じん(自然の敵P) SINGLE「daze / days」ディスクレビュー

daze days

SINGLE

じん(自然の敵P)

daze / days

1st PLACE

2014.06.18 release

初回生産限定盤 A <2CD+DVD>
初回生産限定盤 B <CD+DVD>
通常盤 <CD+DVD>


マルチクリエティブの急先鋒が鳴らした、新しい音楽への希望

 関を切ったように爆走するひしゃげたギター・リフに眩暈、昏倒。精緻な混沌とも言うべきエッジーなバンド・アンサンブルが怒涛のように攻め立てた先に待つのは、色気と猛々しさを湛えたメイリアの、聴き手の胸倉を掴むようなボーカリゼーション。そしてやはり、このメロディだ。尋常ではないほどのキャッチーさ。一聴で耳にこびりついて離れない。この「daze」に歌謡系ロックンロールのマナーを革新するような野心をねじ込み、ねじ伏せるじんのこの構成力、アレンジ力は脱帽に値する。

 一方、「days」では美しく流麗なストリングス・アレンジの中で、Liaの包容力に溢れた歌声が優しく響く。アニメ音楽ファンから “国歌”認定されるレベルの名曲「鳥の詩」や「時を刻む唄」を代表曲に持つシンガーであるボーカリスト・Liaの、メロディの一音一音、歌詞の一節一節をていねいに折り重ねるような、この表現力には痺れた。

 改めて、このシングルに収録された2曲は、クリエイター・じんが作詞、作曲を手がけている(「daze」は編曲も彼だ)。それだけではない。本作はテレビ・アニメ「メカクシティアクターズ」のオープニングとエンディングであり、この「メカクシティアクターズ」の脚本もじんが担当している。いや、まだまだある。「メカクシティアクターズ」の元となった「カゲロウプロジェクト」並びに小説「カゲロウデイズ」の原作を手がけたのも、この若干23歳のマルチクリエイター・じんなのである。

 彼は元々“自然の敵P”という名義で活躍していたボカロPだが、ボカロ・シーンはいまさら言うまでもなく、彼のような優れたマルチクリエイターを数多く輩出する温床となってきた。その中でも、過去最大のシナジーを自らがジェネレイターとなり生み出したのがじんである。“餅は餅屋”とか“天は二物を与えず”とか知らねーよ、と言わんばかりなじんの八面六臂の活躍を支持してきたのは、主に中高生たちだと言われている。
 
 音楽業界はまだまだ面白いし、ちっとも捨てたもんじゃない。じんのように、音楽に新しい未来を付与し続ける存在と、彼を支持する存在がいる限りは。じんの存在は、幾度となく過渡期を経験してきた現在の音楽シーンにおける、ひとつの希望なのかもしれない。

(冨田明宏)

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