土)・27日(日)秋田 男鹿市船川港内特設ステージ

rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014 Supported by BOSE
8月2日(土)・3日(日)・9日(土)・10日(日)茨城 国営ひたち海浜公園

MONSTER baSH 2014
8月23日(土)香川 国営讃岐まんのう公園

TREASURE05X 2014 -galaxy of liberty-
9月7日(日)愛知蒲郡ラグーナビーチ(愛知県蒲郡市海陽町2-39)

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014
9月27日(土)・28日(日)岐阜県中津川市中津川公園内特設ステ—ジ

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