キュウソネコカミ MINI ALBUM「チェンジ ザ ワールド」ディスクレビュー

チェンジ ザ ワールド

MINI ALBUM

キュウソネコカミ

チェンジ ザ ワールド

ビクターエンタテインメント

2014.06.18 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


素晴らしきこのキュウソ(空疎)な世界

 ヤバイよね、キュウソネコカミ。エイプリルフールのどさくさに紛れて公表したメジャー進出は実に彼ららしい悪ふざけっぷりだったし、この記念すべきメジャー・デビュー盤『チェンジ ザ ワールド』も、冒頭から「メジャーに行って1、2年で消えるバンド多過ぎクソワロタ」(「ビビった」)とすこぶる舌好調。続く「カワイイだけ」では、カワイイ女の子にこれっぽっちも相手にされない悔しさがダンゴ状にこんがらがって、「外見だけのクソな女に 惹かれてる俺らパンピーポー!!」とシャウト。さらに「何も無い休日」では「リア充にはなれなかった 真面目系クズです僕らは ようつべばっかり眺めて 気がついたら夜になってる 明日から本気出せばいいや」と自虐と自堕落全開。無性にアガれるダンサブルなサウンドはもちろん、キュウソの何が特段いいのかって、このどこにも行き着かない、どこまでも空疎な世界観に尽きると思う。その空疎さとは、つまるところ僕ら自身の自意識の一部であり、もっと言えば今の時代に潜む病理? ちょっと話が大きくなってしまうけれど、そんな気がしてやまないのです。

 あらゆる情報が手の中に立ち現れ、それをまた次の情報が押し流す高速無限ループのただ中で、世の中のカラクリや成り立ちをあらかじめ知ってしまった僕ら。人生における成功例と共に失敗例もたくさん見聞きしてきたし、何か行動を起こす前にあきらめちゃったりなんかして。つーか、結局死んじゃうし。夢がないっちゃあ夢のない世界だ。だからこそ、キュウソのように狂騒的なシンセとビートを掻き鳴らして、「俺らが世界を変えてやるって意気込んでもきっと意味は無い!!」とハイテンションで諦念を叫びながら、頭ん中を漂白するように踊り明かす。めちゃめちゃ空疎だが、現実に絶望しないための極めて有効な手段じゃないか? さぁ、時代を狡猾に笑い飛ばしながら、迷えるボーイズ&ガールズを巻き込んで突っ走れ!

(奥村明裕)

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